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労働力流出 地方に危機感 最低賃金答申で地域格差拡大【東京新聞】
2007年8月16日
本年度の最低賃金の引き上げについて中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が今月十日、引き上げ額(時給)の目安を答申した。景気回復が進む東京都や愛知県などの大都市圏が十九円、景気低迷が続く青森や沖縄など地方の県は六−七円で、最低賃金の格差は開く一方だ。それに伴って地方の県では労働力の流出が深刻化している。格差の実情を調べ、対策を考えてみた。 (白井康彦)
青森県の地方紙「東奥日報」の十日朝刊の一面トップに「愛知から求人攻勢」という大見出しの記事が載った。
愛知県職員らが青森県内の高校を訪問して来春の卒業予定者の愛知県内企業への就職を呼びかけた、という内容だ。
青森県では、今春卒業した高校生の就職先は県内より県外の方が多かった。県外が県内を上回るのは十六年ぶり。県外就職先は首都圏が中心だが、愛知県など中京圏の伸びが目立っている。
そんな中、六月上旬に愛知県職員と愛知県内の経済団体職員が青森県内の十六校を訪ねた。県内企業への就職支援のために県職員が遠く離れた他県の高校を巡回訪問するのは異例だ。青森の後、鹿児島、宮崎、長崎の三県の高校も回った。
愛知県就業促進課は「人手不足に悩んでいる県内企業が多いので、有効求人倍率が低い(人手が余っている)県を回った」と説明する。
青森県は防戦一方。県内企業に対して「高校卒業予定者についての求人票を早く出してほしい」と、懸命にアピールしている。県内企業が求人票を出す時期が県外企業に比べて遅く、県外就職比率が上がった理由の一つになっているからだ。今月九日には県知事、県教育長、青森労働局長が県商工会議所連合会会長を訪ねて協力を求めた。
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最低賃金は労働者に支払われる賃金の最低限度額。毎年夏に中央最低賃金審議会が引き上げ額の目安を答申した後、都道府県ごとの審議会が引き上げ額を決め、十月に改定される。
現在の最低賃金(時給)は全国平均が六百七十三円で、高い方は(1)東京=七百十九円(2)神奈川=七百十七円(3)大阪=七百十二円(4)愛知=六百九十四円−の順。最低は青森、岩手、秋田、沖縄の六百十円で、次に低いのが佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の六百十一円。
今回の中央最低賃金審議会の答申は、全国の都道府県を四ランクに分けて引き上げ額の目安を示した(図参照)。最低賃金が低い地方の県は引き上げ額が小さい。
このため、最低賃金については地方の県で特に労働団体の反発が大きい。青森県労働組合総連合(青森県労連)の西崎昭吉事務局長は「引き上げ額があまりに小さく、格差が拡大するので失望した」と話す。
青森県労連の専従職員らは昨年六月、青森県の当時の六百八円の最低賃金で生活していけるのか“実験”した。
一カ月二十二日間、一日八時間ずつ働くとすると、月間の賃金は十万七千八円で、税金などを差し引いた手取り額は九万四千二百二十七円。家賃を二万千八百二十円とすると、残りの生活費は七万二千四百七円。節約を徹底しても生活していくのは極めて難しかった。
一方、働く場が地元にどれだけ多いか示すのが有効求人倍率。有効求人倍率が低い地域はおおむね最低賃金も低い。青森県の六月の有効求人倍率は全国で三番目に低い。
地方で目立つ高卒就職者の県外流出は「地元では働き場が少なくて賃金も安い」のが根本的な原因だ。しっかりした対策を立てるのは至難の業といえそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2007081602041385.html