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遺族が生涯まとめ出版 戦没画学生の“叫び”を本に【東京新聞】
2007年8月14日 夕刊
「おれは死にたくねえ、絵が描きてえ」。第2次大戦中、芸術を志しながら命を絶たれた戦没画学生と呼ばれる人たちがいた。その一人で、無念の言葉を残し、25歳の若さで戦死した山口県出身の久保克彦さんの生涯をたどる本を、奈良市に住むおいの木村亨さん(70)が出版した。
タイトルは「青春は硝煙とともに消えて」(幻冬舎ルネッサンス刊)。
久保さんは東京美術学校(現東京芸大)工芸科図案部を卒業と同時に陸軍に召集され、一九四四年、中国湖北省で戦死した。
木村さんは二〇〇一年、久保さんの出身地、山口県周南市で開かれた美術展で遺作の「図案対象」を初めて見た。
炎に包まれて落下する戦闘機、座礁し傾く輸送船、血のように赤い海のよどみ。反戦画にも見えた。卒業制作の五枚組で、高さ百四十五センチ、幅七メートルの大作は、図案部の首席作品になり、今も大学に所蔵されている。
友人と詩や文学を語り合い、家族にユーモアのある手紙を送った久保さん。普段はもの静かだったが、最後の作品制作は鬼気迫るものがあった。深夜、久保さんは部屋で「絵を描き続けたい」とうめいていたという。
美術展の二年後に木村さんが画集を自費出版。その際集めた資料や関係者の話を整理し、今回の本にまとめた。木村さんは「戦争の記憶を風化させないため、ぜひ若い人に読んでほしい」と話している。定価千五百円(税別)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007081402040972.html