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□相次ぐホームレスら襲撃… なかなか生かされない教訓 [産経新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070813-00000920-san-soci
相次ぐホームレスら襲撃… なかなか生かされない教訓
8月13日13時57分配信 産経新聞
■想像力欠けエスカレート
東京都北区でホームレスへの襲撃を計画した少年5人に、たまたまベンチで寝ていた清掃作業員の男性が火をつけられ、大やけどを負った。事件現場の区立赤羽公園では、平成8年にも少年5人がホームレスを暴行し、死亡させた事件が起きていた。地域社会は当時、再発防止に向けた取り組みを始めたはずだった。しかし11年後、同じ公園で事件は起きた。なぜ教訓は生かされなかったのか。繰り返される事件に大人たちはどう向き合えばよいのか。(桜井紀雄)
≪11年前にも≫
「ホームレスは汚らしくにおうごみだ」。8年の事件は夏休みに入る前の7月12日未明に起きた。
区内の少年グループにたばこの火を借りようとしたホームレス男性=当時(62)=が暴行され、重体に。警視庁は傷害容疑で15、16歳の5人を逮捕したが、男性は1カ月後に死亡した。
当時、北区教委は区内の全中学校に再発防止に取り組むよう指示。全校で校長が「ホームレスとどう接するか」について生徒に話し、大半の学校で具体案作りに向け、保護者らと協議を始めた。ホームレスの支援団体と住民約80人も現場近くで集会を開催。区は死角を作るとして公園の樹木を伐採した。区議会でも事件が取り上げられた。しかし、「次々別の課題が持ち上がるなか、そのうち話題にも上らなくなった」と前区議はいう。
そして、今年5月、今回の事件が起きた。「汚い。ごみだ」。11年前の少年たちと動機は同じだった。
≪兆候≫
「在学中に兆候は見いだせなかった」。今回の事件で逮捕された5人のうち、今春まで4人が通った中学校の校長は肩を落とした。
4人は特別仲がいいわけではなかった。1人は茶髪にしていたが、ともに教師や生徒に暴力を振るうなど目立った問題はなかった。1人はバスケットボール部で活躍、区大会でも入賞した。
だが、3人は3年に入り生活が乱れだす。欠席や遅刻が目立ち、深夜徘徊(はいかい)を繰り返した。「クラス全体が受験ムードになるなか、乗り遅れた感じだった」(校長)。別の1人はクラスのリーダー的存在で、成績優秀だったが、志望校への受験に失敗。「挫折のなか、寄り集まるようになったのだろうか」(同)
4人が卒業した中学校でも、11年前の事件は時間の経過とともに忘れ去られ、ホームレス問題が扱われることはなかった。
≪居場所なく≫
寝ている人を襲い、「ホームレスは死んでも構わない」と言い放つ。同様の事件は各地で相次いでいる。
ある捜査員は「最近の少年は他者へのやさしさと、“こうされたら人が困り、大変なことになる”との想像力が欠如している。だから、犯行がエスカレートする」と指摘する。
ルポライターの北村年子さんは、ホームレスが若者に大阪・道頓堀川に投げ落とされ死亡した事件(7年)など、全国のホームレス襲撃を取材し、200人以上の少年らから話を聴いてきた。
「居場所がなく深夜徘徊を続ける意味では、少年たちも精神的なホームレス状態。大阪の事件の加害者が『自分を見ているようで腹がたった』と語ったように、自己嫌悪が他者への暴力の奥底にある」
ホームレス自立支援法の施行(14年)を機に都市部では自立支援センターが設立され、ホームレスの人数も減った。しかし、再び公園や路上に戻るケースは多い。自力で立ち直ろうとする意志が必要なことはいうまでもないが、働く意欲があっても、仕事をなかなか選べない現実もある。「ネットカフェ難民」という新たな問題も出現している。
北村さんはいう。「格差社会といわれるなか、頑張ってもつまずき、ホームレスになる可能性は誰にでもある。そういうことを大人も改めて認識し、地道に少年たちに教えていくしか、こうした事件への解決策はない」
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最終更新:8月13日13時57分