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学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇 = ITpro
http://www.asyura2.com/07/social4/msg/618.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 7 月 28 日 18:02:34: mY9T/8MdR98ug
 

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070725/278300/?P=2&ST=security

ー 今年に入ってから、中高生を中心に流行している「学校裏サイト」が、わいせつ画像の受発信やいじめの温床になっているとして、にわかにクローズアップされている。子どものインターネット利用の問題に取り組んできた群馬大学社会情報学部大学院研究科教授の下田博次先生は、早くから学校裏サイトの存在を問題視し、調査を続けてきた。その下田先生に学校裏サイトを中心とした子どものインターネット利用の実態と、そうした現実に親はどのように向きあうべきなのか、話を聞いた。

■自分の裸をケータイカメラで撮影して、サイトに掲載する女子中高生

ー 中高生の間で流行っている学校裏サイトが、子ども同士の誹謗中傷やわいせつ画像のやりとりの場になっているとして、社会問題化しています。先生はこの問題に以前から取り組まれていたそうですね。

下田氏:学校裏サイトの存在に注目して追跡調査を行うようになったのは、約2年前からです。「すごいことが始まった」というのが率直な感想でした。
 学校裏サイトというのは、学校の公式サイトとは別に、子どもたちによって立ち上げられた学校内の情報交換を目的としたサイトです。この中では学校行事や定期テストの情報交換など、中高生らしいやりとりもされているのですが、それだけではありません。「3年A組の○○はきもい」とか「○○は死んでよし」といったかなりきつい誹謗中傷やデマが、実名を挙げて書き込まれていたりします。あと多いのが、わいせつ画像です。女の子が自分の裸をケータイカメラで撮影して、「見てね」と掲載するようになった。大人にとっては、にわかに信じがたいことがサイトの中で起きています。

ー 学校裏サイトは、全国でどれぐらい広がっているのですか。

下田氏:これは私たちの研究室の推計なのですが、だいたい1万5000の学校裏サイトが存在していると考えています。決して一部の子どもたちの間で行われていることではないんですね。

 これまで有害情報というと、大人が有害情報の発信者で、子どもはその被害者という構図で捉えられてきましたよね。けれども今深刻な問題となっているのは、子ども自身が有害情報の発信者になっていて、子ども同士で有害情報のやりとりをしているということなんです。

ー 学校裏サイトで誹謗中傷を書き込まれた子どもの精神的ショックは、計り知れないものがあるでしょうね。同じ学校に通っている誰かが、悪意を持って掲示板に書き込みを行うわけですから。

下田氏:一度誹謗中傷やうわさが流れると、その情報が事実かどうかに関係なく、クラスメートや部活の仲間など周囲に知られてしまいますからね。書き込みが多くの人の目にさらされるため、集団的ないじめに発展しやすいという問題があります。

■ インターネット機能付きのケータイを子どもに持たせているのは日本だけ

ー どうしてこのような現象が起きるようになったのでしょうか?

下田氏:私は一番の責任は、大人が子どもにケータイを安易に与えたことにあると考えています。
 子どものネット利用は、ほとんどがケータイを使って行われています。ケータイからのネット利用が、パソコンによるネット利用と一番違うのは、大人の目が届きにくいところです。パソコンであれば画面が大きいし、家族で共用している場合が多いですから、子どもがネットを使ってどんな情報に接しているか管理できますよね。本当のところはそれさえも大変なのですが……。
 ところがケータイだと、子どもが夜中に部屋の中で掲示板に何を書き込んでいるか、チェックのしようがありません。同じ問題は学校でも起きていて、先生の授業がおもしろくなければ、授業中でも机の下で指を動かして「あいつの授業つまんねーよ」とメールを打つことができるし、ケータイサイトでマンガを読むこともできます。昼休みにはトイレの個室で出会い系サイトにアクセスすることだってできる。つまり親や教師の見守りが、非常に難しいツールなんです。

ー だから子どもは親も教師も知らないところで、同級生の悪口やエッチな話題で盛り上がることができるわけですね。

下田氏:思春期は性への関心が非常に強くなる時期です。そのときに学校裏サイトの中でわい談が起きるのは、ごく当然の現象です。男の子が「女の子の裸が見たい。見せてよ」と書き込めば、「いいよ」と応じる女の子が出てきます。また子どもは、インターネットを使いこなす上で必要とされる判断力や自制心、責任感を身に付けていませんから、人の心をずたずたに傷つけるような誹謗中傷を軽い気持ちで書き込んだりします。
 ですから繰り返しになりますが、一番の責任はそういう有害性の高い情報の受発信が簡単にできるツールであるケータイを、安易に子どもに与えた大人側にあるのです。

ー ケータイを使った子ども同士による誹謗中傷やわいせつ画像のやりとりといった問題は、ほかの国では起きていないのでしょうか。

下田氏:起きていません。そもそもインターネット機能付きのケータイを子どもに持たせているのは、世界の中でも日本だけです。インターネット先進国と言われているアメリカの家庭でも、子どもに使わせているのはパソコンのみです。しかも最初はフィルタリングソフトをかけ、ルールや判断能力を身に付けてから徐々にフィルタリングを外すようにしています。
 ですから海外の研究者は、日本の現象をいぶかしく思っています。私もよく海外の知人から、「あんな道具を自由に子どもに使わせているなんて、日本の子どもは生まれつきリテラシーがあるんだね」と皮肉を言われます。なにしろ日本の場合、子どもにケータイを自由に与えているだけではなく、そのケータイにフィルタリングさえかかっていないというケースが一般的でしたからね。国の要請を受けて、携帯通信会社がフィルタリング機能の強化に取り組み始めたのは今年に入ってからです。ケータイをめぐる日本の子どもの現状がここまで深刻になったのは、携帯通信会社の責任も大きいと言わざるを得ませんね。

ー 携帯通信会社各社は、「安心・安全」というキャッチフレーズでキッズケータイやジュニアケータイを出していますが……。

下田氏:学校裏サイトへの書き込みは、キッズケータイなどからでも可能です。現に子どもたちはこれらのケータイを使って、自分の裸の画像を発信している。「キッズケータイだから安心」というのは親の幻想に過ぎません。

■ ケータイを子どもに買い与えている親が責任を負うべき

ー 学校裏サイトがこれだけ社会問題となっている中で、大人はどのような態度で臨めばいいのでしょうか。

下田氏:去年の夏、ある中学校の校長が真っ青な顔をして私の研究室に飛び込んできたことがありました。女子生徒が、自分の顔と他人のヌード写真を合成した写真が学校裏サイトに掲載されてしまったと、女子生徒と母親が校長のところへ泣きついてきたと言うんですね。そこで校長は初めて学校裏サイトの実態を知って、あまりにひどい内容に仰天した。それで私のところに「どうすればいいのか」と相談にやってきたんです。
 校長は「今すぐ生徒に指示して、学校裏サイトを閉鎖させたい」と言う。けれども私は「それは無理です」と話しました。注意すればやめさせられるという考えは、インターネットというメディアを理解していない人の発想です。
 実はほかの学校でも同じような事件が起きて、校長が朝礼で「こんなことはやめろ」と怒鳴ったことがありました。しかしその学校の裏サイトにはすぐさま「やめさせられるものなら、やめさせてみろよ」という挑発的な書き込みが行われました。こうなると学校としては、打つ手がなくなります。インターネットは匿名性の高い世界なので、誰がその書き込みを行ったのか絞りようがないからです。わいせつ画像が貼られていたとしても、営利目的ではないから警察も動けない。

ー では、どのような方策が考えられるでしょうか。

下田氏:まず悪質な書き込みを発見したとしたときに、一方的に怒鳴るのは逆効果です。生徒の反感や嘲笑を買って、書き込みがエスカレートするだけです。
 また学校と親の両者が認識しておくべきなのは、本来ケータイをめぐる問題は学校の責任ではなく親の責任である、ということです。学校が「子どもにケータイを持たせてください」と親に頼んだわけではなくて、親が自分の判断で子どもにケータイを与えているわけですから、その責任も親が担うべきです。親が学校に対して「学校で何とかしてくれ」というのは無責任であり、本末転倒です。学校としては集会を開いて保護者を集め、「みなさんが子どもに与えているケータイというのは、こんな機能があって、その機能を使ってこういうことが行われているんですよ」ということをきちんと伝え、親自身に考えてもらう必要があります。

ー 親の中には、子どもがケータイを使ってどんなことを行っているか知らない人が多いようですよね。

下田氏:そうなんです。娘がケータイで男性を通じて援助交際を行っていることを知った親の多くが口にするのは、「ケータイを使って、そんなことをやっているなんて思ってもみなった」という言葉です。自分がどんなリスクを持った道具を子どもに渡しているか、無自覚なんですね。もともと携帯電話会社の説明責任が果たされていなかったので、親だけを責められませんが、今できることは、学校裏サイトへの悪質な書き込みが発覚したときこそ、ケータイをめぐる問題に気が付き、自分の子どもや地域の子どもをどう育てていくべきなのか、真剣に考えることだと思います。

ー 「子どものケータイは親の責任で」ということですが、では子どもが「ケータイが欲しい」と言い始めたとき、親はどう対応すればいいのでしょうか。

下田氏:まず親自身が、ケータイの特性や子どもたちがどんなふうにケータイを使っているのか、しっかり勉強することです。その上で息子や娘にケータイを持たせるメリットとデメリットは何なのか、自分の頭で考えて判断する必要があります。
 また、子どもに対しては「なぜ欲しいのか」をきちんと聞く。子どもから「なるほど、それだったら必要だ」と納得できる言葉が引き出せたときだけ、ケータイを買い与えればいいのです。しかもいきなり自由勝手に使わせるのではなくて、インターネット機能は子どもには必要ないと判断したら、通話とメール機能だけでよい。またインターネット機能を利用するときでも、最初の段階ではフィルタリングをしっかりとかけて、子どもが判断力や自制心、責任感を身に付けてきた段階に沿って、徐々にフィルタリングをはずしていく。そして何かトラブルが起きたときには、学校に責任を押しつけるのではなく、親が責任を取る覚悟も求められます。

ー ケータイにどっぷり浸かっていて、もしかしたら学校裏サイトに書き込みをやっているかもしれない子どもを持つ親の場合は、どう対処すればよいのでしょうか。もう手遅れなのでしょうか。

下田氏:いや、そんなことはありません。ただし先ほども話したように頭ごなしに「やめろ」と言っても、思春期の子どもは反発するだけです。最近は情報モラル教育を行う学校が増えていますが、多くの子どもはバカにして話を聞こうとはしません。
 けれども説教や道徳論には耳を傾けない子どもでも、「ネット世界で危険な目に遭わないためにはどうすればいいか」といったリスク情報には強い関心を示します。「危険な目に遭ってもいい」と思っている子どもはいませんからね。ケータイ、インターネットの落とし穴に落ちないようにするにはどうすればいいのか、説教ではなくリスク回避の方法を伝えていくことが、子どもの心に一番響くと思います。


プロフィール 下田 博次(しもだ・ひろつぐ)
 群馬大学社会情報学部大学院研究科教授。専攻は情報メディア論、情報社会論。「インターネット時代のメディアリテラシー」などを研究テーマとしており、子どものケータイやインターネット利用問題に取り組むNPO団体・ねちずん村の村長も務めている。著書に『ケータイ・リテラシー〜子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない!』(NTT出版)など。

筆者紹介 長谷川 敦(はせがわ・あつし)
 1967年広島県生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターになる。ビジネス、文芸、さまざまな社会現象や社会問題、動物ものなど、幅広いジャンルをフィールドとしているが、とりわけ学校や子どもをめぐる問題については、テーマにしてから10年以上のキャリアを持つ。社会環境が変化する中で、今どきの子どもたちの自己観やコミュニケーションの形がどのように変わってきているかに、深い関心を抱いている。

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