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省の支援頼りに天下り先設立 旧運輸省OB、発注要請【東京新聞】
2007年7月7日 07時59分
海外で港湾調査を行う財団法人「国際臨海開発研究センター」(OCDI、東京都港区)の元理事長らが2000年、同じ業務を行う新会社を設立するため、当時の運輸省(現国土交通省)港湾局長に調査業務の発注を要請していたことが、OCDIの内部資料で分かった。元理事長は同省の有力OB。新会社は翌年に設立され、同省の調査業務をOCDIの下請けで受注した。元理事長は03年に新会社の2代目社長に天下りしており、官僚OBが出身省庁の支援を頼りに、天下り先を拡大した実態が浮かび上がった。
内部資料は「新会社設立について(港湾局説明資料)」と題され、2000年4月に「厳秘」扱いで作成された。OCDIの当時の西田幸男理事長と黒田秀彦専務理事、運輸省港湾局長と同省技術参事官の4人に「限定配布」とされている。西田、黒田両氏はいずれも同省第二港湾建設局長で退官し、OCDIに順次天下りした。
関係者によると、OCDIは1976年に設立され、独立行政法人「国際協力機構」(JICA、旧国際協力事業団)から、海外での港湾調査業務を随意契約で独占的に受注してきた。
ところが、旧事業団が02年度から競争入札を導入することになり、OCDI内部で「公益法人が民間のコンサルタント会社と入札で競争するのは好ましくない」との意見が出て、新会社を設立することになった。
2000年4月、西田氏と黒田氏が当時の運輸省港湾局長と面会し、資料に沿って説明。資料には「新会社の収支見通し」として「01年度に会社を立ち上げ、05年度まではOCDI経由で運輸省調査を0・5億〜0・8億円の範囲で受注」「資本金の調達及び運輸省からの調査費支援により、当初より黒字経営が可能」と記されている。
新会社は01年4月、東京都港区に設立された。初代社長には、元運輸省港湾技術研究所長のOCDI理事が就任している。
OCDIは01−05年度に国交省から随意契約で、港湾調査業務を総額約15億4600万円受注。新会社は同じ5カ年度にOCDIから8900万円分を請け負った。
また、新会社は同省から「業務資料作成」費として約360万円を受注していた。
▽西田幸男・国際臨海開発研究センター元理事長の話 当時のことは覚えていないが、資料を見る限り、運輸省に支援を求めたと受け取られても仕方がない。
<解説>
国土交通省が所管する国際臨海開発研究センター(OCDI)が、新会社の設立で旧運輸省に業務の発注を求めていた問題は、官僚OBが天下り先の拡大に“官製会社”を利用している実態を浮かび上がらせた。
東京地検特捜部が5月に摘発した独立行政法人・緑資源機構の談合事件でも、林野庁天下り先の公益法人が出資した民間会社の存在が、次々と明らかになった。機構はこれらの官製会社に優先的に業務を発注していた。
OCDIの内部資料には、新会社の資本金の8割以上に当たる5千万円を、海洋土木会社(マリコン)に拠出させようしていたことも記されていた。マリコンは国交省の港湾工事などを受注しており、官僚OBが出身省庁による公共工事の発注権限を“武器”に資金集めをもくろんだ構図だ。
天下りをすべて否定するつもりはない。しかし、出身官庁との不透明なつながりは、官製談合や税の無駄遣いの温床になる。天下りを規制する法案が先の国会で可決されたが、それだけでは不十分だ。官製会社の実態を監視する必要がある。(社会部・寺岡秀樹)(東京新聞・中日新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007070790075923.html