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朝鮮総連本部詐欺事件 転落元長官 事件屋の顔【東京新聞】
2007年7月7日 夕刊
高検検事長や公安調査庁長官を経験した大物検察OBの関与が、大きな衝撃となった在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央会館の売却話をめぐる詐欺事件。東京地検特捜部の捜査が進むにつれ、大金をもくろんで怪しい地上げビジネスに手を染めた元公安庁長官緒方重威(しげたけ)容疑者(73)=詐欺容疑で逮捕=の姿が浮かび上がってきた。「元検事長、元長官というブランドを最大限に活用しているが、実態は“事件屋”。検察の恥だ」。後輩の検察幹部はそう吐き捨てた。 (社会部・小嶋麻友美)
東京・六本木。今春オープンした「東京ミッドタウン」にほど近い一等地に、コンクリートが黒ずんだ廃虚のような複数のビルがそびえ立つ。暴力団組長だった故町井久之氏の本拠があった通称「TSKビル」だ。
敷地は約千二百坪。増設を重ね、一帯は“迷路”のようになっている。二〇〇二年の町井氏の死後、土地・建物の処分に暴力団関係者や不動産ブローカーらが頻繁に入り込み、所有権や抵当権は複雑に入り乱れた。一時は誰も手が付けられず、「幽霊ビル」とささやかれた。
このいわくつきの物件争奪戦に〇五年秋、緒方容疑者とパートナーの元不動産会社社長満井忠男容疑者(73)=詐欺容疑で逮捕=の二人が参入を図った。
「検事長までやった偉い先生だ」。建物三棟を売却しようとしていた千葉県の不動産業者に、満井容疑者はそう言って緒方容疑者を紹介したという。緒方容疑者はいったん業者の代理人に。その後、不審に思った業者が代理人契約を解除したが、緒方容疑者らは別の不動産会社に転売する取引に介入。三億円の売却益をめぐり、トラブルに発展している。
さらに緒方容疑者らは今年に入り、権利が虫食いになっていたマンション棟の一部を二十五億円で購入、転売しようと計画。相手方への「見せ金」として、満井容疑者が総連から受け取った四億八千万円のうち一億円を充てたとされる。
特捜部は、両容疑者が見せ金の用意を急いでいたことも、総連から巨額の金を詐取する動機の一つだったとみている。検察幹部は「総連の売却話以外にも、二人はいろいろ危ない商売に手を出していた」と言う。
二人は三年ほど前から、日本政府が中国で進める遺棄化学兵器の回収事業にも着目。仲介役の不動産ブローカーに七千万円を貸し付け、本格参入をもくろんだ。六月一日に総連中央会館の所有権移転登記を済ませた直後、そろって中国に渡航していた。
緒方容疑者が九年前、強制執行妨害事件で警視庁に摘発された満井容疑者の弁護を引き受けたことをきっかけに距離を縮めた二人。「話術にたけ、人に取り入る能力は人一倍だった」(関係者)という満井容疑者が緒方容疑者を丸め込み、詐欺ビジネスの「表の顔」として利用したように周囲には映った。
その一方で、緒方容疑者が一昨年、満井容疑者の自宅を知人から買い戻すため、四億三千万円もの借金をしたころから二人の関係が変質したという見方もある。
二人を知る投資会社役員は「緒方さんは、金のために満井さんを動かす“鵜匠”(うしょう)になっていった」とたとえて言う。
「緒方さんは現役時代とは大きく変わってしまった。寂しいことだが、我々は反面教師としてえりを正すしかない」。別の検察幹部はつぶやいた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007070702030437.html