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シベリア抑留死亡者名簿 村山常雄さん 今月出版【東京新聞】
2007年7月7日 夕刊
戦後、旧ソ連のシベリアなどに抑留され、死亡した元兵士らの名簿をデータベース化する取り組みで昨年度の吉川英治文化賞を受賞した元中学教員の村山常雄さん(81)=新潟県糸魚川市能生=が、名簿を書籍化した「シベリアに逝きし人々を刻す」を今月発刊する。これまでインターネットのホームページで名簿を公開していたが、高齢の遺族らからの出版を望む声に応えた。
村山さん自身も、旧ソ連・ハバロフスクに近いムーリー収容所などに三年十一カ月間、抑留され、極寒と飢えの中で重労働を強いられた。仲間は相次いで死んでいった。
一九六九年、初めて旧ソ連に墓参した村山さんは、遺体を埋葬した跡の「土饅頭(どまんじゅう)」の列を目の当たりにした時、非業の死を遂げた一人一人の兵士たちの無念を晴らしたいと念じたという。
旧ソ連が抑留中に死亡させた犠牲者の名簿を日本政府に提供するようになったのは、ゴルバチョフ大統領時代の九一年以降。その後、詳しい個人データも提供されたが、ロシア語を直訳した不自然なカナ表記のため、遺族が混乱することも少なくなかった。
漢字表記による正確な名簿を作ろうと決意した村山さんは、ソ連提供の公式資料以外にも、抑留者が持ち帰った名簿の提供を受けるなど地道な作業を続けた。七十歳から始めたパソコンで十年がかりで名簿を作成、一昨年八月から、インターネットで公開していた。
旧ソ連のシベリアやモンゴルなどでは六十万人前後の旧日本軍の軍人、軍属らが抑留され、五万五千から六万人が死亡したといわれている。
同書ではこのうち四万六千三百人を五十音順に収録。氏名や階級、死亡時の年齢だけでなく、死亡年月日、死亡した場所や埋葬地について、村落名などとその位置を緯度・経度で示すなど、具体的なデータが示されている。
「この名簿はけっして完結編ではありません。研究者や若い世代の志ある方々に、シベリア抑留の実態や抑留史研究の基礎資料の一つとして利用してほしい」。本来、国がやらなくてはならない仕事を担っている村山さんは、高齢者でも簡単に閲覧できるように、公共図書館などへの普及を願っている。
同書はB5判、約一千ページ。七千五百円(税込み)。七月二十日ごろ販売される予定。問い合わせはプロスパー企画=電03(3946)5911、ファクス03(5395)5327=へ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007070702030432.html