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欠陥マンション、建築業者に賠償責任 最高裁初判断「安全損なえば」
【中日新聞】2007年7月7日 朝刊
マンションの所有者が、ひび割れなどの欠陥があったとして設計業者と建築業者を相手に計五億二千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が六日、最高裁第二小法廷であった。今井功裁判長は「基本的な安全性を損なう欠陥があり、居住者らの生命や身体、財産が侵害された場合、設計・施工業者は不法行為に基づく賠償責任を負う」と、従来より救済範囲を拡大する初判断を示し、所有者側の訴えを退けた二審の福岡高裁判決を破棄。同高裁に、あらためて業者側の不法行為責任の有無について審理のやり直しを命じた。
二審は「不法行為と認められるのは、欠陥が建物の基礎や主要部分にかかわり、社会的、公共的に危険な場合に限る」と厳しい基準を示していたが、同小法廷はこれを覆し、業者側の不法行為が成立する範囲を広げた。
欠陥住宅をめぐり、売り主が買い主に対する売買契約違反を理由に賠償を命じられるケースは多い。今回の判決は、直接の契約関係がなくても建物の欠陥で損害を受けた場合は、建築業者や設計業者に賠償請求できることを示しており、同種の訴訟に影響しそうだ。
今井裁判長は「建物には、居住者や隣人、通行人などの生命、身体、財産を守る安全性が必要。建築業者は安全性が欠けないよう配慮する義務がある」とし、所有者以外に対する業者側の責任も指摘。不法行為が成立する例として「バルコニーの手すりの欠陥でも、通常の使用で転落する危険があれば認められる」と基準を示した。
訴えていたのは、大分県内の親子。マンションは同県別府市内に建設された九階建ての建物で、一九九〇年に計約五億六千万円で前所有者の男性から購入。その後、欠陥が多数見つかったため、九六年に契約関係はないもののマンションを施工した建築会社と建築事務所を提訴。一審の大分地裁は業者側の不法行為を認め、業者側に計約七千四百万円の支払いを命じた。二審は訴えを退けた。
<不法行為責任> 故意や過失で権利や利益を侵害した場合、発生した損害を賠償する責任。民法で規定され、加害行為の違法性や加害と損害に因果関係があることなどが必要とされる。損害賠償請求権は、不法行為を知った時点から3年、行為があってから20年が経過すると消滅する。一方、契約に基づき売買したものに欠陥が見つかった場合、売り主側が過失の有無にかかわらず損害賠償の義務を負うのが瑕疵(かし)担保責任。実務上、特約などで引き渡し後1−2年間は賠償請求できると定めるケースが多い。2000年施行の改正住宅品質確保促進法で、新築住宅の基本構造に欠陥があれば10年間請求できるようになった。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007070702030223.html