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教員免許10年更新、重荷に 地方の国立大「対応できぬ」【中日新聞】
2007年6月25日 夕刊
改正教員免許法が今国会で成立し、二〇〇九年度から十年ごとの教員免許更新制がスタートすることが決まった。どのように実施していくか、具体案づくりはこれからだが、更新講習の一翼を担う国立大学は財政難や人手不足にあえいでおり、新たに加わる重荷に「対応しきれない」と悲鳴を上げている。
小中高校の現職教員は約百十万人。更新講習は、年約十万人余りが受講することになり、教員養成課程を持つ大学・短大八百五十五校のうち、文部科学省が認定した大学が中心になって行う。
仮に八百五十五校すべてで講習ができれば、一校平均百三十人の受け入れで済む。しかし、「年中いつでも受講可能」といった文科省の認定要件を、すべての大学・短大が満たせるとは考えられず、数百人の受講者を引き受ける大学も出てきそうだ。
特に負担が大きくなりそうなのが私大が少ない地方の国立大。財政難から必要最低人員で経営しており、更新講習の引き受けに難色を示す大学も多い。
岐阜大の佐々木嘉三副学長(教育担当)は「岐阜県内では年間約千人の講習をしなくてはならない。岐阜大は年間1%の経費削減をしており、教員増が望めない中、三十日もの講習を具体的にどういう形でやるのか、早く決めてもらわないと対応が難しい。教育学部はぎりぎりの人数でやっている現況からして、教職員のかなりの負担増が心配される」と言う。
人手不足の現状に加えて、教員養成系大学を軒並み大幅削減とした財務省の運営費交付金の配分試算が、国立大の危機感に拍車をかけている。
文科省は「大学に更新講習をしてもらうには、それなりの土産が必要」(幹部)と、大学の「収入」になるような制度導入を検討しているが、国がどこまで財布のひもを緩めるのか未知数だ。
福岡教育大の大後忠志学長は「うちは地方、教育、単科大という三重苦の中、ぎりぎりの経営をしている。講習をするのは社会的な責務だと思うが、通常の講義だけでも手いっぱいで、人員が足りない」と話す。
東京学芸大の鷲山恭彦学長も「教員のリニューアルという更新講習の趣旨に見合うだけの質を維持するには、大学側にもそれなりの準備が必要だが、そんな余力が残されていない」と指摘する。
一方、今回の改正を前向きにとらえる大学も。三重大の山田康彦教育学部長は「学部や大学院の教育に影響が出ない形で態勢を整えなければならない。地方大学には、その県の教育に役立つ学部になる必要がある。三重県の教育や教員にプラスとなる研修になるよう、積極的にカリキュラムなど考えていきたい」と話している。
【改正教員免許法】 終身制だった現在の教員免許を2009年4月から有効期間10年の更新制とし、期限前に30時間以上の更新講習を受け、修了認定を受けると免許が更新される。校長や教頭、勤務実績が優良な教員は更新講習が免除される一方、指導力不足と認定され、その後の研修でも改善されなかったとして分限免職処分を受けた教員の免許は失効する。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007062502027094.html