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民営化へ交渉力確保 JPUが統合承認 連合内の地位保全も【東京新聞】
2007年6月22日 朝刊
郵政職員の二大労働組合が十月に統合し、組合員数二十二万人という国内最大の労組が誕生することになった。日本郵政公社労働組合(JPU、旧全逓)が二十一日、那覇市で開いた全国大会で全日本郵政労働組合(全郵政)との統合方針案を賛成多数で承認したためだ。統合の背景には何があったのか。 (花井勝規)
統合のスケジュールは、十月一日の郵政民営化から三週間後の同月二十二日。双方が臨時大会を開き、統合を最終決議した後、新労組「日本郵政グループ労働組合」(略称・JP労組)の結成大会を開く。委員長など幹部人事や本部所在地などは統合までに詰める。
組合員数二十二万人は、民間の単一労組としてはNTT労組の約十八万五千人を大きく上回る。現在の郵政公社は民営化後、持ち株会社と四つの事業会社に分社化されるが、労組側は単一組織を維持することで「経営側との交渉を有利に進められる」(全郵政)との計算だ。
組合員は民営化により、これまで制限されていたスト権を獲得できるほか、組合の規模拡大によって負担している組合費負担が圧縮されるというメリットがある。
新組合は、「ゆうメイト」と呼ばれる非常勤職員への組合員化の働きかけを強化し、さらに規模拡大を図る作戦だ。JPUの菰田義憲委員長は大会終了後、記者団に「二年以内に三十万人体制を達成したい」と意気込みを語った。
なぜ今、巨大化を志向するのか。最大の理由はやはり、西川善文社長率いる民営化会社との交渉力の確保だ。「民営化後は多くの子会社をつくることが想定される」(JPU幹部)ため、社員の転籍、出向の機会が格段に増える。「ほっておいたら弱体化の一途をたどる」(連合幹部)ことはこれまでの労働組合の歴史を見ても明らかで、それを防ぎたいという危機感が背景にある。
二つ目の理由は、連合内部や政治への発言力の確保だ。連合内の主要組合の中では、常に組合員数以上の得票数を稼いできたとの自負がありながら、郵政民営化が争点となった一昨年の総選挙では応援した民主党が郵貯縮小論を展開するなど「苦い経験」(JPU幹部)があるからだ。
両組合の統合構想は、過去に何度も浮かんでは消えた経緯がある。JPUの前身、全逓は、旧総評系の“闘う全逓”として知られ、旧同盟系で労使協調路線の全郵政との間で労・労抗争を繰り広げた。全郵政の一部組合員には依然、全逓アレルギーが残っていたためだ。
だが、過去のしがらみも二年前の郵政民営化反対運動での共闘をきっかけに和らげられた。「過去の路線対立を超えて統合が決断された。それだけに意義は大きい」と連合幹部は歓迎している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2007062202026146.html