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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070508-00000014-mai-soci
<赤ちゃんポスト>20年前、群馬にも 6年で10人預かる
5月8日3時8分配信 毎日新聞
10日にも熊本市の慈恵病院で国内初の「赤ちゃんポスト」の運用が始まるが、その原型ともいえる施設が約20年前、群馬県にあった。戦後、私財を投じて養護施設を設立するなどの活動で知られる、吉川英治文化賞受賞者の品川博さん(99年に83歳で死去)が発案した。死亡した乳児が見つかる事案もあり、活動は6年弱だった。赤ちゃんポストには賛否両論あるが、当時の関係者は「親への批判はあっても、子どもの命を救うことは別の問題のはず」と今回の取り組みを注目している。【鈴木敦子】
同県大胡町堀越(現前橋市堀越町)の農村に建てられたプレハブの「天使の宿」で86年に設置。畳約2枚の空間を上下に仕切り、布団を数枚敷き詰めた。「子どもを置いたら電気をつけて」と張り紙をし、明かりがつくと約50メートル離れた施設の職員が駆けつけた。80年代は、コインロッカーに赤ちゃんが捨てられたり、「サラ金地獄」による親子心中などが社会問題化した時代。品川さんは「子どもを親の都合で殺すな」と話していたという。
約6年間で乳幼児約10人が預けられ、5歳以下の3兄弟が一緒に置かれていたことも。「うちの子、元気ですか」と度々電話してくる、母親らしき女性もいたが、名乗り出る親はいなかった。元職員(44)は「1人で赤ちゃん7人を風呂に入れた。頭を支える手がしびれ、指の皮がふやけて腫れた」と振り返る。「捨て子を奨励するのか」という匿名の手紙や電話も何度かあったが、その度に職員は「子どもには罪はない」と答えた。
品川さんは「親がいつでも迎えに来られるように」と警察や児童相談所などには相談せず、役所でそれぞれの戸籍を作り、品川さんらが後見人となった。厚生労働省は単独戸籍について「法的に問題はない」としており、当時の厚生省は「天使の宿」の存在を把握したうえで、「県が指導する」と資料に記載した。
しかし、経済的負担は大きく、子どもたちの世話はボランティアが中心だった。92年2月には預ける場所で死んでいる乳児が見つかった。届け出を受けた警察は検視の結果、病死として扱ったが、品川さんにも職員にもこの出来事が重くのしかかり、廃止のきっかけになった。しかし、元職員の成相(なりあい)八千代さん(79)は「救える命を見捨ててはいけない」と話している。
▽出産時の親の悩みなどの電話相談をしているNPO法人「ささえあい医療人権センター」(大阪市北区)の辻本好子代表の話 こうした施設は捨て子を助長するという指摘があるが、「天使の宿」は子どもが犠牲になる現状を憂いた、やむを得ない措置だったと思う。その意味で、社会に対する問題提起だったとも言える。捨て子を生まない法的支援や命の重みを若い世代に教えるなど、社会がすべきことはたくさんある。
最終更新:5月8日3時8分