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大人が仕掛けた罠にはまる若者達
●搾取される若者たち 阿部真大著(集英社 640円)
渋滞の車列をすりぬけて走るバイク便。そのライダーたちは独特の誇りを持って仕事している――と思ったらそうでもないらしい。
東大院生がバイク便ライダーになって約1年。その体験によれば1時間1100円の「時給ライダー」たちは趣味の延長として大型バイクで、すいた深夜の道を爆走し、楽に金を稼ぐのが楽しみなだけ。ところがその上に位置する「歩合ライダー」になると心情が一変。彼らはカッコ悪くとも渋滞をすり抜けやすい小型バイクに乗り換え、仲間内で時間短縮の腕前を競い合い、しだいにワーカホリックの道に落ち込んでいく。
しかし事故を起こせば治療費も補償修理費もすべて自分持ち。しかも業界の方針でいったん歩合ライダーになった者は時給ライダーには戻れない。それでも若者たちは独自の狭い価値観の下で歩合ライダーの重労働の世界に陥ってゆく。
著者によれば、ほとんどが零細の会社も「搾取」の意識はなく、むしろライダーたち自身の価値観が問題という。プチナショナリズムにも通じる若者たちの心情の一端が見える。
●退化する若者たち 丸橋賢著(PHP研究所 720円)
世の中にあふれている小顔小尻の女、地べたにしゃがむ男。その体はゆがみ、冷え、肩こり、頭痛、生理痛が絶えず、心の中は無気力なまま。
群馬県で有名な歯科を営む著者は「歯の噛み合わせを直せば多くの問題が解決する」と説く。さらに議論は噛み合わせを超え、日本文化を保守化せよ、アメリカの影響をぬぐい去れという政治論にも展開。
昔ながらの良さを見直す「いのちの保守主義」の主張へと行き着く。
●若者殺しの時代 堀井憲一郎著(講談社 700円)
60年代、若者たちは大学闘争の日々のなかで政治論議に明け暮れた。しかし70年代、政治は一気に退潮し、彼らは消費へと進路を変える。80年代には文学や哲学が消費文化の対象になり、「遊びつづける知」というフレーズが普及。“おたく”も登場した。ところが89年に宮崎勤事件が起こり、おたくは白眼視の的に。バブルに酔う90年代は「停滞する消費」の時代。ドラマの中心に恋愛が陣取るトレンディードラマが大流行。もはや若者は大人の仕掛けた消費に踊るだけになり、東京一極集中も徹底された。こうして創造性をとことん奪い去る「若者殺し」が進展したのだ。時代はどこへ向かうのか?