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http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20080108dde012070003000c.html
去年のクリスマスイブの夜、東京外環自動車道を走っていたマイクロバスのドアが開き、乗っていた11歳のサッカー少年が転落。後続の2トントラックにはねられ、頭を打って死亡した。ちょっと前まで笑顔だった少年が……あまりに痛ましい事故だった。
ドアの開閉操作ミス? バスを運転していたコーチが逮捕された。が、それだけではなかった。後続のトラック運転手も「少年をはね、死亡させた疑い」で逮捕された。まさか、隣の車線から少年が落ちてくるなんて……運転手にとっても「一寸先は闇」だった。
現場は外環道の大泉出口の分岐点。制限速度が「時速40キロ」と表示されている。後続トラックは時速80キロ。確かに速度違反である。だが、現場を何度か通ってみると、この辺りは60〜80キロぐらいが「流れ」になっている。何しろ特別の料金を払う高速自動車道である。少年を乗せたマイクロバスも時速約70キロで走っていた。
制限速度以内であれば事故を未然に防げたのか? それは分からない。逆に「80キロの流れ」の中で、急ブレーキを掛けたりしたら、別の大事故が起こる可能性もある。不運としか言いようがない。
二度と起こしてはいけない事故だが……後続の運転手まで逮捕する必要があったのか? 気の毒すぎないか。
罪証隠滅の恐れ、逃亡の恐れがある場合、容疑者の身柄を確保するのが逮捕である。メディアが取り上げる大事故なので「徹底した交通取り締まり」を印象付けようとしたのだろうか。しかし、「逃走の恐れ」のない容疑者を次々に逮捕することになったら、高速を走る運転手は「一寸先の逮捕」を覚悟しなければならなくなる。
ハッキリ言わせてもらう。権力はいとも簡単に市民を拘束する。自由を奪う。情において忍びないことを平気でする。でも、これは「法の平等」が保証されるから認められるのだ。
しかるに権力は身内の犯罪に甘い。かつて日医連ヤミ献金事件では1億円の大金をもらった政治家たちが逮捕されることもなく、1人が在宅起訴されただけで、有力政治家はいまだにのうのうとしている。捜査中の防衛汚職では「オコボレをもらった官僚たち」はいまだに逮捕されずにいる。
ある者は逮捕され、ある者は野放しにされる。
新しい年に誓う。我々はこの「人権の格差」を見過ごさない。(専門編集委員)
毎日新聞 2008年1月8日 東京夕刊
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