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2008年01月06日
円は今やローカル通貨と言い放った元財務官僚
日経新聞に「YEN漂流、私はこうみる」という連載が続いている。その1月5日紙上に衝撃的な記事を見つけた。発言の主は米国際経済研究所長フレッド・C・バーグステン氏である。
バーグステン氏はカーター政権で財務次官補を務めた後、国際経済研究所を設立し、有力シンクタンクに育て上げた米国の国際経済政策のご意見番の一人だ。APEC(アジア太平洋経済協力会議)の賢人会議議長を務めた事もある自由貿易主義者である。その彼が「日本はもはや国際金融の脇役だ」と次のように語っていたのだ。
「ドルが支配的な通貨であり続けたのは、競争相手がいなかったためだ。ユーロ誕生で状況は大きく変わった。ユーロ圏は米国と同じ経済規模を持ち、貿易量も外貨準備の額も優る。債権発行もドルよりユーロが多く、将来、ユーロはほぼドル並みの地位を占めるようになろう・・・今後20年から30年の間にユーロとドルの二極通貨体制が誕生するだろう。そして、40年から50年後には、中国の人民元が第三の極として台頭し、三極の通貨システムができる。アジアには人民元ブロックが成立し、日本はその一員になる・・・日本の国際競争力は15年から20年前がピーク。その時なら円をアジアの基軸通貨、そして世界の主要通貨に育てられたが、好機を逃がした・・・」
金融はいまや軍事力と並んで、いや、平和的な手段で人々の暮らしを左右すると言う意味でそれ以上に有力な、世界支配の手段である。そして金融支配に果たす基軸通貨の威力がどれほど大きいかは金融専門家ならずとも容易に想像がつく。
思えば日本の指導者が世界のパワーバランスを語るとき、米国、欧州、アジアの三極構造を語り、その場合のアジアの中心は日本であると当然のごとく考え、話していた時があった。1973年に日米欧三極委員会がつくられ、毎年春に日本、米国、欧州の各都市で持ち回りの総会を重ねて、国際通商・金融問題、安全保障問題、エネルギー問題などの国際主要問題について共同研究や政策提言を行ってきた。
円の国際通貨に向けての野心さえ、つい10年ほど前までは公然と語られていた。1997年に東南アジアで通貨危機が起こった時、当時の宮沢大蔵大臣構想は300兆円を超える円による資金援助を東南アジアに提供し、東南アジアにおける円勢力圏を作ろうと考えた事があった。
ところが、日米欧委員会は、2002年4月にワシントンで開かれた第33回総会で中国が主要テーマとして取り上げられて以降、毎年の総会でアジアにおける中国の役割が議論されるようになり、もはや日米欧三極委員会の存在さえ影が薄くなってしまった。宮沢構想に至っては、米国の強い圧力の下に、日の目を見ないまま放棄させられてしまった。そして今回のバーグステン発言である。
しかし、今日のブログで私が言いたい事は事実としての日本経済の凋落ではない。日本凋落をもたらした失政の責任は誰にあるかという考察である。
実は、この「YEN漂流 私はこう見る」の連載の、元旦の日経新聞の中で、黒田東彦アジア開発銀行総裁(元大蔵省財務官)が次のように平然と述べていた。
「円がアジアで支配的な通貨になるのは難しい。円はいまやローカル通過」
金融政策の最高責任者であった元財務官が、現役を退いた後、当たり前のように優雅な天下りポストに安住し、自らの失政を省みる事なく、まるでひとごとのように円の凋落を嘆く。日本の政策責任者の無責任ぶりを見事に象徴する風景である。
実は私は外務官僚時代、個人的に黒田氏と言葉を交わした事がある。人間的には好人物である。その彼を個人攻撃するつもりはない。彼に象徴されるこの国の政治家、官僚、経済学者たちの総称としての、顔のない、姿が見えない、「日本の支配体制」の責任を問うているのである。
事は円の凋落だけに限らない。戦後我々の先輩が、そして我々が、日本株式会社の一員として汗水たらして築きあげた日本の復興、発展が、あっと言う間に、多くの国民が生活に苦しまなければならない日本に逆戻りしてしまった。ついこのあいだまで世界一、二を争う経済大国だと聞かされてきた日本が、いまや十数位に転落してしまった。
それは決して我々国民のせいではない。我々が怠けものであったり、無能であったという事では決してない。間違いなく為政者の失政の責任である。その責任の所在を追及されることは決してない。誰も取ることなく、現役をしりぞいてもなお特権を享受し続けるこの国の支配者層における 競争の欠如、談合体質こそ、日本をだめにした原因であるのだ。
明日を担う若者たちよ。古い世代を乗り超えよ。自分の生活は自分で切り拓くという気概を持て。間違っても自分自身を殺して体制に従順であった先輩たちに追従する愚をおかしては行けない。自主・自立した生き方は決してなまやさしい生き方ではない。しかしその生き方こそ自分を救う唯一の道であるのだ。世界中の国民がそうして生きているのだ。それは自分を解き放つ事である。君たちの手で日本を蘇生させることでもあるのだ。
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