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http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712271700_01.html
僕らの教科書から「軍強制」消えた/高校生ら危機感と憤り
「なぜ、正しい記述が認められないの」。沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する検定問題で、「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現を認めなかった教科用図書検定調査審議会の結論に、実際に教科書を使う立場にある県内高校生から戸惑いと不満の声が上がった。9・29県民大会で決議された「検定意見撤回」は実現せず、「僕たちや後輩たちに悪影響が出る」と危機感を募らせた。
県民大会参加後、報告会を開いた北部農林高校生徒会長で三年の島袋奈津子さん(18)は「軍は関与はしたけど、強制はしていないというあいまいな表現になっている。体験者が強制されたという事実が否定された感じがする」と懸念する。
南風原高校三年の具志沙織さん(18)は「沖縄と本土で沖縄戦に対する考え方がこんなに違うのかと無力感を覚えた。沖縄にはたくさんの生存者の証言や遺留品があるのに、どうして正しい記述が認められないのだろうか」と疑問を投げ掛けた。
その上で「あやふやな教科書では、これから歴史を学ぶ後輩たちに大きな誤解を与えてしまう。沖縄戦を経験したオジーやオバーの心の傷は決して癒えることはないのに、歴史だけが書き換えられていくようで憤りを感じる」と語った。
宮古郡民大会で「なぜ事実をもみ消し、ゆがんだ情報を伝えようとするのか」と訴えた宮古高校二年の我如古博斗君(17)は「日本軍の関与が認められたことはいいことだが、『軍』と『強制』を直接つなぐ表現が記述されなかったことはショック」と話す。親せきの高齢者から沖縄戦当時の話を聞き、日本軍の強制は歴史的事実ととらえた。検定意見の撤回が実現しなかったことに「間違った検定意見が残ると、僕たちや後輩が学ぶ上で悪影響が出る」と語った。
父親に誘われ、参加した県民大会をきっかけに、初めて「集団自決」の問題を真剣に考えるようになったという那覇国際高校三年の当真里菜さん(18)。多くの県民の熱意で埋め尽くされた会場に立って、「軍の強制があったことは間違いない」との思いを一層強くしたという。「これまで祖父母や両親、先生から沖縄戦の実相について学んできた。私たちの力で今後、再び県民が願う教科書に戻していけると信じている」と力強く語った。
[ことば]
教科書検定問題 2008年度から使用される高校歴史教科書の検定で文部科学省が沖縄戦の「集団自決」から日本軍の強制を示す記述を「誤解を与える恐れがある」として、検定意見を付け、教科書会社に削除を求めた。この問題で県内では検定意見の撤回と記述回復を求める抗議の動きが広がり、9月に11万6000人(主催者発表)が参加した県民大会が開かれた。
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