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http://www.tokyo-np.co.jp/feature/sakimori/news/071222.html
【新防人考 変ぼうする自衛隊】
第五部 国防と海外活動のはざまで <3>海外活動 文民と連携
2007年12月22日
「そこを持つと首が絞まりますよ!」。指導教官の大声が飛んだ。隊員が、負傷した同僚を装輪装甲車の中から引っ張り出している。分厚い防弾チョッキが邪魔になる。「マニュアル通りにはならないですよ」。教官は続けた。
富士山のすそ野にある陸上自衛隊駒門駐屯地(静岡県御殿場市)。「国際活動教育隊」の訓練風景だ。想定する活動地はもちろん、外国である。
昨年十二月の自衛隊法改定で「海外派兵」などの批判もあった海外活動が、国防に準じる本来任務に格上げされた。
海外派遣の司令部「中央即応集団」は三月、朝霞駐屯地(東京都練馬区)に誕生した。配下の国際活動教育隊は「次の派遣」に備え、九月から隊員教育を開始している。
周到な準備が必要になるのは、危険地帯に送り込まれるイラク型(特別措置法による派遣)だ。イラクでは部隊撤収するまでの二年半で、十三回のロケット弾攻撃を受けた。安定した駐留を目指すには、現地情勢を探るための先遣隊派遣が欠かせない。
中央即応集団は落下傘部隊の第一空挺(くうてい)団、テロ対処専門の特殊作戦群から選抜した精強な隊員約二百人を先遣隊に指名し、予防接種を受けさせている。イラク派遣時と大きく異なるのは「希望して行く」のではなく、「命じられて行く」点にある。
「勤務中、『おい、行けるか』と、部下にいつも聞いている。もし『インフルエンザにかかりました』と答えたら、『たるんでいるぞ』となる」と後方補給部長の加治屋裕一一佐(45)。
海外派遣の総本山ができた利点のひとつは、過去の海外活動で得た教訓を各方面隊から集約できたことにある。
「イラクで得た最大の教訓は、派遣先でよい関係をつくれば危険な場所でも活動できると分かったこと。地元との協調。他国の軍隊にはない発想だと思う」と、国際活動教育隊長の軽部真和一佐(47)は言う。
イラクでは、仕事のない住民を雇って治安安定を図り、すべての部族と交流して情報収集のアンテナを高くした。その教訓を受けて、中央即応集団に民生支援課がつくられた。市町村役場にあるような名称の民生支援課は、文民と連携するという役割からCIMIC(シミック、Civil−Military Co−operation=軍民協力)と呼ばれる。
連携を想定する相手は、政府開発援助(ODA)で国際貢献する独立行政法人「国際協力機構(JICA)」や非政府組織(NGO)。国連や他省庁も含まれる。
旧日本陸軍がカネと権限を握って太平洋戦争に突入した反省から、自衛隊には自由に使える予算がない。カネ不足をJICAや他省庁によって、また情報不足をNGOで補う一方、派遣先では自衛隊が輸送力や抑止力を提供することで相互補完の関係を目指す。
中央即応集団司令官の山口浄秀陸将(58)は「諸外国は役割分担しているようだ。国際貢献も効率的にやればいい」。これまで没交渉に近かった文民への急接近。反発するNGOもある。
海外活動の先進国スウェーデンは、軍が設置した教育機関で文民や警察官も学ぶ。そこで培われた人間関係は、派遣先で生きる。陸自の国際活動教育隊は「陸自のための組織」でしかないが、スウェーデン型の教育は進むべき方向を示しているという。
「自己完結型だから」。政府が自衛隊海外派遣の必要性を説明する際の決まり文句だ。変わりつつある現場の意識と、だいぶ違う。
<中央即応集団> 自衛隊の海外活動の司令部組織で、約230人。イラク派遣型の危険地域での活動、国連平和維持活動(PKO)、国際緊急援助隊、海外からの邦人輸送の4種類の活動を想定している。
<国際活動教育隊> 中央即応集団の指揮下にある教育機関で、約80人。5個の方面隊を対象に国際活動全般や国際・国内法規について、幹部教育と中堅幹部向けの陸曹教育を行う。
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<2>消えぬ空母保有の夢【新防人考 変ぼうする自衛隊】第五部 国防と海外活動のはざまで(東京新聞)
http://www.asyura2.com/07/senkyo45/msg/441.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 21 日
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