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2007.12.18 内閣支持率は順調に下がっているが・・・
「暴論珍説メモ」29
田畑光永 (ジャーナリスト)
福田内閣の支持率が政権発足三ヶ月目にして急落している。今月の報道各社の世論調査の数字を見ると・・・
『毎日新聞』(12月15,16日調査)
支持 33% (10月調査 46%)
不支持 44% (10月調査 30%)
『日本経済新聞』( 同 14〜16日調査)
支持 43% (11月調査 55%)
不支持 46% (11月調査 33%)
『共同通信社』( 同 15,16日調査)
支持 35.3% (11月調査 47%)
不支持 47.6% (11月調査 36.6%)
世論調査の個々の数字はともかく、流れははっきりしている。福田内閣の発足当初は軒並み50%を越えた支持率が、月を追って下降線をたどり、発足三ヶ月目にして今月は早くも不支持が支持を逆転したということだ。
政権発足当初の高支持率は、安倍前首相の最後があまりにもひどすぎたのでその反動と、この人が短期間で一気に自民党内の多数の支持を取り付けたことから生まれたそこはかとない期待感があってのことだったと思われる。
しかし、この人にはもともと日本の政治をどうしようという具体的な意欲があったようには見えない。そこが「美しい国」だの「戦後レジームからの脱却」だの、はては「憲法改正」だのと、危なっかしい言葉を連発した前任者より安定感があると受け取られたのだが、いくら安定感があっても「なにもない」のはやはりむなしい。
今回の支持率急落の原因として各紙の解説は、まず年金問題で安倍前首相が参院選前に「1年以内に宙に浮いた5000万人の最後の1人まで突き止めて、正しく年金をお払いする」と言い切った公約が、とても実現できないことが明らかになったことへのこの人の対応が真剣味に欠けたことを挙げている。「公約違反というほど大げさなものではない」とか「参院選の公約がすぐに頭に浮かばなかった」とか・・・。
それもあるだろうが、そもそもあの安倍公約を信じた人が果たしていただろうか。出来そうもないことを大声でわめいたことも参院選の敗因の一つだったろう。その意味ではあの公約の無責任さについてはすでに自民党は代償を払ったとも言えるのだが、それがまだ響いているとすれば、「軽率な口約」のつけは重いということだ。
それよりも支持率低下のより大きな原因は、防衛省の守屋前事務次官の収賄事件だろう。官僚の汚職事件はこれまでもあまたあったが、組織の頂点に上り詰めた人間がなお意地汚く出入り業者から収賄していたというのは珍しいはずだ。
こんな事件を生んだ土壌は自民党の長期政権が官僚組織との間に当然持つべき緊張関係を欠き、むしろ官僚に寄りかかって行政を運営しているところにある。守屋前次官の口癖は「大臣は百代の過客にすぎない」だったそうだ。政治家の大臣はすぐに代わるから、適当にあしらってお引取りを願えばいい、役所は官僚のものだ、ということだろう。
年金問題もそうだ。こんな事態になっても、厚生労働省のしかるべきOB、現職幹部から責任を感じる発言を聞いたことがない。升添大臣は「これほどひどいとは想定外だった」と言うが、それはとりもなおさず官僚をきちんと働かせるべき政権党が「それほどだらしがなかった」ということだ。
今月の世論調査では、内閣支持率のほかに政党支持率、望ましい政権の形といった設問で注目すべき変化が見られる。
『日経』の政党支持率では、自民党が4ポイント下がって38%、民主党が6ポイント上がって34%と、両党ほぼ互角となった。
『毎日』の「望ましい政権の形」では、「自民、民主両党が協力する大連立」23%、「民主党中心の連立」21%、「今の自民、公明の連立」17%と、民主党の政権参加を望む人が多数を占めている。
『共同』の「望ましい政権の枠組」では、「民主党中心」が44.7%、「自民党中心」が38.8%である。
福田首相の年金公約についての対応よりも、守屋問題が支持率急落の原因と私が見る理由はこれらの数字である。福田がだめというより、自民党政権ではだめという人が増えてきているのだ。そして、ほかにないから民主党に、という動きになっているのだろう。
これはこれで好ましい流れではある。なにはともあれ、自民党の長期政権をここでいっぺん断ち切ることは百益あっても一害もない。
ただ、その民主党だが、どうもいまひとつ信が置けないのが民草としては辛いところだ。十八日の『日経』二面にこういう小さな記事があった。
「民主党の山岡賢次国会対策委員長は十七日夜のBS番組で、次期衆院選後の政局の見通しについて『大連立はないはが、小連立が起る可能性はある。(自民党の)どこかのグループと連立して政権を担う可能性は極めて強くなる。心当たりはある』と語った」
この山岡という代議士は小沢党首とともに自民党から新進党、自由党、そして民主党と経めぐってきた同党首の側近らしい。だからその言うところはかなりの程度に小沢氏の考えを反映していると見ていいだろう。そしてこの内容はいかにも小沢氏らしい。
先(十一)月の大連立騒ぎの後の記者会見で、小沢氏は次の衆議院選挙で民主党は勝てそうもないという見通しを明らかにした。だからこそ、福田首相の誘いにのって政権に参加し、「政権担当能力を国民に見せるのだ」というのが、あの時の弁明だった。大連立がつぶれた今となっては、来るべき衆院選の後、自民党の一部を抱き込んで政権を奪いとるというのが、次の小沢戦略らしい。そして嘘か真か、山岡氏は「心当たりはある」とまで言った。
なるほどとは思うものの、そこに感じられるのは、なにがなんでも政権が欲しいという欲だ。このところの小沢氏の行動の核にあるのは、理念もなにもなく、その欲だけに見える。
そしてその戦略戦術を得意然とぺらぺらしゃべる側近も側近だ。もっともこの山岡という国対委員長の国会戦術は例の額賀財務相の証人喚問単独採決など、大向こう受けを狙っては足もとをすくわれるようなことばかりしている。
とっくに賞味期限切れの自民党政権はひっこんでもらいたい。しかし、われわれの手の届くところにあるのは、「政権担当能力のある野党」という偽装ラベルを貼った政権亡者集団とは! 「偽」の字に絡め取られた日本。
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