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http://www.tokyo-np.co.jp/feature/sakimori/news/071219.html
【新防人考 変ぼうする自衛隊】
第五部 国防と海外活動のはざまで <1>もろ刃のミサイル防衛
2007年12月19日
「重みが違う。“本番”で失敗すれば国民が犠牲になる」
艦隊防空のため導入された海上自衛隊のイージス護衛艦が、ミサイル防衛(MD)システムの対処艦に改造されて初の迎撃試験。「こんごう」艦長の平田峰男一佐(54)は試験前、自らに課せられた重責を口にした。
十七日午後零時十二分(日本時間十八日午前七時十二分)、こんごうはハワイ沖でカウアイ島から発射された模擬弾道ミサイルの迎撃に成功した。
海上自衛隊が訓練以外で、弾道ミサイルを探知したことが二回ある。いつ、どこへ発射されるかも分からない“本番”だった。
一九九八年八月三十一日のこと。北朝鮮の海岸から二百五十キロの日本海で、イージス護衛艦「みょうこう」は上昇する中距離弾道ミサイル「テポドン」をとらえた。レーダー画面の真横に伸びるミサイル航跡。日本列島を飛び越えていた。
「二発目はなかったのか」。船務長だった由起中一生一佐(48)=現あしがら艤装(ぎそう)員長=に不安がよぎった。MD用に改修されていないイージス護衛艦は一発目の追尾が終わるまで、次に飛来する弾道ミサイルを探知することはできない。発射は一発で終わり、死角を突かれることはなかった。
二回目は昨年七月五日、北朝鮮による七発の弾道ミサイル連射だった。日本海には「みょうこう」と「こんごう」。米国の早期警戒衛星は赤外線探知によって米本土まで届く「テポドン2号」らしい噴射熱を探知したが、熱は突然消えた。
当時、こんごう艦長になっていた由起中一佐は「水平線を越えて飛んだミサイルはすべて探知した」。テポドン2号は失敗か、短距離弾道ミサイルを数発束ねた見せかけの「おとり弾」だった可能性もある。
防衛省は、北朝鮮の弾道ミサイル対処に二隻のイージス護衛艦を日本海に配備することにしている。改修されてMD対処艦となった日米のイージス艦は、速度の遅い短距離弾道ミサイルなら二発まで連射されても高い確率で迎撃できる。
だが、日本に届く北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」は約二百発。イージス護衛艦の探知能力、迎撃ミサイルの搭載数には限りがある。続けて何発も撃たれれば防衛網は突破される。昨年の連続発射は、北朝鮮が「MDの盲点」を熟知していることを見せつける示威行動ではなかったか。
海自将官は「MDは抑止のための兵器。60%でも迎撃できれば、相手は発射ボタンを押せなくなる」と話す。MDと弾道ミサイルの関係は、冷戦期の米ソが核ミサイルを核ミサイルで抑止したのと同じ、心理戦というのだ。
弾道ミサイル防衛は米国の衛星情報が不可欠なことから、日米共同対処が決定した。日本海に展開する日米のイージス艦は目標を自動的に割り振られ、迎撃ミサイルを発射する。最大の難問は迎撃の優先順位を「誰が、どう決めるか」にある。
九八年に発射されたテポドン軌跡の延長線上にハワイがある。米国ヘ向かう弾道ミサイルを迎撃すれば、憲法で禁じた集団的自衛権行使に当たるが、米国は本土防衛に協力するよう求めている。
MDに抑止効果があるなら、保有するだけで十分なはずだ。それでも発射された場合を考えれば集団的自衛権行使の議論は避けられないという。日本を守るはずのMDは「日本の国是」に向けられた武器でもある。
◇
海外活動が本来任務に格上げされた自衛隊。連載を通じて、いいかげんなシビリアンコントロール(文民統制)のもと、制服組が知恵を絞り、自己増殖する姿をみてきた。最終編の第五部では国防、海外活動の双方で存在意義を示したい自衛隊の思惑を描く。(この連載は、編集委員・半田滋が担当します)
<ミサイル防衛(MD)システム> 飛来する弾道ミサイルをイージス護衛艦から発射するスタンダードミサイル(SM3)と地上のパトリオットミサイル(PAC3)で対処する迎撃システム。米国で開発された。配備に多大な費用がかかる一方、迎撃能力が疑問視され、米国の同盟国の中では日本だけが導入している。
<関連投稿>
【ミサイル防衛】海自、迎撃試験に成功 ハワイ沖 米国以外では初(東京新聞)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 18 日
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