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福田首相―ハネムーンは終わったhttp://www.asahi.com/paper/editorial20071218.html#syasetu1
「ハネムーン」と呼ばれる時期が米国の政治にある。新大統領が生まれて約100日のあいだは、有権者もマスコミも新政権への批判を控え、その行動を好意的に見守る期間のことだ。
福田首相の誕生からもうすぐ3カ月。ハネムーンは少し早めに終わったようだ。週末にかけて行われたマスコミの世論調査で、内閣支持率が急落した。
共同通信社の調査では支持率が35.3%、日本経済新聞社のでは43%で、いずれも前月の調査より10ポイント以上の下落となった。不支持率が支持率を上回ったのも共通している。
引き金となったのは「宙に浮いた」年金記録の問題だろう。約5000万件分のうち、コンピューターによる照合が困難な記録が4割にも達し、「最後のひとりまでチェックして年金を支払う」という参院選の公約が達成不能であることが明らかになった。
首相自身の発言も追い打ちをかけた。「公約違反というほど大げさなものかどうか、と思いますけどね」と、まるでひとごとのように語ったことだ。
この問題は安倍前首相の時代に発覚した。公約うんぬんと言われても、前政権の公約であり、私が約束したわけじゃあない――。首相にすれば、そんな気分だったのだろうか。
けれど国民から見れば、福田政権も安倍政権も同じ自民・公明の連立政権にほかならない。
年金記録の問題を解決する難しさは分かる。「ねじれ国会」のかじ取りも容易ではあるまい。だが、それにしてもこの3カ月近くというもの、首相はたったひとつの政策課題にあまりにとらわれすぎたのではないか。
インド洋での海上自衛隊の給油活動である。2度にわたる国会延長も、異例の越年国会も、小沢民主党代表に呼びかけた「大連立」の奇手も、ひたすらこのためだった。そのあげく、小泉政権時代の郵政総選挙で得た衆院の圧倒的多数を使って再可決に突き進もうとしている。
これにケリをつけなければ次の課題に進めない。首相はそう考えているのかもしれない。だが、いま国民が求める最大の政策課題が給油再開だと思っているとすれば、首相の政治センスを疑う。
その給油問題でも、世論調査では賛成より反対の方が多い。給油最優先の首相に対する世論の違和感がいよいよ表面に出てきたということだろう。
外交や教科書検定の問題など、福田カラーが見えた分野もないわけではない。だが、来年度予算案の編成がもう間近なのに、新政権が目指す政策のイメージはいっこうに見えてこない。これではハネムーンの熱が冷めても仕方ない。
「いきなり首相になっちゃった。自分のカラーに変えていくのは来月の通常国会から」と首相は語る。あまりのんびりしていると、その前に政権自体が失速しかねない。
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