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http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/112/index.html
12月10日、社会保険庁が年金記録問題についての調査結果を発表した。
それによると、いわゆる「宙に浮いた5095万件の年金記録」のうち、氏名が欠落した記録が470万件(全体の9.2%)。これについては、原簿と照合して解決すると言っているが、果たしてどこまでできるのか。そして、入力ミスや結婚で姓が変わったなどの理由で氏名が不明となり、名寄せが困難とみられる記録が1975万件(38.8%)あることを明らかにした。
両者を合わせると、全体の半数近くの年金記録に致命的欠陥があったことになる。一方で、持ち主が特定できた記録は1100万件(21.6%)に過ぎなかった。
サンプル調査によって、4割が不明になる可能性があるといわれていたが、実際にそれに近いかそれ以上の状況が明らかになったわけだ。
野党は一斉に反発した。それはそうだろう。その結果は、先の参議院選挙で自民党が掲げた公約とあまりに違っていたからだ。
舛添厚生労働大臣が記者会見で「これほどひどいとは思わなかった」と述べたのは正直なところだろうが、舛添さんは評論家ではなくて大臣なのだから、こんなことを言ってほしくないものである。
そうした言葉を受けて、国民は来年3月までに宙に浮いた年金記録の問題が解決すると信じていたのだが、そうした公約は反故にされてしまったわけだ。
公約違反という非難に対して舛添厚生労働大臣は、記者会見で「3月末までに全部片付けると言った覚えはない」「『できないかもしれないが、やってみる』とは言えない」とまくしたてた。それにしても、「わたしのやり方がまずくてできないならば責任を感じるが、他の方がやっても同じだ」という発言はいくらなんでも無責任に過ぎないか。
では、政府・与党はなぜこのような面目の立たない調査結果を、この時期に発表したのだろうか。おそらく、今のうちにこうした悪いデータを出しておけば、総選挙のころには国民の怒りが静まっているだろうという計算に違いない。
今回国会を再延長するに当たって、福田総理は公明党と「解散をしない」と約束したとされているが、その一方で来年1月17日の自民党の党大会までに空白区を埋めて、いつでも選挙に臨める態勢を整える心づもりだといわれている。おそらく、春ごろには完全な臨戦態勢が整っていることだろう。
だが、話はそう簡単には済まない。来年には、政府・与党にとって、もう一つの難関が待ち構えているからだ。
これは今日(12月17日)から送付が始まり、10月ごろまでに完了するとされている。記録漏れが疑われる850万人分については来年3月末までに発送を終え、そのほかすべての受給者(4〜5月)と、加入者(6〜10月)に特別便を送るという。
これが実際に送られてくると、大変な騒ぎになるだろうとわたしは想像している。
なぜなら、冒頭にも述べたように、欠陥のある年金記録は470万件と1975万件とを合わせて2445万件にも上っている。なかには、1人で複数の年金記録を持っている人がいるので、実際の人数はそれよりも少なくなるだろうが、それでも2000万人前後の人が被害を受けていると考えてよい。
2000万人と言われてもピンとこないかもしれない。人間というのは、我が身に実際に問題が降りかからない限り、「へえ、2000万人か」という程度で終わってしまう。
でも、よく考えてほしい。大ざっぱに年金加入者を1億人とすると、5人に1人の年金に問題があるのだ。これは、大変な確率ではないか。5人集まれば、そのうちの1人の年金が大幅減額になっていたり、ひどい場合にはほとんどもらえなかったりするのである。それがあなたである可能性も十分にあるのだ。
そうした状況が、ねんきん特別便の送付によって明らかになると、政府・与党にとって秋以降は選挙などできる状態ではなくなってしまう。
以上のようなことを総合的に考えると、春から秋までのどこかの時点で総選挙をする腹積もりなのだろうという見当がつく。
ねんきん特別便がくれば、確かに年金記録の状況は分かる。しかし、それを待っていては手遅れになる可能性があることも知っておくべきだろう。
できれば、サラリーマンはいますぐ社会保険事務所に出向いて、年金記録を確認することをお勧めしたい。「自分は転職をしていないから大丈夫」と思っている人もいるかもしれないが、それは間違いだ。
年金記録は転勤のたびに別記録に変わる。出向先が変わるだけでも、別記録になることがある。そのたびに年金記録の欠落リスクが発生しているのだ。
実際に、わたし自身の年金記録にも、出向(在籍出向)によって宙に浮いていたものがあった。そのあたりの事情は、「第87回 転勤や出向で年金が宙に浮く可能性」で説明しているのでご覧いただきたい。
なかには給料から厚生年金が天引きされていたのに、会社が支払っていなかったというケースもあるだろう。この場合、救済措置として、とりあえず国費で穴埋めして、あとで国が会社に損害賠償請求することになった。
しかし、会社が消滅していると話はややこしくなる。原則として自分で保険料を納付していたことを証明する必要があるからだ。サラリーマンの場合、給与明細をすべて保存してあればよいのだが、そんな人はほとんどいないだろう。わたしを含めて、わたしの周囲にはただの一人もいなかった。
だから、年金データに問題があると分かったら、会社がつぶれる前に年金加入記録を手に入れておかなくてはならない。会社はある日突然なくなるものである。そうなったら、年金加入記録を確認することは困難を極める。
大企業だからといって安心していてはいけない。いまや、倒産やM&Aなどで会社がなくなってしまう可能性はどんな企業にも常にあるからだ。そうなってからでは遅いのだ。
すでに景気は後退局面に入っており、倒産はますます増加していくと考えられる。自分の年金を守るためには、何よりもまず、1日でも早く社会保険事務所に駆けつけて、支払い記録を確認すべきだ。自分の身は自分で守るしかないのである。
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