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http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10060599026.html から転載。
2007-12-16 23:02:51
gataro-cloneの投稿
<「医者、用水路を拓く」書評>アフガンで苦闘、ついに緑が蘇る【志葉玲さん】
テーマ:アジア
「丸腰のボランティア」「医者井戸を掘る」「アフガニスタンで考える」「辺境で診る辺境から見る」などに続いて、中村哲医師著「医者、用水路を拓く」が石風社から出版された。12月16日付「しんぶん赤旗」読書欄にジャーナリストの志葉玲さんが書評を書いている。
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アフガンで苦闘、ついに緑が蘇る
「医者、用水路を拓く」 中村哲著
― 評者 志葉玲(ジャーナリスト)
残念ながら、現在ほど「国際貢献」という言葉が欺瞞を伴って使われる時は無かっただろう。ニ十年余りもアフガニスタン支援に携わって書た著者の中村医師は、本書で繰り返し訴える。「殺しながら救う援助はない」「自衛隊の派遣は有害無益。大干ばつで飢える人々を救うことこそ必要だ」と。米軍がモスクや学校への「誤爆」を続ける一方、懐柔策としての援助を行うことで、本来の援助団体までも、現地の人々から不審の目を向けられ、襲撃される。筆者自身、イラクでの取材中に「自衛隊を送った日本は敵だ」と罵声を浴び、地元の若者達に銃を突きつけられたことがあるが、同様の問題は、アフガニスタンでもやはり起きていたのだ。
だが中村医師は卓上の議論ではなく、その行動で欺瞞を打ち破り、現地の人々の信頼をかちとっていく。それが本書の主題である用水路建設だ。地球温暖化の影響で、急速に失われた水を、農地に戻す。「百の診療所より一本の用水路を」と、全てを捨てて奮闘する著者の姿にはただただ敬服するしかない。
エ事は決して容易なものではなく、大雨や土石流、水路の決壊など数々の困難に直面する。その上、中村医師を含め作業チームは皆、大規模工事の経験は無く、日本でのような資金物量に頼る工法も使えない。自然に翻弄され、無い無い尽くしの中、悪戦苦闘する中村医師らは、現地の人々の知恵や技術、そして日本の伝統の治水技術に活路を見出していく。そして、ついには荒廃した大地に見事、緑を蘇らせるのだ。
本書を読む人は、真の「国際貢献」とは何か、いかに平和を創り出すのか、考えさせられるだろう。絶望に抗い、未来を切り開く勇気を与えられるだろう。そして、自然の偉大さと恐ろしさ、地球環境の破壊が何をもたらすかを知るだろう。これは人間・中村哲の物語であるだけではない。迷走する日本社会に活を入れる好著なのである。
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