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2007年12月16日
「反米大陸」という集英社新書に学ぶ
本屋で伊藤千尋の集英社新書「反米大陸」を見つけ、読んだ。おもしろかった。勉強になった。「中南米の歴史は、アメリカによる侵略と支配の歴史だ」という文章から始まるこの本に米国の正体を見つけた。ノーム・チョムスキーが米国の外交を批判する時、米国の対中南米政策を真っ先に引用する、その理由がここにある。
いまや完成されようとしている米国の対日占領政策。そんな日本に住む我々は、反米派であれ、親米派であれ、また対米従属派であれ、この本を虚心坦懐に読むべきだ。その上であらためて日米関係の将来に思いを馳せるべきだ。それでも米国に従うしかない、と言い張る者は、一人になった時自分の胸に手を当てて自分の心に問うがよい。それは本心か。保身のために自らを偽っているのではないか。南米の市民の反骨魂を前にして恥ずかしくないかと。
この本は何を教えてくれるのか。
それは、9・11をきっかけに、国際法も国連も踏みにじり、ありとあらゆる暴虐を尽くすようになった米国が、実はとっくの昔から南米でそれを行っていたという事である。
それは、暗殺、拷問、政府転覆を現地人に教える「米軍アメリカ学校」をつくる米国のおぞましさである。南米の軍人を米国の手下として教育するため米陸軍は1946年、パナマに「米軍アメリカ学校」をつくった。「米軍クーデター学校」、「米軍虐殺学校」、「米軍独裁者学校」などとあだ名された学校の科目は、反政府派市民の弾圧、拷問の方法、クーデターの起こし方、諜報機関の作り方などであるという。この学校の卒業生たちがそれぞれの国に帰ってクーデターを起こし、米国の傀儡軍事独裁政権を樹立するのである。そんな学校が今でも場所を米国本土に移して存在しているのである。
そして、なによりも、米国の傀儡政権に抑圧され、その対米従属政策の犠牲になってきた南米の国民たちが、米国の新自由主義の犠牲になって生活を破壊された今、立ち上がった事である。その波が怒涛のように南米大陸を駆け巡ったのである。
著者伊藤千尋の次の言葉がいい。
「・・・南米に反米政権が次々に生まれたとはいえ、反米の流れがそのまま定着するとは思えない。やがて揺り戻しがあるだろう。アメリカの政治、経済の力は、貧しい南米の国が太刀打ちするには、あまりにも巨大だ。だが、正統な選挙によって自分たちの政府を作り上げ、自立を目指す南米の人々の力を侮るべきではない・・・過去、南米諸国はお互いに反目し合い、そこを利用されてアメリカに一本釣りされたが、今は結束するようになった。経済が理由で反米になったがゆえに、経済で結束したのだ・・・歴史は進んだのだ」
「・・・アメリカと手を切れというのではない。アメリカとはこれまでどおり、仲良くすればいい。だが、外交の手はアメリカ(とだけ組んでいれば良いのではない)」
そして伊藤はこの本を次の言葉で締めくくっている。
「・・・アメリカにただ従うだけなら、日本は生き残るどころか、アメリカの餌食になる、それは中南米の歴史が示している・・・その中南米が、いまや結束し、対米自立への道を歩み始めた・・・自立する中南米から学ぶべきは市民の力である。政府を変えたのは市民の力である。格差を広げ、弱肉強食の社会をつくろうとする政府に対して、市民が反対の意思を、投票やデモの形で明確に表明した。中南米の人々の強さは、逆境にめげずに自分たちの夢を持ち続け、それを社会に反映させようとする力だ。アメリカでさえ、市民の力がブッシュ政権の暴走を食い止め、中間選挙での共和党の敗北をもたらした。アメリカと中南米の歴史から私たちが学ぶべきものは、すこぶる今日的な課題なのだ・・・」
読者はここに来て気づく。伊藤千尋の「反米大陸」という本は、南米の歴史を語りながら、日本人に突きつけた、「政権交代の書」、いや「自立した人民革命政権」樹立の勧めに他ならない。
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