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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007120790070534.html
イラン核断念『8月に報告済み』 米大統領窮地に
2007年12月7日 07時05分
【ワシントン=小栗康之】イランが二〇〇三年秋に核兵器開発を中断した問題で、ブッシュ米大統領はこうした情報を八月の段階で知っていた可能性が六日、出てきた。ロイター通信が報じた。
イランが核兵器開発を中断したとする国家情報評価(NIE)は三日に発表された。ブッシュ大統領は四日の記者会見で八月にマコネル国家情報長官から「新たな情報がある」と伝えられたと説明。ただ、この段階ではどんな情報かは説明されず、事実を知ったのは先週のことだと述べていた。
これに対しペリーノ大統領報道官は五日、「マコネル国家情報長官は八月の段階でイランが核兵器開発を中断したかもしれないと大統領に伝えた」と発言。大統領の説明と矛盾し、事実であれば大統領は中断の可能性を知りながらも、これを伏せ、イランの核兵器開発を批判し対決姿勢を意図的に強めていたことになり、野党・民主党から厳しく追及されそうだ。
イスラエル困惑
【カイロ=萩文明】米国の国家情報評価(NIE)が、イランが二〇〇三年に核兵器開発計画を中断したと結論付けたことでイスラエルに困惑が広がっている。ブッシュ米政権の強硬姿勢に同調して「イランの脅威」を訴えてきただけに、はしごを外された形だ。
イスラエルは「イランは核兵器開発を中断の二年後に再開し、現在も継続中」と分析。早ければ〇九年末に兵器製造能力を持つとみている。それだけに政界筋が「イスラエルの情報の信用性が損なわれた。政治的にも情報面でも痛撃」と述べるなどNIEへの衝撃は大きく「孤立と失望」との報道もある。
イスラエルは従来、自国が突出して「イスラエル対イラン」の政治構図に陥ることを警戒。外交解決を目指す国際社会を「後方から支える」立場で、イラン制裁に慎重なロシアや中国にはオルメルト首相らが説得に当たってきた。だが今後、制裁論議は鈍りそう。圧力強化を訴えても事態打開につながりにくい。
米国が近い将来、イラン攻撃に出る可能性は低くなったとみられるが、イスラエルも軍事手段の選択肢を排除していない。米シンクタンク代表の核専門家オルブライト氏はAP通信に「イスラエルが『イランが一線を越えた』と判断した時、状況は緊迫化する」と述べ、イスラエル単独攻撃の可能性を指摘している。
(東京新聞)
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