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2007年12月06日
年金問題は解決しないー不毛な議論を繰り返す政治家と官僚の罪
このブログで年金問題を取り上げるのは始めてである。今まで書かなかったのは勿論この問題が私の専門外であるからだが、それよりもなによりも、この問題が大きな社会問題となり、政治家や専門家、ジャーナリストを含めあまりにも多くの人々がこの問題を論じてきたからだ。
その結果議論が拡散してしまった。そもそも官僚がいじくりまわして出来た複雑な年金制度である。誰もその全貌をつかんでいない。それに加えてその年金制度の根底が崩れてしまったのだ。議論が迷走するのも無理は無い。焦点の定まらない議論が問題を更に複雑にし、書くほうも読まされるほうも訳がわからなくなってしまった。もはや誰もが、何から手をつけて良いかわからない状況になっている。そうして世間の関心が薄れていく。年金をもらえない人達が放置されたまま、年金を納めろという取立てだけは厳しく残ったまま、すべてが官僚の言うなりで問題が誤魔化されていく。
そんな中で、12月6日の読売新聞は年金の積立金を運用していた独立行政法人が、サブプライム問題で1兆6000万円あまりの運用損失を出していたという記事をスクープした。まだこんな事をしていたのか。この記事を読んでどうしても一言書いておかねばならない気になった。最初で最後の年金問題に関する私の意見である。
長妻昭民主党議員の質問主意書で5000万件以上の納付記録消失が明らかになったのは今年の2月である。それ以来年金問題は国民的問題になり7月の参院選挙での自民党惨敗の原因の一つにもなった。枡添要一が威勢のよい発言を繰り返し人気を集めた。その勢いをかって厚生労働大臣になり問題の解決に取り組んだ。しかしその結果はどうか。一つでも具体的な進展があっただろうか。納付した国民が納付に見合った年金を受け取れるようになったか。納付を義務づけられている国民が年金制度の信頼を回復したか。答えはいずれも否である。それどころか何一つ具体策が進展していない。
だからといって私は枡添大臣一人を責めるつもりはない。彼もただの政治家であったという事が明らかになっただけのことだ。つまりこの年金問題は、与党といい野党といい、これまでの厚労官僚行政の上に乗ったままで改革を行おうとする限り、何も出来ないと言うことなのだ。威勢よく厚生労働省に乗り込んで行った枡添要一は、官僚の壁にぶつかって身動きが取れなくなったということだ。これまでのすべての政治家と同様に、彼もまた官僚と対決し、官僚行政を打ち破ろうとする力量と覚悟がなかったということだ。
何故年金問題は解決しないのか。それは政治家と官僚が今の年金制度を前提にした弥縫(びぼう)策に奔走しているからだ。それはすべて責任逃れのなせる業だ。
考えても見るが良い。そのような方法で解決することは少なくとも次の二つの点で不可能である。一つは年金の積み立て資金の一部がなくなってしまったという動かしがたい事実である。サブプライム投資の運用損は言語道断であるとしても、そうでなくとも既に官僚の不正着服や不正使用、流用などによって、納付者の積立金の一部は失われている。その額の多寡が問題ではない。もはや原資の一部がなくなった以上どうして適切で公正な支給が行えるというのか。
二つ目は、納付記録の一部が消失してしまったという事実である。官僚がどんなに徹夜で名寄せの作業を繰り返しても、消失した記録を正確に再現する事などできるはずがない。それが出来たとしたら文書捏造である。官僚の責任逃れの為に多くの職員の徒労と更なる無駄遣いが一年近く繰り返されたのである。
年金制度は一度チャラにして根本的に作り直さなければならない。それが政治家の仕事である。どのような制度にするのか。財源をどうするのか。そんなことは誰にもわからない。しかしはっきりしている事は制度を単純化し、透明化し、そして国民間に公平感を持たせる制度を早く国民の前に提示することである。
それから最後のどうしても指摘しておきたい事がある。今日の年金問題の原点は、戦時中に年金制度を導入した花澤なにがしという厚生官僚が、「どうせ使うのは数十年先だから当分の間は戦費でもなんでも使える」などという不届きな発想で国民からカネを集めた、その基本姿勢にあるという事だ。この官僚根性がなくならない限り国民のために適切で公正な年金制度は永久に実現しないと心得たほうが良いということである。
まだまだ多くの積立金が残っているはずだ。まずそれを全部使う形で受給資格のある国民に適切、公平に支給する。そしてそれがなくなりかけた頃に税金でも保険でもなんでもいいから国民的議論を進めてあらたな制度を打ち立てる。そうすることによって現在の積立金の数字も明らかになり官僚の無駄遣いも阻止できると言う事だ。物事は単純に考えたほうがいい。とくに官僚の横暴が巣食っている年金制度においては。
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