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2007年12月03日
この国はすでに戦時下にあるのではないか
朝日新聞の土曜日ビジネス版に中国人ジャーナリスト、莫那富(モーバンフ)という人が連載で書いているコラムがある。その12月1日のコラムに、ー入管で感じた「戦時下」―と題して、11月20日から導入された外国人を対象にした新しい入国管理制度への所感が述べられていた。この新しい入管制度は、「テロリストの入国を水際で防ぐ」という理由で、来日した外国人に等しく指紋採取と顔写真の撮影を義務づけるという制度である。
我々は外国人ではないからその異常さに気がつかない。この国のメディアの書き手も大部分は日本人だから気づいていないと見える。だから人権や行動を規制するあらたな制度については書き立てるメディアも、外国人のみに適用されるこの新しい入管制度についてはあまり熱心に取り上げる事はない。
しかし、この莫さんの記事を読んで、私はあらためてこの新外国人制度の異常さに気づいた。およそ先進国の中でここまで行う国は少ない。イスラエルや米国でもこれほどではないだろう。日本を訪れる外国人はさぞかし腹立たしい思いをしているに違いない。
莫さんは決して激しい調子で批判しているのではない。しかしその穏やかな表現の下で、莫さんの怒りが沸騰している事がよくわかる。断片的にその言葉を以下に引用してみたい。
「・・・長年の居住実績を持ち、厳しい審査を経て永住資格を認められた外国人も例外ではない・・・指紋採取と顔写真を始めた直後に日本に戻ってきた私は、空港の空気の異常さに閉口した。入管職員が物々しく外国人を誘導する・・・
指紋を採取され、顔写真を撮られながら私は理解に苦しんだ。平和憲法を掲げる国なのに、なぜ自国以外の国の人間すべてを敵と見てしまうほど警戒しなければならないのか・・・もしかしたら新幹線への乗車の際にも外国人はこうした待遇を受ける時代への心構えを今から持たなくてはならないかもしれない・・・
成田空港の入管職員の襟に『ようこそジャパン』というバッジがあった。『ようこそ戦時下の日本へ』に書き直した方が正確ではないか・・・」
最後のくだりは強烈な皮肉である。そういえば小泉元首相は観光客の誘致を始めた総務省(旧運輸省)の宣伝ビデオに嬉々として登場し「ようこそジャパン」と呼びかけていた。そのビデオが空港のいたるところで放映されていた。よほど自分の容姿に自信があるのか、あるいは手のよい動く選挙ポスターか、などと思って眺めていた事を私は思い出す。観光誘致をしておきながらまったく矛盾する政策を政府は取り始めたのだ。
しかし私が「ハッと」驚いたのは、この国は戦時下にあるのではないか、という莫さんの指摘である。そして、それは実はその通りなのではないかと思った。これがこのブログの訴えたい事である。
米国は「テロ」と戦っている国である。しかもその「テロとの戦い」を「最終的な、終わりのない戦い」であると米国みずからが世界に公言している。その戦いはこれからどんどんとエスカレートしていくに違いない。
その米国との軍事同盟を強化し、米国と一体になって「テロ」と戦おうとしている日本は、間違いなく戦時下にある。そう思ってあらためて小泉政権下において急速に進められていったわが国の政策を冷静に振り返ってみると、今更ながらに「テロとの戦い」という名目の下で、我々の日常生活が規制され、不便な暮らしを強いられるようになってきた事に気づく。普通でない政策が、静かに、しかし広く、深くこの国を覆い始めている事に気づく。
銀行の送金手続きが不必要に煩瑣になった。個人情報保護法の名の下にやたらに個人の行動が監視されるようになった。戦車が商店街を平気で通り、東京のど真ん中で迎撃ミサイルパトリオットの移動訓練が行われる日本である。戦争帰りの米国空母が大手を振って日本の港に寄港する。国民生活にまわるはずの予算が米軍再編の協力のために使われ、米国の戦争への忠誠度に従って住民への予算の配分が決められていく・・・
数え出したらきりがない。そしてそれらの政策に反対できなくなるような大連立が早晩実現する雲行きになってきた。体制翼賛政治である。
問題はこの異常さに本気になって警鐘をならすメディアがなくなり、国民の大部分が問題意識を持っていないと思われることだ。それもまさしく巧妙な政府の手口である。
この国は間違いなく戦時下に入りつつあると思う。
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