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http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2007/12/01/20071201ddm003010108000c.html
全会一致という慣例を破り、野党が単独で議決した額賀福志郎財務相の証人喚問は30日、見送りになった。「ねじれ国会」を象徴する攻防の中、民主党があっさり引き下がったように映る結末。ただ、「不測の事態」を望まない与党も、民主党を最後まで追い込むことは想定していなかったとみられ、双方にとって一番穏当な決着というのが実態のようだ。【須藤孝、野口武則】
「守屋武昌前防衛事務次官の逮捕で、額賀氏と同時に証人喚問するという前提が崩れた」
喚問見送りを受けて会見した民主党の鳩山由紀夫幹事長、輿石東参院議員会長らは口をそろえたが、それは言い訳との見方が有力だ。
喚問を議決した27日には、すでに前次官逮捕の可能性は濃厚になっていた。前次官の逮捕後も輿石氏らは「額賀氏1人でも喚問を実施する」と繰り返した。こうした状況を考えれば、喚問取り下げは、奇策を強行した民主党が逆に追い込まれ、最後は腰砕けになったことを意味している。
民主党は額賀氏が前次官、防衛商社「山田洋行」元専務と宴席をともにしたとして喚問の必要性を主張したが、額賀氏擁護に全力を挙げた自民党の逆襲が大きかった。
指摘された昨年12月4日の宴席をめぐり、伊吹文明幹事長らは写真や証言を集め、額賀氏同席を全面否定。29日は会合の主賓、ジェームズ・アワー米国防総省元日本部長を自民党本部に招き、会見で額賀氏の不在を証言させた。民主党が最大の根拠としていたのは逮捕前の前次官から直接得た証言。自民党の逆襲に当初、「アリバイ作り」(山岡賢次国対委員長)と強気に応戦したことで、泥沼に入ってしまった。
「前次官の証言も揺らいでいる。額賀氏の喚問より先に前次官の出張尋問が必要だ」。29日夜、アワー氏の会見を知った民主党幹部からは半ばあきらめの声が漏れた。
奇策を貫けなかったことで、民主党は慣例破りの責任を一身に負うことになる。7月の参院選圧勝の勢いがそがれることも想定されるが、これで与党が勢いづくかと言えばそうではない。
今回のあっさり決着の底流には、「本格的な泥仕合→全面対決→衆院解散・総選挙」というシナリオを避けたい与党、民主党の双方の思惑が働いていたとみられる。
◇共産、「空白区」で増す発言力
ドタバタ劇が改めて突きつけたのは、「ねじれ国会」の下で共産、社民両党などがキャスチングボートを握るという現実だった。
民主党は参院第1党ではあるものの、国民新党と組む統一会派は119人。これでは参院の過半数122人には満たず、「ねじれ国会」の威力を発揮させるためには、共産党の7議席、社民党の5議席は欠かせない。
共産党は今回、27日の議決には賛成した。ところが、29日になって志位和夫委員長が記者会見で「賛成は間違い。全会一致でやるべきだった」と「反省」を口にした。民主党は政権交代を目指す次期衆院選に向け、野党共闘を重視しなければならない。共産党の姿勢の転換は徐々に追い込まれつつあった民主党に引導を渡すことになった。
共産党は衆院小選挙区で大幅に候補者を絞り込む方針で、これが発言力をさらに増している側面もある。
共産党の「空白区」は自民、民主両党の事実上の一騎打ちとなる可能性が高く、民主党には共産党支持層の反発を買う行動は取りにくい事情がある。
◇公明もブレーキ、多数派の政略を全会一致で回避
証人喚問は欠席や虚偽証言に罰則が科せられる。全会一致で議決という高いハードルは、証人に厳しい機会が多数派の政略で連発されるのを避ける知恵だ。
今回、自民党の尾辻秀久参院議員会長は「目には目を」と語っていた。民主党をけん制する発言ではあったが、額賀喚問が実現すれば「喚問合戦」に発展する可能性は十分にあった。
ブレーキ役は野党では共産党、与党では公明党だ。北側一雄幹事長が「仕返しという低次元の話で国会の権威を失墜させてはならない」と語るなど、全会一致にこだわった。
喚問をめぐる現行制度が整った1955年以来、衆院で約200人、参院で約50人が喚問された。全会一致が崩れたのは細川護煕、山口敏夫、中西啓介の政治家3氏を含む衆院での8人だけ。3氏が喚問されたのは自民党の「野党転落、与党復帰」という激動期で、国会のルールが破られやすい政治情勢だった。
一方、喚問を受けた政治家は両院で延べ23人。現職閣僚となると58年9月までさかのぼることになる。
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■1955年以降に証人喚問された国会議員■
日時 議員名 案件
58・ 9・ 2 ★左藤義詮防衛庁長官 防衛庁航空機購入問題
河野一郎自民党総務会長 〃
川島正次郎自民党幹事長 〃
58・ 9・ 9 ★左藤義詮防衛庁長官 〃
河野一郎自民党総務会長 〃
川島正次郎自民党幹事長 〃
58・ 9・16 ★左藤義詮防衛庁長官 〃
77・ 4・13 中曽根康弘自民党元幹事長 ロッキード事件
79・ 5・24 松野頼三元防衛庁長官 ダグラス・グラマン事件
79・ 5・28 〃 〃
89・ 5・25 中曽根康弘元首相 リクルート事件
92・ 2・25 塩崎潤元総務庁長官 共和事件
92・11・26 竹下登元首相 東京佐川急便事件
92・11・27 ※金丸信自民党元副総裁 〃
92・12・ 7 竹下登元首相 〃
93・ 2・17 〃 〃
小沢一郎自民党元幹事長 〃
94・ 6・21 細川護煕元首相 〃
95・ 6・17 山口敏夫元労相 東京2信組事件
※中西啓介元防衛庁長官 〃
97・ 3・21 友部達夫参院議員 オレンジ共済事件
01・ 2・28 ※村上正邦元労相 KSD事件
02・ 3・11 鈴木宗男元沖縄開発庁長官 外務省問題
★は現職閣僚、※は議員辞職後。肩書は喚問時の代表的なもの
毎日新聞 2007年12月1日 東京朝刊
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