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生活保護切り下げ 物差しの当て方が逆だ(中国新聞)'07/12/2
働きながらも収入が少ない人たち(ワーキングプア)の中には、生活保護で支給される「生活扶助」の金額より低い出費で暮らしているケースがある。ならばそれに合わせて保護基準を引き下げようと厚生労働省が計画している。もっともらしくは聞こえるが、物差しの当て方が逆ではないか。
厚労省の検討会がおととい、こんな報告書をまとめた。
夫婦と子どもの三人世帯でみると、低所得世帯の生活費が月額約十四万九千円なのに比べ、生活扶助は千六百円高い。六十歳以上の一人世帯では八千四百円高い。
その差額分引き下げが厚労省の狙いのようだが、これでは生活保護の理念にもとるだろう。
国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を憲法で保障されている。誰でも働けなかったり、収入が減ったりして生活苦に陥ることがある。その時に、目安になる「最低生活費」と収入との差額が支給される。これが生活保護だ。
とすれば先の場合、低所得世帯に対しては不足分の保護申請を促すのが筋だといえよう。
背景には財政事情がある。政府は、骨太の方針で社会保障費の圧縮を打ち出した。厚労省は来年度予算で千二百億円の抑制を求められ、その一部を保護費減で賄おうとしているからだ。
「最低生活費」が高額に設定してあるのなら、それも仕方ないかもしれない。しかし現実はぎりぎり。老齢加算が廃止された時には「風呂の回数を減らして節約」「香典が出せないから葬儀に行かない」など切実な声が上がった。それをさらに切り詰めたら、生活はどうなるだろう。
「マイナスの悪循環」も懸念される。先に成立した改正最低賃金法は、生活保護並みの収入アップを念頭に置いて、最低賃金を決めるよう求めている。ワーキングプアを救うためだ。保護基準が下がり、連動して最低賃金も下がるようでは、改正法が泣く。
邪推かもしれないが、厚労省は、一部にある生活保護への冷ややかな目に「悪のり」しているようにも感じる。昨年度は九十億円にも上った不正受給は厳しくチェックしなければならないが、それとこれとは別の話である。
歳出削減が叫ばれながら道路予算などは縛りが緩みつつある。防衛省の疑惑をみると、野放図な支出を疑わざるを得ない。国民の「命綱」に手をつける前に、まだすることがあろう。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200712020158.html
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