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2007年11月27日
パレスチナ支援の欺瞞
この世の中には、世の不条理と闘い、国家権力の不正と闘い、あるいはさまざまな弱者の救済に立ち上がる組織や個人が多く存在する。それらの活動の中には、政治的背景があったり、利権が絡んでいたり、あるいは自己満足によるものがあったりする。しかし殆どは献身的な人達の善意の活動である。
外務省を離れて言論活動を始めた私は、そのような活動に呼ばれ、賛同し、共鳴したりする。しかし自分の日常生活や生活費やエネルギーを割いて、それらすべての活動に参加する事は今の私にはとてもできない。
その中で私が極力参加しようとつとめているのがパレスチナ支援の活動である。それは、私が職を賭してイラク戦争に反対した最大の理由がパレスチナ問題であったという事だけではない。パレスチナ問題こそ、世の中のあらゆる不正、不条理、暴力、人権抑圧などの諸問題が凝縮されている、今世紀最大の矛盾であると確信するからだ。
11月25日、大阪で「国連分割決議から60年。今こそ、パレスチナに正義と平和を!」というささやかな集会があった。私は前座の講演を頼まれて参加した。前座であるといったのは、集会の中心は、主催者(パレスチナ平和を考える会 06−6949−2442)が日本に招聘したパレスチナ自治区ヨルダン西岸のバルダラ村評議会議長ファヒトさんの現地レポートであったからだ。私もファヒトさんの報告を楽しみに参加したのだった。
ファヒトさんの報告は衝撃的であった。知っていたつもりであったがイスラエルのパレスチナ占領政策、抑圧政策がこれほどまでに非人道的であったのか、ファヒトさんの報告を聞いて私は認識を新たにした。
しかしそれを伝えるのが今日のブログの目的ではない。ファヒトさんの報告の中で、私ははからずも外務省のパレスチナ支援の欺瞞を知ったのである。前置きがいつものように長くなったが、外務省がでっち上げたパレスチナ支援の欺瞞を告発することがこのブログの目的である。
小泉元首相が退任直前に中東へ卒業旅行した事は我々の記憶に新しい。らくだに乗り、ユダヤ帽をかぶってはしゃいだ小泉首相の姿が報道されていた。その小泉卒業観光旅行のお土産として外務省が用意したのが「平和と繁栄の回廊」構想という援助計画であった。米国の中東外交に追従してイスラエルの暴挙に何も文句の言えない日本が、それでも日本は中東和平に貢献していると宣伝するためにでっち上げられた「援助」と言う名の欺瞞である。
パレスチナ、ヨルダン、イスラエル、日本の4カ国が協議して、パレスチナ自治区のあるヨルダン渓谷の農業、水資源開発を行うと宣伝する。紛争の原因の一つが貧困である。だから貧困を解決する事によって和平を実現するのだという。パレスチナ人の悲惨さから目をつむった官僚が鉛筆を舐めて考えだした虚構である。
その欺瞞を見事に喝破したのがファヒトさんが伝えた現地の声であった。
給油問題の大騒ぎの中で盛んに語られたのがアフガン復興支援である。日本ができる貢献はあるはずだ。それこそ復興支援である、などと、政府はもとより民主党なども強調する。これに対してアフガンで民生援助を続けるペシャワール会の中村哲医師が名言を吐いた。
「戦争をしながら援助をするということがありうるだろうか」と。
それニモ負けない至言をファヒト議長は我々の前で語った。
「占領するものが占領されるものと一緒に真の協力が出来るというのか」
日本の援助はイスラエルの占領を正当化し、占領を固定化するものだ、そのような支援は占領されているパレスチナ人の支援には決してつながらないとファヒト氏は訴えた。
その通りではないか。しかし私がもっと強い憤りを覚えたのは、援助を実施する国際協力機構(JICA)が現地の声を聞くことなく、現地の要望に一顧だにすることなく、日本側の都合でどんどんと援助を実施しようとしている事だ。JICAの援助はパレスチナ解放を願う住民の声に敵対すらしていると、現地住民が告発しているというのである。
「パレスチナの平和を考える会」はファヒトさんが携行したヨルダン渓谷地域評議会の声明とともに11月22日外務省を訪れ援助の撤回を申し入れた。国会議員会館で政治家に対して訴えた。しかしまともに相手にされなかったという。
このブログを読んだメディアの関係者よ。遠路はるばる日本を訪れたファヒト氏の告発を記事にしてくれ。援助される側の住民から拒否される援助を血税で行おうとする外務省の欺瞞は必ずや国民の批判にさらされるであろう。このブログを読んだ野党国会議員よ。今こそ国会の場で外務省援助の欺瞞を追及して欲しい。福田政権はさらなる批判にさらされる事になろう。このブログを目にした外務省の後輩官僚たちよ。あわてて自己弁護の準備に取り掛かるがいい。しかしどのように取り繕っても、住民の声を押さえつける事は出来ない。自らの誤りを謙虚に反省するほかはないのだ。
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