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政軍産官複合体 軍事費後年度負担(とむ丸の夢)
久しぶりに「安原和雄の仏教経済学」を読んでみると、毎日新聞論説委員として書かれた20年前の社説が載っていました。あらためて安原さんの慧眼に感じ入ります。
中曽根政権時代、軍事関連の契約高が1兆円を超えたとき、氏が書かれたものです。
「まず指摘したいことは、兵器生産の増加とともに防衛費そのものが自己肥大していく危険 である。戦闘機や護衛艦など高価な兵器はほとんど後年度負担方式と呼ばれるツケ払い方式によって調達される。たとえば最新鋭戦闘機F15は1機115億円 で、83年度(昭和58年度)予算では13機、総額約1500億円分を認めたが、実際に予算に計上したのは、そのうちのわずか0.2%分の3億円強にすぎ ない。残りは全額後年度負担として次年度以降のツケに持ち越された。83年度防衛予算の後年度負担額は全部で2兆円にものぼっている。
このツケは次年度以降の予算に計上される。このツケの支払い分が年々ふえており、いまでは防衛予算のなかで30%近くにまで達している。
財政赤字下で財政再建が叫ばれながら、その裏では、実はこのような防衛費突出を促す事態が進行しているのである。
わが国の兵器生産は三菱重工、川崎重工、三菱電機、石川島播磨重工、東芝、日本電気な ど少数の巨大企業に集中している。半面、兵器のエレクトロニクス化に象徴されるように高度の技術集約化が進むにつれて、技術力の高い中堅企業の防衛分野へ の進出もみられ、軍事関連企業数は年々ふえている。こうして防衛産業のすそ野は着実に広がりつつある。
このことは、とりわけ景気低迷期には産業界に軍需への期待を抱かせ、それがまた防衛費を突出させていくという、双方のもちつもたれつの関係が成熟する危険なコースへと踏み込んでいく。
長期的視野に立ったとき、経済の軍事化が日本経済の将来にとってプラスでないことは明らかである。
なによりも、かつてアイゼンハワー元米大統領が警告した「軍」と「産」との相互依存体である軍産複合体が根を張っていくことを恐れる。政治、経済の両面にわたって「軍」の顔が大きくなると、それを押し戻すことはなかなかむずかしいからである」。
20年以上も前のこの社説に続き現在の軍産癒着の構造についての情報・考察もありますから、ぜひ一度、安原さんのブログをお読み下さい。
で、私ですが、この「後年度負担方式」というものは知りませんでした。もしかしたらニュースなどでふれられたかもしれませんが、まさか国がツケ払いをしているとは思いませんでしたから、たとえ耳に入ったとしても聞いていなかったのではないかと思います。
どうせ支払いは数十年後だ、と醵出された年金を使ってしまった国の姿勢にも通じると思いますが、とにかく後へ後へと支払いを延ばしていく。とりあえず、目の前のお金は使ってしまえ、後から支払えばいい、ということだったのでしょうか。
(もっとも、厚生年金は軍事費調達手段として考えられたので、最初から支払うことは考慮されなかったようですが)。
これは消費者としていつも肝に銘じていることですよね。カードはなるべく使うな、使っても1回で支払えないものは買うな、等々。クレジットと言っても借金に変わりありません。やっぱり借金は怖いですから。
どうも昨今の“ばくち打ち”経済の仕組みと同様に、この手のツケ払いには手放しで喜べるものではありません。
ためしに「後年度負担」で検索してみると、ゾロゾロ出てきます。
「3月の朝雲ニュース」 の数字を見ると、
海上自衛隊の平成18年度の歳出総額1兆892億円のうち、人件・糧食費4134億円、歳出化経費5330億円、一般物件費1427億円。新規後年度負担は5286億。
ただし、既定の後年度負担は歳出化経費と呼ぶようですから、繰り越されたツケ払いは5286億+5330億=10,616億円となります。
で、なにかやましいことがあると、この「歳出化経費」のように、分かりにくい言葉が使われるんでしょうか。
艦艇に使われる総額1704億円のうち後年度負担は1698億。
航空機については総額266億円の全額が後年度負担。
後年度負担も下の図を見ていただければ分かると思いますが、翌年一括払いではありません。「原則5年以内」で支払いを終わらすことになっているようです。でも、一般的に言って、原則ってよく無視されませんか。要は「リボ払い」で装備品を買っているということでしょう。
企業から見れば、将来も安定した収入が得られる上々得意様。
過去の年度の契約に基づき支払われるのが「歳出化経費」で、その年度の契約に基づき支払われるのが「一般物件費」ですから、新規後年度負担の初回払いはこの「一般物件費」の中に入っているのでしょう。
ふー、まったくもって分かりにくい。
20年以上も前に警告した「“軍産複合体”の増殖」の現在の結果を「構造的利権の中の政軍産官複合体」と安原さんは呼ばれています。もちろん、この複合体は米国のそれとも呼応して、密接につながっているわけです。
軍事機密の壁の向こう側には巣食い、機密をいいことに好きなことをしていますね。
19日月曜日の毎日夕刊。「なくならない官僚の不祥事」と題して大宅映子さんと東北公益文科大大学院教授とかの北沢栄氏の意見が掲載されていました。
大宅氏は、
「問題は、日本が世界に冠たる経済大国になっても、今だに官に富の分配権を持たせ続けていること。官僚から個人の手にそれを取り戻す、ほんとうの意味の構造改革が必要だ」
と言ってるのですが、「官僚から富の分配権を取りもどす“個人”」ってどんな個人を指すのでしょうか。ちょっと分かりませんでした。
北沢氏はやけに小池百合子元防衛相を肯定しています。何考えているのでしょうね。曰く、
「守屋氏が長い間、事務次官として君臨し続けたことも、官僚の世界では異常だった。小池さんが異を唱えなかったらまだ居座るつもりだった。小池さんが結果的に再任されなかったのは、それ自体が汚点だろう」。
この方の「『官の自己増殖』をくい止め、天下りをなくすには、早期退職とキャリア制度という二つの慣行を廃止すべきだ」という意見には同意できますが、この小池評は納得いきませんね。
もともと守屋氏が防衛庁・省で長期に居座ったのはコイズミ政権の下。
「再任されなかったことそのものが汚点」とは、買いかぶりもいいとこ。というより、あまりの手離し讃辞にかえっていかがわしさを感じてしまいます。
私たちよりもよほど情報もたくさん持ち、かつ国政に近いところにいて(11月から参院行政監視委員会、客員調査員)防衛庁・省の構造的な問題についてよく知る立場でしょうに。
やっぱり、小池、そしてコイズミといった人たちはどこかの勢力から守られているのかな?
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