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2007年11月21日
ODA工事の事故の責任をうやむやに終わらせてはいけない
もう誰も忘れかけていたに違いない、そう思って安堵していた外務省にとって、寝た子をさますような記事が、21日の朝日新聞に報じられた。
アセアン+3の首脳会議に出席のためシンガポールを訪れていた福田首相は20日、ズン・ベトナム首相に対し、日本の援助で建設中に起きたベトナム橋(カントー橋)の崩落事故の犠牲者と遺族に「哀悼の意」を表明した。また高村外相も20日のキエム・ベトナム副首相兼外相との会談の席上、同じく犠牲者と遺族に「哀悼の意」を表明した。首相と外相がこぞって謝罪するなどと言う事は異例だ。それだけこの事故が深刻であったということだ。
この事故とは今年の9月にベトナム南部のカントー市近くに日本の援助で建設されていたカントー橋が崩落事故を起こし、130名のベトナム人の死傷者を出したという事故の事である。
この事故は単なる事故以上に深刻な意味を持っている。
まずそれは日本の経済援助(ODA)で行われていた工事の事故であるということだ。そしてその工事を日本企業が請け負っていたと言う事である。
日本のODAは、かつて欧米から「ひも付き(その工事を請け負うのは日本企業に限る)」の多さが批判され、おりしも日本の貿易黒字が非難されていた事もあって、世界のどこの会社も入札できるアンタイド援助にした時があった。ところが日本の不況にともない、経済界の要求に屈する形で、いつのまにか再びタイドにした。その時の言い訳は「日本の高い技術を活かす」という事であった。その結果のこの事故である。現地の日本企業駐在員からは、「税民を使いながら我々が培った「日本の技術力」を台無しにしてくれた」という批判が出たのも当然であろう。
より深刻な問題は、この工事を施工する日本企業側において、経費節約の為に工事に手抜きがなかったか、という疑惑である。この点についてはいまだまともな事故調査が行われていない。
おりしも10月22日の各紙は、日本政府が中国で進めている遺棄化学兵器処理事業をめぐる事業費の不正水増し請求を暴露した。この事業を請け負っているパシフィックコンサルタンツインターナショナル社は、わが国のODA事業を数多く受注している名うての公共事業請負コンサルタント会社である。
東京地検特捜部も資金の流れを解明しているという(10月22日読売)。
おりしも防衛予算の疑惑が世間を揺さぶっている。防衛予算と並んで聖域あつかいをされ続けてきたODA予算をめぐる疑惑は、これまでにも枚挙にいとまがない。この際カントー橋の事故原因については第三者による徹底した調査が必要である。
最後に130人にも及ぶベトナム人犠牲者を出した大事故について、日本政府は単なる言葉の謝罪にとどまらず補償をしなくていいのかと言う事である。もしこの事故が日本や欧米の先進国で起きたとすればただでは済まされなかったであろう。人の命にベトナムも日本も欧米も違いはない。ベトナムが日本の援助を受け続けてきた国であるからと言って謝罪だけで済まそうとすることが正しいのか。ベトナム政府が、最大の援助国日本に気遣って、自国国民に泣き寝入りさせようとしているとしたら、あまりにも悲しすぎる。
日本政府はこの事故をもっと深刻に受け止めるべきである。施工業者の大成建設は担当役人2人の降格と全取締役の報酬の一部返上を決めた。ODAの監督官庁である外務省の責任が問われなくてもいいはずはない。
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