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http://www.nishinippon.co.jp/nnp/column/syasetu/20071119/20071119_003.shtml
約2500億円の巨費と20年以上の歳月をかけた国営諫早湾干拓事業の完工式が20日、行われる。
この事業は有明海異変の主犯と疑われた。その疑惑は消えないままである。
鉄板が次々と海に落とされ、しぶきを上げた。その数293枚で「ギロチン」と呼ばれた。1997年4月、潮受け堤防の建設作業で、諫早湾奥部の約3500ヘクタールが一瞬のうちに閉め切られた場面だった。衝撃的な光景だった。
この映像はテレビでも繰り返し流されて、人々の脳裏に焼きついた。
大規模な自然破壊ではないか。しかも干拓事業の総事業費は、当初1350億円の見通しが2300億円以上に膨れ上がった。本当にやるべき事業か。税金の無駄遣いではないか。この巨大公共事業は激しい論争の的となった。
そして、2000年暮れを迎え、ノリの大不作が明らかになる。同時に事業の中止、見直しを求める声が一気に高まった。有明海の環境を悪化させている「犯人」は、この事業じゃないかと、激しい非難が全国的に巻き起こった。
このため、農水省は干拓事業をいったん中断して、ノリ不作の原因を調査する第三者委員会を設け、不作と事業の因果関係を探るための調査方法について検討を求め、01年暮れ、提言を受けた。
だが、農水省は同委員会が示した三段階の調査方法のうち、短期調査だけを実施し、地元漁民らが求めていた中・長期の調査は実施しないままに終わった。
農水省は諫早湾干拓事業を主犯と断じる「証拠はない」とし、漁民らは丁寧に調べていけば「証拠は出てくる」と主張し、平行線のまま、事業は進められて既成事実となって今日に至った。
これで良かったのだろうか。初めに事業の完成ありきで、結局、事業目的は幾度か変わり、総事業費も膨らんだ。国民の批判を受けて、公共事業を途中で見直す仕組みもできたが、省庁の威信をかけたような巨大事業は跳ね返せない。
諫早湾の潮受け堤防付近など周辺海域では、今夏以降、養殖のアサリやカキが全滅するなどの大きな被害が出た。
有明海が悲鳴を上げている。そう感じる人も多かろう。その痛みの1つ1つを取り除いて有明海を再生させる。息長い取り組みであり、まだ道半ばだ。
ノリの不作、タイラギの壊滅的な状況などを受けて5年前、有明海と八代海の再生を目指す特別措置法ができた。その後、専門家を集めた調査委員会が環境省に設けられ、昨年末に報告書が出た。
注目したいのは、個性あふれる有明海に関するデータはまだまだ少なく、研究機関のさらなる連携も必要との指摘だ。
専門家ら多くの知見を集め、効果的な再生策を講じていくべきだろう。その上で、最新の成果を地域住民に分かりやすく説明してもらいたい。みんなが関心を持ち続けることが再生の力となる。
=2007/11/20付 西日本新聞朝刊=
2007年11月20日00時00分
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