★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK44 > 417.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/61510.html
箕輪登さんが裁判を起こすといいだしたとき、少なからぬ人が驚いた。
自民党衆院議員時代は名うての防衛族で、タカ派と見られていた。その人が中心になって「自衛隊のイラク派遣は違憲だ」と国を訴えたのだ。
札幌地裁の判決は原告敗訴である。イラク派遣の差し止め請求は却下され、慰謝料請求は棄却された。
陸上自衛隊の第一陣が旭川からイラクに出発する前後、全国十一地裁に相次いで起こされた同様の訴訟は、これで原告側の九連敗だ。だからといって、この訴訟が問いかけたものを簡単に片づけてはいけない。
戦争の加害者にも被害者にもなり得るイラク戦争への加担によって、基本的人権である平和に生きる権利(平和的生存権)が侵害された。原告側はそう主張してきた。
判決は「平和的生存権は具体的権利とは認められない」として訴えを退けた。イラク派遣差し止めについては、行政上の問題であり「民事上の請求は不適法」と門前払いの理由を述べた。
一方で判決はこうもいう。
平和のうちに生きたい、戦争には加担したくないからと、イラク派遣に反対する心情は軽視されてよいものではない−。実はこうした心情こそ、イラク派遣の是非を考えるうえで忘れてはならない原点といってもいい。
箕輪さんは判決を聞くことなく、昨年五月に死去した。
「自衛隊は国を守るためのものだ。海外に出てはならない」「日本に戦後六十年も平和が続いたのは、専守防衛と平和憲法を守ってきたからだ」
脳こうそくを患った不自由な体にむち打って、箕輪さんが法廷や記者会見で語った言葉だ。ごく当たり前のことをいっているのだが、現実は逆の方向に向かっているように見える。
イラクでは、陸自が撤退したあとも航空自衛隊が米軍などの空輸支援活動を続けている。
その根拠となるイラク復興支援特別措置法が昨年、二年間延長される際に衆院特別委で付帯決議が採択された。
米国のイラク戦争を支持した当時の政府判断の検証、空自の活動の情報開示、出口戦略の検討などを政府に求める内容だ。
ところが政府は、そんな決議など忘れたかのような態度をとっている。
米国でさえ、とうの昔にイラク戦争開戦の大義の誤りを認めたではないか。政府が今なすべきは、空自の派遣を続けたりインド洋での給油再開を主張したりすることではなく、自衛隊派遣の総括と検証であるはずだ。
民主党は、イラク特措法を廃止する法案を国会に提出している。司法が自衛隊のイラク派遣差し止めを認めなかったからといって国会が議論を避ければ、それは怠慢だ。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK44掲示板
フォローアップ: