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http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1184707_629.html
題名：No.799 大資本は環境配慮を
From : ビル・トッテン
Subject : 大資本は環境配慮を
Number : OW799
Date : 2007年11月19日
我が家の食卓からバナナが姿を消してどれくらいになるだろうか。家庭菜園を始めた頃だからもう1年以上前、いつまでもバナナがみごとな色と形を保っていることに気づいた時だった。
（ビル・トッテン）
大資本は環境配慮を
バナナは国産を見かけることがほとんどなく、多くが輸入品であり、遠い国から運ばれてきているのに価格が安い。我が家でバナナを買わなくなったのは、主に国産の旬のものを食べるようにしたこと（海外から大量の石油を使って運ばれたものを食べる気がしなくなったこと、そして地元のものを食べることは循環型の社会を築くために必要だと思ったこと）と、バナナがどのように作られているかを知ったことによる。
1807年にイギリスで奴隷貿易が廃止されてから200年たつ。しかし貿易商人がプランテーション経営に必要な労働力を必要としたように、多国籍企業が規模の経済を利用して安く商品を先進国に供給するために、中南米では今も当時と変わらないことがバナナ農園で起きている。
バナナリパブリック（共和国）という言葉がある。外国資本によってコントロールされた農園で作られるバナナの貿易を主産業とする小国のことだ。バナナは熱帯雨林地域で作られるが、これらの国には他にめぼしい産業がないため、巨大な多国籍企業、主には米国企業の言いなりとなってきた。さらに80年代には世界銀行やＩＭＦによって課せられた条件付開発ローンを通して、中南米でバナナ生産が集中化した。いま世界のバナナ貿易は、ドール、デルモンテ、チキータなど米国大資本が全体の8割を占めている。
植民地主義が終わった後も、宗主国は現地の人々を奴隷のように働かせ、自国の利益になるように広い農地において単一の食物を栽培させた。農民たちは低賃金で働かされるだけでなく、大量に使われる農薬や化学薬品に日々さらされているため、白血病などにかかる確率も高いが、文句をいったり病気になれば即刻くびになる。NGOのアクションエイドによれば、殺虫剤散布による事故は日常茶飯事であり、米国で禁止された化学薬品も中南米の国々では90年代まで使用され、さまざまな疾病を農民にもたらしたという。小国経済がバナナに依存するがゆえに他の産業が発達せず、したがって悪環境でも農園は働き手を集めるのに苦労しないため、労働者の健康はないがしろにされている。
もともと世界で300種以上あるバナナだが、農園では先進国の市場が好む種類が単一で栽培されており、同じものを広範囲に繰り返し作ることでやせた土地には、収穫を増やすために化学肥料が大量に使用される。単一作物を作ることはまた害虫や病気の耐性も弱めるため化学薬品が使われ、それが雨によって流され、川や海にも深刻な汚染をもたらしている。
かつてカリブ海を支配したヨーロッパ諸国は、独立後のカリブ諸国の経済発展を援助する名目で、そこで採れるバナナの価格を世界市場よりも高くすることを保証してきた。しかしこれを貿易障壁だと米国が訴えたため、WTOはそれを違法だと評定したのである。こうしてカリブの小さな農園は、ドール、チキータ、デルモンテといった米国の大資本と価格面で競争することを余儀なくされた。グローバル化によるしわ寄せはいつも弱者にもたらされ、その結果先進国のわれわれの食卓に安いバナナが提供される。
しかしバナナを食べないことが解決策でもないと最近思うようになった。バナナ農園は、現状において貧しい国の経済を支えているからだ。ではわれわれに何ができるかといえば、大資本に、農園の労働環境や世界環境に配慮させるような行動をとることだろう。たとえば、労働者や環境に考慮して作られたフェアトレード認証の商品や、有機栽培されたものしか買わないようにすることは、たとえわずかでも消費者がとることのできる方策の一つだ。
貧しいカリブ諸国ではその土地で自分たちの食物を作る代わりに、バナナやコーヒー、ココアのような、先進国のための嗜好品や贅沢品を作っている。グローバル化を批判しつつもコーヒーが大好きな私は、この現実を忘れてはならないと自分に言い聞かせる。
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