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http://blog.livedoor.jp/masahero3/archives/51066171.html#comments
より引用はじめ
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2007年11月12日
混合診療は是か非か。
先週11月7日(水)、医療制度に関連して大きな影響があると思われる地裁判決が出された。混合診療を原則禁止していた厚生労働省の考えは法的根拠がなく、混合診療は法律上認められるという判決である。
混合診療とは健康保険の診療と健康保険の範囲を超えた自由診療を混在させて提供することである。厚生労働省は、この混合診療を認めないという立場をとっていたので、保険外の自由診療を行った場合は、その中に一部保険治療も含まれていても、保険内診療分を別途医療保険に請求できず、全ての治療費が自己負担とされるものである。
今回の裁判では、腎臓癌治療のため、保険適用対象となるインターフェロン治療と、保険適用外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併合して受けた患者が、インターフェロン治療まで自己負担とされたのは不当として、インターフェロン治療に対する保険適用を求めた訴訟で、東京地裁判決では「インターフェロン治療に対する保険が適用されない根拠は見いだせない」として、患者側の請求を認めたものである。
つまり結果としては、患者側の言い分が認められ、保険適用対象となるインターフェロン治療については自由診療と同時に行われていても保険請求でき、患者側の自己負担額が減るというもので、患者にとって利益のある判決になっているわけである。
ということは混合診療は認められないという厚生労働省側の考え方を否定して、混合診療が認められるという結果は国民にとって歓迎すべき、国民側に立った判決なんだろうか。
ところがこの内容をよく考えると、必ずしもそうではないように思える。
そもそも厚生労働省側が混合診療を認めてこなかった大きな理由は「混合診療を解禁すれば、所得により受けられる医療に格差が生じる。治療費を多額に支払える患者だけが、より多くの治療を受けることができることになってしまう。」というものであったろう。
それに対して混合診療の禁止は「より支払能力の高い人しか保険外診療を受けられない、という逆効果になっている。」(保険内で給付されるものも保険外とされてしまう為、両者を自己負担できるほどの負担能力がある人のみ、保険外診療を受ける結果となっており、混合診療を認めれば保険対象部分の給付負担が減るので現行より多くの対象者が保険外診療を受けられるという意味)という反論もあったことは事実である。
両者の論理は、それぞれうなづける部分もあるのだが、しかし実際問題として総合的に考えれば、混合診療が認められれば、個人の経済状況により受けられる医療の質の差が現在より広がって、医療格差はより深刻になるのではないかと懸念される。
公的医療保険で保険が給付されている限り、患者は自己負担分だけ支払えば医療が受けられるが、混合診療が認められて自由診療になってしまうと、供給側の言い値で商売ができるようになるので裕福な人だけが高度な治療にアクセスできるという図式が生じる可能性は否定できない。
今でも、所得が高い人は混合診療であろうと、なかろうと診療は受けられる。これは間違いない。
しかし混合診療が当たり前になった社会では、所得や収入の多くない人々は保険外診療など受けられないだろうし、さらに今より診療の質が低下する可能性があるということだ。
なぜなら混合診療が認められることは現在、健康保険でみている療養までも「保険外」となる可能性がある。さらに保険外のほうが儲かる診療であれば、保険医療しか使えない患者が医療機関から排除されてしまう恐れがあるということだ。これは大きな問題だろう。
また混合診療が全面解禁されてしまうと未承認の保険が利かない薬による治療が蔓延する恐れがあり、医療の安全性が大きく問われることになりかねない。薬害が健康に及ぶす影響の責任も、すべて自己責任に転嫁されるであろう。
どちらにしても今回の地裁判決の流れが混合診療の全面解禁に向かうとしても、それは必ずしも改正とはいえないと思う。むしろ裕福ではない階層にはデメリットのほうが大きいように思えてならない。
少なくとも我々は規制改革・民間開放推進会議の議長であるオリックスグループのCEO(最高経営責任者)・宮内義彦氏が雑誌のインタビューで答えている次の発言を肝に銘じておかねばならないだろう。
宮内発言「混合診療は国民がもっとさまざまな医療を受けたければ健康保険はここまでですよ、後は自分でお払いください、というかたちです。金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも高度医療を受けたければ家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。」
宮内氏はどのような医療を受けても家を売る必要はないだろうが、必要な医療を受ける為に家財産を処分しなければならない人々が増える社会が、混合診療の解禁の意味なのかもしれない。
しかしお金持ちの論理はわからん・・。
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(中略)
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この記事へのコメント
1. Posted by アイアイ 2007年11月12日 14:32
早速の記事立てをありがとうございます。
混合診療が自由になった場合の一番の懸念は、masaさんが書かれているように保険給付費の抑制に傾かないかという所だと思っています。「保険給付できる部分」「診療・治療しても良いが保険給付がされない部分」ここの境界ができるという事は、政策の方向によっては抑制もあり得るという事で、「傷病や疾病の診療や治療を認めている行為については保険給付の対象」という明確な根拠付けは必須だと思います。今の政策の流れだと「社会保険方式なので全てをカバーする必要はない」という理論の学者も出てきそうですし…。
2. Posted by ひろ 2007年11月12日 19:22
正直、最初にこの記事を見たときに、私は難病や末期ガン等で苦しんでいる患者さんが少しでも救われるように、所得や病状に応じたガイドラインさえしっかり構築できれば、混合診療も良いのではないか?と短絡的に考えていました。
masaさんやアイアイさんのご意見を見ると、この問題がいかに現在の医療制度を先行き不安定な状況に陥らせる危険性をはらんでいるのかが感じられました。
医師や病院も保険給付では儲からないとなると、自由診療という傾向に傾くのかもしれませんね。より高い知識や技術を身につけたドクターが、自身に見合った報酬や待遇を求めて動く。今の日本の医療制度は他国と比べると非常に優れているように思えてきました。
3. Posted by ゆう 2007年11月13日 19:15
masaさんの観点、大切だなと思います。
ニュースで出た人の、保険対象になってない治療を受けたいという気持ちは良くわかります。それが出来ない現状の問題の一つに、薬などの認可が日本はとても遅いという事ですよね。
認知症の治療薬もアリセプトしか認可されていませんが、欧米ではもう既に他の有効な薬が使われており、それが日本では認可されるまで3倍以上の年数がかかってしまう所に問題を感じます。
裕福な人だけが良い医療を受けれるのではなく、だれでも良い医療を受けれるように認可体制を充実させる事が第一だと思います。
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引用終わり
※まずオリックス宮内のたわ言に対しては「家売ったら治っても帰る場所がないじゃん」
と切り返すくらいにしておこう。それで十分。
>なぜなら混合診療が認められることは現在、健康保険でみている療養までも
>「保険外」となる可能性がある。さらに保険外のほうが儲かる診療であれば、
>保険医療しか使えない患者が医療機関から排除されてしまう恐れがあるという
>ことだ。これは大きな問題だろう。
>
>また混合診療が全面解禁されてしまうと未承認の保険が利かない薬による治療が
>蔓延する恐れがあり、医療の安全性が大きく問われることになりかねない。薬害
>が健康に及ぶす影響の責任も、すべて自己責任に転嫁されるであろう。
というのは私も見逃せないと思う。なぜなら、例えば東洋医学なんて今でも大部分が
保険外診療だから。
薬にしても有効な薬を正しく処方してもらわなければならない。
どこまで規制するか次第ではあるが、日本の医療技術の進歩そのものが鈍るおそれ
もあることを考えなければならない。
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