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【医療破壊】 混合診療はどうですか。患者さんにとってプラスかマイナスか。
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/298.html
投稿者 どっちだ 日時 2007 年 11 月 16 日 21:18:20: Neh0eMBXBwlZk
 

----ポンコツ研究日記〜悩める産婦人科医のブログ〜 から転載-------------------
http://ameblo.jp/y-gami/day-20071116.html


混合診療はどうですか
テーマ:医療問題

混合診療 全面解禁求める
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071116-OYT8T00069.htm

前のつづき。

混合診療は、患者さんにとってプラスかマイナスか。

1)医療はすべて善意の上に成り立っている。

2)国も患者さんの利益になるようにしか動かない。

3)患者さんがある一定以上の医学的知識を持ち、正邪を正確に判断できる。

この3つの事柄が全部正しいなら、プラスでしょう。

どういうことか、順に考えてみます。

1)について。

○○の会みたいな人々は、医師の性悪説をよく唱えてますけど、

実際は医師は悪い人間の集団ではありません。

とはいえ、少数派ながら患者さんを食い物にしようとしている人がいることは否定できません。

そういう人たちにとって、混合診療は大歓迎です。

何しろ、根拠の怪しい治療をやっても、当該治療以外は保険が通るため、

患者さんにとって敷居が低くなる。

今までは、全部自費診療になるという部分が抑止力になっていたのに・・・。

残念ながら、結果として今よりもさまざまな治療が世にあふれ出すことになるでしょう。。。


2)について。

国は混合診療を解禁しても、

今までのように新たな診療に対して保険診療の適応を認めてくれればいいのですが、

そうはならなくなる可能性がある。

ただでさえ、国(財務省)は医療費を下げたくてしょうがない状態なのです。

混合診療を認めれば、患者さんの敷居が低くなるために、

今までのように、新たに保険診療の適応を広げなくても患者さんはそれほど困らないということになる。

しかし、その結果として、患者さん1人1人の自己負担額が増大する・・・。

3)について。

これが一番重要なことですが、

患者さんが混合診療を求めるのは、保険で認可されていないような新薬や新治療法等を受けたいから。

特に、進行癌を初め今の既存の医療では予後不良である患者さんがわらをもすがる思いで、

新たな治療を求めているのに、なかなか国は保険適応にせず、

結果そういった治療は自費診療になってしまい敷居が非常に高く、

涙を飲んであきらめるしかなかった。

確かに混合診療にすれば、そういった治療を受けやすくなるのは事実です。

しかし、国が保険適応にするのが遅れる理由というのは、お役人様の怠慢というわけではありません。

本当に使っても安全なのか、有効なのかを見極めるのに時間が必要だから。

海外では安全で有効であるといっても、日本人にはどうなのか。

量や投与方法等はどれくらいが適正なのかを調べることは決しておろそかにしてはなりません。

もちろん、「自分には時間があまり残されていない。奇跡を信じて使いたい」という患者さんの希望はわかりますが、

混合診療が解禁になれば、玉石混淆になると思います。

その中で、果たして本当に有効な治療を選択できるようになるかどうか。。。

以上のことを例を用いて説明すると・・・、

(解禁前)

・2007年

X病には保険適応としてAという治療法しかない。BやCという治療法が海外でやられているが自費。

その他D、Eという民間療法もある。

・2012年

BについてはAよりも有効性が高いため、保険適応が認められたが、

Cについては一部のケースではBよりさらに有効性が高いが、

投与後数年して重篤な合併症が出ることがわかり、保険適応はされず。

D、Eは保険適応されず。

→A、Bは保険適応で安価。治療法Bを受けるのが一般的になる。

(解禁後)

・2007年

X病には保険適応としてAという治療法しかない。BやCという治療法が海外でやられているが自費。

その他、D、Eという民間療法もある。

・2012年

BについてはAよりも安全性も有効性も高いことがわかったが、保険適応されず。

CやD、E以外にもF、G・・・Zといった治療法ができたが、有効性、安全性についてはさまざまな意見があり、

結論が出ていない。

保険適応は依然としてAという治療法のみ。

→Aのみ保険適応で安価。

  正確な知識を持っている人はBを選択するが、一部自費となってしまうため一般的とはいえない。

  そうでない人は、よくわからずに、有効性だけでCを選んだり、

  D〜Zのような民間療法を選んでしまう人も出てくる。

まあ、こんな感じでしょうか。。。

ということで、


ここまでお読みになった方はもうおわかりだと思いますが、

今回取り上げた読売新聞の記事に書いてある、


>〈2〉混合診療を解禁すれば新しい治療法や薬を試みやすくなり、患者の治癒の可能性が飛躍的に高まる

というのは、大嘘だと思います。


結局、正しい知識を持った人は、今より安価でより有効な治療を受けられる可能性もあるかもしれませんが、

勉強が嫌いな人、だまされやすい人は、変な治療にはまりやすくなり、自己負担も増える。。。

それが混合診療だと思います。


果たして、それが本当に多くの人に幸せをもたらすのかどうか・・・。

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