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2007年 11月 13日
政治算術を超えて:日本には“保守派の反権力”政治家が存在しない
アルルの男・ヒロシです。
福田首相は、訪米を前に「新テロ特措法」を衆院で通過させ、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領への手みやげにするつもりだ。これに対して、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、「お土産外交はやめよう。気概を持って、属国のようなことはやめよう」と発言したという。同じ発言を伝えていると思われる、朝日新聞の一面の記事には「おみやげ」云々のことは書かれているが、この「属国」云々は省略されている。
世論調査の結果というのはどれほど当てになるのか分からないが、とりあえず、設問形式が複雑なNHKを除いた、読売、日経、産経の結果を以下に書き出しておく。朝日・共同は、ネット版ではデータが入手できなかった。
読売 給油(支持:不支持=49:39)、小沢(納得:不満=36:56)、大連立(協議不要:政策協議:連立=17:66:12)
日経 給油(支持:不支持=44:37)、小沢(納得:不満=33:52)、大連立(支持:不支持=27:55)
産経 給油(支持:不支持=51.8:38.2)、小沢(納得:不満=45.9:40.8)、大連立(支持:不支持=26.8:60.5)
NHK 給油(支持:不支持=31:24)、小沢(納得:不満=30:65)、大連立(支持:不支持=46:48)
これを見ると、平均して、給油(支持:不支持=44:35、小沢(納得:不満=36:53)となり、小沢辞任騒動は、世論調査を信頼するならば、あまりいい影響を与えなかったと思う。
サラリーマン層には浮動票が多いとはいえ、それでも自民党自体が小泉首相のようなカリスマを持った政治家がいないので、次の総選挙ではガチガチの支持票を奪い合う選挙になる。民主党はサラリーマンが支援してくれないとなると厳しい闘いを強いられる。無党派が寝てないで起きていても、政権交代は難しい。しかし、与党が過半数をとっても、自公で3分の2(320議席)以上を得ないと、再議決が出来ない。現在は自公政権で336議席ある。小泉旋風を福田康夫では起こせないから、このハードルを維持できるか。繰り返すが「過半数」ではダメなのだ。
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2007年9月25日現在の、衆議院における会派別勢力は以下の通り。
自由民主党・無所属会(略称は、自民。以下同じ) 305
民主党・無所属クラブ(民主) 113
公明党(公明) 31
日本共産党(共産) 9
社会民主党・市民連合(社民) 7
国民新党・そうぞう・無所属の会(国民) 6
無所属(無) 9
欠員 0
計 480
憲法第54条 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
憲法第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
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憲法の規定に合わせて考えると、会期末12月15日から40日以内の日曜日を考慮すると、36日目の「1月20日」がタイムリミットである。もっと早くやっても良いのだが、選挙公示日は、松が外れてからというのが日本における最低限のルールであるから、8日公示だといわれているのだろう。
だから、民主党としては、選挙に年明けに突入して、自公の勝利を得るが、自公政権で過半数以上3分の2未満というところで、いわ「自決覚悟」でテロ法案を再度葬り去るというやりかたもあるにはある。そうなると、「再提出、再度否決・・・、再々提出、再々否決・・・」ということを繰り返すことになるが、これでは国会審議がストップしてしまう。
これを予想している与野党ではすでに落としどころを準備している可能性もある。すでに準備してある新テロ法案の「のりしろ」部分である、「国会の事前決議」を材料に、与党と野党が政策協議に入るという線がある。中川秀直議員は、そこを見越していて、「問題は憲法ではなく国会承認であることを示している」と自身のHPで書いている。ということは、仮に選挙になっても、自民党が根負けしない限り、いつかは給油法案は通ってしまうのだ。
仮に選挙になるとして、もっとも可能性が高いのは、予算関連法案審議に影響が出ないギリギリの線で、1月20日投票ではないかといわれている。12日間の選挙期間が必要なので
選挙の公示が1月8日。解散はもっと前になる。政界雀たちが年内解散を騒ぎ始めているのはそういう理由からだ。
そうなると、野党の戦術としては、最大の論点を消費税増税と見据えて選挙を先延ばしにする可能性が出てくる。給油法案は、国会承認を入れることで政策協議の上で通すという線に落ち着く。選挙で自公が三分の二を取らない限り、野党で過半数(241)を取らない場合には、「ねじれ国会」のせいで、いつまでも給油法案は成立もしないし、廃案にもならない。いずれ、野党が折れると自民党では見ているのだ。
とまあ、これが憲法上の規定から逆算した、与野党の政治算術である。
しかし、実際のところ、本当に解散になるかは読めない。その理由は、米国政府がこの給油法案にいくらの値段を付けているか分からないからである。郵政民営化のときは、広告業界を使ったり、マスコミを積極的に使ったアメリカも、今回は代理人を通して間接的にメッセージを伝えるのみである。給油反対=抵抗勢力とまで決めつけるという露骨なキャンペーンがない。だから、アメリカは幾らの値段を給油法案に付けているか分からない。思いやり予算の減額幅がその「金額」だと言えなくもないので、福田訪米の時にどういう「値段」が提示されるか見物である。
☆ ☆ ☆ ☆
しかし、今回の「テーマ」は、日本における「第三勢力」の重要性についてである。今の野党は、民主党、小泉郵政選挙に負けた旧自民党勢力の「国民新党」、泡沫勢力になった左派の社民党と共産党で成り立っている。国民新党は、いつ自民党に戻るかもしれないと疑われているし、社民・共産はあくまで批判勢力であり、何より保守派からの支持が得られない。
今回の小沢騒動で分かったことは、日本には二大政党以前に、スイングボートを握る批判的な「第三勢力」が存在しないし、生まれる気配もないということだ。公明党は、宗教を基盤にしているので、普通の第三勢力とは言えない。リバータリアン的な第三勢力というのが日本では存在しない。保守派でありながら反権力という勢力が生まれない土壌である。
小沢がダメであれば、それに変わる第三勢力が存在しない。しかし、私はここでお二大政党制が政治理念を軸に構成されるべきだという理想論を言っているのではない。二大政党制とは名ばかりで実際は「富豪党」の独裁政治だというのは、アメリカの例を見ればよく分かる。結局は、現在の政党政治は、難波田春夫の言う、「組織化された大衆民主主義」なので、それぞれの支持母体が「利益誘導」をいかに上手に行うかということがメインになってくる。外交政策の面でも、アメリカ民主党は、党内左派はともかく、大統領候補のクリントンもオバマもエドワーズも「テロとの戦い」では共和党とほとんど変わらない主張である。
お題目である二大政党政治と現実とのギャップに対する不満が庶民の間にわき起こらない。テロ特措法では、庶民の間で実感が沸かない。ところが、これが消費税の問題であれば、話は違ってくる。消費税には逆進性があり、実際にスーパーのレジの前でその負担感が実感できるからだ。
無料のガソリンスタンドであるテロ特措法について、民主党は「テロ特措法」と国民生活の負担増を結びつける努力が必要だが、「属国」という言葉を使うようになった鳩山幹事長にその当たりの智恵があるかどうか。やはり、アメリカでは戦死者が何千人もでているので、あれだけ反政府デモが盛り上がるのだろう。
第三勢力のモデルケースとなるのが、アメリカで地味ながらも着実に支持を伸ばしている、共和党の下院議員、ロン・ポールの活動が参考になる。彼は、9.11事件は、それまでのアメリカの覇権的な政策に対する「揺り戻し」(ブローバック)が起きた結果だとし、「ドル覇権」が実物資産である金の裏付けもなしに紙切れであるドルを刷り散らかした結果であることを指弾している。反権力の人民主義者(ポピュリスト)である彼は、インターネットを通じてサポーターが増えている。
11月5日には、イギリスの「火薬陰謀」(映画「Vフォーベンデッタ」に出てくる)の日を記念した献金サイト(現体制への反逆、革命という意味か)で、わずか一日にして、支持するグループが彼に対する407万ドル(4.5億円)のネット献金を集めたという。彼が、共和党の指名候補になることは、万に一つも無いのだろうが、わずか一日でこれだけの献金を集めたという事実は、ブッシュ政権や既存の政治家に対する不満がアメリカ国内の中で強まっていることを示したといえる。一日の献金額でもっとも今までで多かったのが、今年6月30日のヒラリーの620万ドルだったそうで、一日の献金額では共和党の上位候補のミット・ロムニーを超える額だという。確かアメリカでは個人で献金できるのは一度には2300ドルだったはずだから、この400万ドルというのがいかに大勢の献金で成り立っているかが分かる。
ロン・ポールは下院議員を10期(20年近く)務めているが、リバータリアン党(草の根大衆政党)だったり、共和党に戻ったりと、保守の中でも「傍流」を歩いてきた人だ。その点、民主党の小沢代表とは全く違う。
国民新党の亀井静香氏も、自民党幹事長経験者だ。だから、保守政治の本流にあった人たちである。小泉よりはマシだがという点で期待しているだけで、今ひとつ信用されていないのはその経歴故だろう。
小沢代表は、元自民党幹事長だから、政治の本流を歩いてきた政治家だ。だから、アメリカとの関係も決定的な亀裂を起こさないようにしてきた。同じ自民党だった野中広務が、今週の『週刊現代』で、湾岸戦争時の拠出金135億ドルのうち、湾岸諸国の支援に使われた20億ドル以外の115億ドルの行方が分からないと暴露している。当時の自民党幹事長は小沢だった。別の自民党筋の話として、115億ドルのうち、15億ドル(1800億円)は、「日米政府間で信託ファンドをつくり、日米共同で開発する兵器の開発費にアメリカの投資ファンド(注:カーライルか?)を経由して投資された」「(その資金の)運用金が与党の国防族に還元された」として、政界全体を揺るがすスキャンダルがあることを紹介しているのだ。
これが事実であるかは分からないが、そのような話が出ること自体、小沢一郎が握っている秘密は相当に大きいとも言える。その爆弾が爆発すると、自民党まで犠牲者が出ることにも為るし、「日米同盟57年目の破局」を迎えることにもなりかねない。だから、小沢が政治生命を捨てて、「自爆テロ」なり「自決」でもしなければ、事態の打開は無理である。秘密外交があったのであれば、それを明らかにして欲しい。
戦前の国体が「天皇陛下」であったとすれば、戦後の国体は「日米同盟」だった。この事実を告げるかどうかが非常に重要な問題なのだが、「インサイダー」の小沢にそれが出来るかどうか。政治闘争の結果がどうあれ、その事実が明らかになることが非常に重要だと思う。
しかし、第三勢力の政治家が出てくるまでは、「より悪くない選択」をすることが重要で、その場合は、政権交代ということにならざるを得ない。それもまた事実である。
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<情報メモ>
ゾグビー世論調査から米大統領選挙調査結果(11/12)
Democrats
Clinton 37%
Obama 19%
Edwards 15%
Not sure 17%
Republicans
Giuliani 28%
Romney 20%
Thompson 13%
McCain 8%
Paul 7%
Not sure 16%
http://www.zogby.com/news/ReadNews.dbm?ID=1388
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