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失政が招いた「所得増なき物価高」(JANJAN)
http://www.asyura2.com/07/senkyo44/msg/171.html
投稿者 JAXVN 日時 2007 年 11 月 13 日 09:05:29: fSuEJ1ZfVg3Og
 

(回答先: 食料品値上げ、狂乱物価より心配なこと = 森永卓郎 投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 11 月 12 日 23:46:39)

「物価高に寒風しみる街から政治家に物申す 2007/11/11

 立冬も過ぎ、広島地方も寒風が吹きすさぶ季節になりました。

 私は週末、日用品と食事の買い出しに出ました。途中、ガソリンスタンドを通過しました。なんと、ガソリンスタンドでは1L何円か、という表示はない。

 その代わり、「500円以上はスタッフが給油します」という看板がかかっています。そう。あまりにガソリン価格が高いので直接値段を表示すると敬遠されてしまう。そこで「スタッフ給油」を売りにしているのです。

 ああ、いずれにせよ、輸送コストに跳ね返り、物価に響くだろうと暗い気持ちでスーパーに入る。目についたのは「低価格そのまんま宣言」の張り紙です。製品は値上がっているが、皆さんの暮らしに影響しないよう、百品目だけ価格を据え置くという。

 しかし、スーパーにはたくさんの品がある。百どころじゃあない。ほぼ無限です。あまり効果はないじゃあないか!! しかし、お店に文句をいっても仕方がない。

 給料は上がらない。公務員でも容赦なく賃金カットが襲いかかります。この「所得増加なき物価高」は前代未聞です。田中の角さんの時代も狂乱物価だったが、角さんのころは賃金も上がったのです。

 しかし、今は、違います。

■失政が招いた「所得増なき物価高」

 結局、改革の方向を、日本はある時から誤ったのです。

 日本は、1985年のプラザ合意で対日貿易赤字に業を煮やしたアメリカに円高を仕掛けられました。その後、あるべき内需拡大で所得を増やすのを怠ってきました。物価を下げることだけが何か「消費者の利益」とされた時代でした。大手企業正社員や公務員の多くは、中小企業や農民がつぶされていくのに無関心ではなかったでしょうか?

 だから労働組合も、まだ当時経済政策は自民党よりネオリベラルだった民主党を応援したのでしょう。思えば日本人はこのころから分断されました。本来の「生活者」の要求である福祉や子育て、住宅政策は貧困なままでした。依然、男性正社員に家族を経済的に養わせる体制の温存がはかられました。一方で、夫や親に扶養されていることを前提に女性や若者を安い労働力として活用することも進みました。

 とくに小渕政権以降は、このような政策で賃金を抑えて非正規労働者を増やしました。また、アメリカにお金を流出させて円安を維持することで日本からの輸出をしやすくさせました。あるいは、「安かろう」の労働者を求め海外に進出しました。

 この十年以上、日本はこのようなネオリベラルの政治に席巻され、経済がガタガタになりました。その政治は「改革」とはいわれました。しかし、北欧のように大きな政府にして、きちんとセーフティーネットを張り、女性をとくにそれなりの給料で公務員として雇い、男性の給料は抑える、というわけでもありません。

 結果として、中年男性は長時間労働のままで、女性や若者は「仕事と家庭が両立できる」の美名の下に低賃金労働を強いられました。

 だが、その陰で、すでに日本の実質為替レートはプラザ合意後最低になっていたのです。この実質為替レートとは、乱暴に言えば日本の車1台でアメリカの小麦何キロ買えるかという数値で、日本人はどんどん国際的に貧しくなっていたのです。

 最近、以前では考えられないような製品のリコール(メーカー責任による回収、修理)なども増えています。昨日は店員、今日は製造現場、といった労働者の使い方をしていれば当然です。

 そして1993年以降、先進国ではただ日本だけが、1人当たりGDPは横ばいにとどまりました。しかも、みなギリギリ人件費も抑えこんで大手企業が儲けているようなところに、カジノ経済暴走による石油値上がりです。バイオエタノールブームによる食料値上がりです。日本経済、とくに家計と下請け企業は「遊び」をなくしているところにモロに輸入品高騰が直撃し、大変なことになっています。

■政治もマスコミもピントはずれ

 この「所得増加なき物価高」こそ、今国会のメインテーマです。

 福田総理。あなたは、小沢さんとの会談では、連立がされれば給油継続にこだわらないとおっしゃいました。ならば、優先度の低い話は止め、緊急経済対策を話し合ってください。小沢さんも福田さんの挑発にのるべきではない。

 私は以下を緊急に提案したい。

1.医療、介護、教育の負担軽減

2.上の財源は財務省保有アメリカ国債を裏付けにした国債発行と日銀による買入(臨時に日銀法を改正)、大手企業、お金持ちへの増税で→痛み分散

3.揮発油税の上乗せ特例措置廃止。つまりガソリンを安くする。自民党は余った財源を一般化するというが、分捕り合戦になるだけ。

(「ガソリン高騰は車社会脱却、環境に優しい社会につながる」との楽観論もありますが、それよりも「仕組み」として車に頼らなくてよい社会をつくらないと、車依存は止まらず庶民から苦しむだけです。)

4.農業への投資。所得保証を含む。

5.国際的なカジノ経済規制。さらに長期にはドル体制に変わる国際経済体制の検討。

 小泉政府がもたらした貧困層の拡大。そこへ襲いかかる物価高は避けられない。だからその中でベストを尽くすしかない。政治家にはよくよく考えていただきたい。

また、今回の党首会談の裏でこそこそ動いていた渡邊恒雄・読売新聞主筆。国政を壟断する時間とエネルギーがあるなら、庶民生活を守るような具体的な提言くらい社説でしたまえ。もし街の様子がわからないなら、健康維持のためにも街を少しは歩いてみられたらいかがでしょう。

■「他者への共感」で立ち上がろう

 有権者もこの際です。「他者への共感」を取り戻したい。今までは、他人が政治のせいでひどい目にあっても、「ざまあみろ」と溜飲さえ下げてませんでしたか? そこまでいかなくとも無関心ではなかったですか?

 高齢者のあなた、若者の失業を「だらしがない」ですませてませんでしたか?

 若いあなた。福祉切り捨てを「年寄り、ざまあみろ」と思ってませんでしたか?

 都市住民のあなた。農民が苦しむのに無関心ではありませんでしたか?

 そして、日本人のみなさん。投機筋にひきおこされた通貨危機で苦しんでいるのはどこか遠くの途上国のことだと思ってませんでしたか? でも、いまや問題は「所得増加なき物価高」として日本人の多くを直撃しているのです。

 もうそろそろいい加減に立ち上がりましょう。先の参院選はその端緒でした。今国会で政治が国民をなめているなら、もっと声を出していかねばなりません。
(さとうしゅういち)」
http://www.news.janjan.jp/government/0711/0711100448/1.php

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