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うーん。リチャード・クー氏のコラムを読んだ。
まあ、本当に良く見てるわ・・・・。ある意味脱帽だね。
皆にも読んで欲しいのでURLとちょっとした解説を行っておく。
第3回「日本経済の現状はどうなのか」(2007/11/05)
なぜ「今回の景気回復はホンモノ」なのか
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/koo.cfm
>今回の回復がホンモノだという背景には、日本企業のバランスシートがこの十数年間で大幅に改善したという事実がある。
>下の棒グラフは銀行の企業向け貸出残高を示しているが、残高は2005年時点で、1985年の水準にまで圧縮された。
>バブルが発生したのは87年から88年だから、85年の水準に戻ったということはバブル前の水準まで銀行の企業向け貸出残高は戻ったことになる。
>また、折れ線グラフは銀行の企業向け貸出の対GDP比を示している。これもバブル期には85%まで上昇していたが、現在は52%まで減少している。
リチャード・クー氏の分析は概ね正しい。実際に企業の収支の状態及び利益率を作り上げる構造についてはバブル期以降ずっと改善し続けており、現在の日本企業は非常に良い状態になっている。
それなのに何故それが労働者への還元に繋がらないのかが問題。
現在の日本企業の高収益は、ほぼ全て「外資が美味しく配当を食べる」「CEOが高収益を挙げて報酬を頂く」と言うやり口のみに還元されている。
日本国民はデマに騙されているのだ・・・。そして、その配当やら報酬についてはこう言う記事を以前に書いた。
参考エントリー 世界史に見られるランドパワーとシーパワーの戦略VOL168
外資が狙っているのはここで書かれている「蛸配当」と言う恐ろしいやり口を狙っている。
日本では、日清戦争後に第二次株式会社ブームが起こった。
こうして勃興した会社のいくつかは、第一次大戦後の不況で破綻した。
高橋亀吉は、大正から昭和にかけて破綻した21社の分析をもとに、破綻のパターンを表のように六つに分けている。
破綻のパターンは多様だが、根本的な原因は一つであるといってもよい。
高橋亀吉はそれを次のように書いている。
「株主の専横から蛸配当を強いられ、かくて事業を破綻に導いた」という原因である。
これをもたらした経営者の気持ちを福沢桃介は「株主の利益をはかるためには自分の手足を食いつくす蛸のように、無理な配当もやむをえず」と表現している。
高橋亀吉はこうした問題の解決策として、重役の無限責任制度の導入を主張している。第一生命保険の創業者である矢野恒太も銀行業界や保険業界では、役員の無限責任制度を導入すべきだと言っている。
実際に、矢野恒太の属する生命保険業界では、株主の意向を受けた近視眼的経営が数多くの破綻を招いた。
1893年から98年にかけて設立された37社の生命保険会社のうち、昭和のはじめまで営業を続けていたのは14社にすぎなかった。
生き残ることができたのは、長期的視野を持つ株主(無限責任を持つ財閥会社)に株を持ってもらい、経営の自立性を高め、短期志向の株主による経営介入を抑えることができた会社である。」
蛸配当を求めるにしても、日本でそう言う事ができるのか?
グリーンメーラー、つまり脅迫者として日本企業を食い荒らすにしても、その反動が怖くは無いか?
その事を調べるために、日本国内で鉄砲玉がたくさん養成された。結果こう言う輩まで現れた訳だ。
参考エントリー 勘違いしていた人達
つまり、今の日本企業は非常に強い、しかし下々の労働者にはその果実は還元しない。
株主、しかも蛸配当を求めるお金持ちの害虫と、功名心と欲得だけで会社を仕切る雇われCEOが今の日本企業を蝕んでいる。
今後とも自民党が夢想していた様な上げ潮は起こらない。
そう言う風に筋目がなっていないからである。その事を良く理解しないといけない。
会社が強くても、国民の為なんか考えてない会社ならば、それは単なる立派な作りの蛸部屋なのだから。
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コメント
この記事へのコメント
企業は株主と短期的な利益しか頭にない。そして政府は財界の言うがまま。そんな理念なき経済が発展を続けるわけはありません。
政府税調の答申が出たようですが、相変わらず「国際競争力を高めるため」の法人税減税と消費税増税の必要性をうたっているようです。
橋本内閣の愚行をまた繰り返すつもりなのでしょうか。
現在のデフレと財政悪化が、10年前の橋本政権に端を発していることに、財政再建派は気付かないのでしょうか。
いじれにせよ、上げ潮が起こらないというのは同感です。輸出の伸びにこれ以上期待できない状況で構造改革を続ければ、日本経済が成長を続ける可能性はありません。
2007/11/11(日) 21:38 | URL | 雪猿 #-[ 編集]
蛸配当って会社法の290条辺りに違法としてあったはず。
だから多分蛸配当はしていないでしょう。
ただ、従業員が受け取ってもよいはずの利益を食い潰されているというのが実情だろうな。
グローバリズムなんてのが流行ると給与は減るばかりだから気を付けたほうがよいな
最終的には支那モデルが経営者にとって一番最良の形になるから支那と同じ給料で物価は高いとかいう世界が来る可能性も無きにしもあらず。
それは、阿鼻叫喚の地獄だろうなぁ。
2007/11/11(日) 22:37 | URL | 馬鹿陽区 #-[ 編集]
雪猿さんへ
まぁ、法人税だろうが、消費税だろうが結局は負担するのは消費者だぞ?
法人だって営利目的で運営するんだから、法人税が上がれば値上げする。
だから、法人税控除分を労働者に還元または地域性のある事業への投資に回せば法人税は安くなってもよいと思いますがね。
ただ、上記のように配当で食い潰されているという事実があるから問題なんでしょう。
2007/11/11(日) 22:43 | URL | 馬鹿陽区 #-[ 編集]
>馬鹿陽区様
いや、してますよ。
ホリエモンのやり方。資産を叩き売って換金して、配当しろと言うやり方。
あれは短期集中型の蛸配当です。
ちなみに、三輪のレッドアラートでは、グローバリズムの行く末は全ての国がシナに近い形に収斂するものと説明しております。
最悪のパターンではなく、私に言わせれば他のパターンって何なんだろう?と思う位ですがね。
それと、所得税を納めたら物価に反映されてしまうと言う事ですが、それは間違いですね。
まずは売上税=消費税を無くし、売り上げが上がっても給与分を控除できる様にすればいいのです。そして配当に対しては控除を一定以上は認めないと言うことにすれば良い。
それで大半の問題は解決します。
>雪猿様
その件については今度うちでも特集やりますね。
そろそろ私の方も結構頭の中でそう言うのがまとまって来ましたので。
まあ、何と言うか2年前まで経済に疎かったのが、ようやく今になって勉強の成果が現れて来たって感じですので。
もうそこらの事を論じても良い頃でしょう。
2007/11/11(日) 23:14 | URL | 三輪耀山 #X.Av9vec[ 編集]
>馬鹿陽区様
>法人税控除分を労働者に還元または地域性のある事業への投資に回せば法人税は安くなってもよい
現実にそうならないからこそ問題視しているのですよ。
あと、法人税は収益に対する課税、消費税は売上に対する課税ですから、経済に対する効果は自ずと異なります。
このあたりの資料を参照していただければと思いますが。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/003.htm
消費税増税翌年の平成10年以降に急激に税収低下・財政悪化が起こっているのがわかります。
デフレ下での消費税増税は、需要低下により大幅な景気悪化を引き起こし、結果的に税収の低下と財政の悪化につながります。
逆に、ここ数年は外需による景気回復により、税収は大幅に伸びています。消費税増税より、景気回復による所得税・法人税の増収の方が、財政改善にははるかに有効です。
消費税増税が、全体としての税収の増加につながっていないことからも、それは確かだと思いますが、いかがでしょうか。
2007/11/11(日) 23:25 | URL | 雪猿 #-[ 編集]
今回のエントリーに直接関係はないのですが、さっきNHKでヤクザマネーの話をやってました。ベンチャーなどの新興企業が暴力団から資金を調達している。共生者と呼ばれるヤクザに協力する一般市民(ファンド)が出現し、企業と暴力団の仲介役になる。幾つかのファンドを経由するともう金の出所がわからなくなる。企業はグレーマネーによって利益を上げ、それは暴力団に還元される。
規制緩和が、企業倫理のみならず、反社会的組織への協力を必要悪として容認するような国民の倫理観までも崩壊させている、ということのようです。「景気回復」の裏で、このようなことも起きているのですね。
2007/11/11(日) 23:55 | URL | 名無しマヘル神信者 #GsbZZxQM[ 編集]
>三輪様
その記事、楽しみですね。
余談ですが、以前三輪様も読まれたジョセフ・スティグリッツの「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」は私も読みました。あれは新自由主義の本質を暴いた良書だと思います。
>馬鹿陽区様
三輪様も言及されましたが、消費税と法人税の違いは、企業の行動にも影響を与えます。
詳細は長くなるので省きますが、消費税は企業に人件費を抑制させリストラに向かわせ、一方法人税は費用が増えれば課税純益が減少するため、費用抑制効果が低いと私は考えています。
大半の企業がリストラを進めれば、日本経済全体の需要は低下しますので、結果的にマクロ経済には悪影響が出るでしょう。特にデフレ下では。このあたりも、消費税の景気への悪影響の一つに挙げられると思います。
2007/11/12(月) 01:38 | URL | 雪猿 #-[ 編集]
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-447.html
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