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軍紀に殺される(とむ丸の夢)
久しぶりに読んだ『サンデー毎日』に連載されている保坂正康さんの
「昭和史の大河を往く」は、2.26事件の11回目でした。
なにげなくページを繰ると“湯浅連隊長”の語が見えます。
事件後、初年兵として私の父が所属していた麻布歩兵第三連隊にはこの湯浅政雄大佐が着任しています。(2.26事件については以前の記事にも書いております。「2.26事件との遭遇」)。
生前父は事件についてほとんど話ししなかったので、渡満先はチチハルだよ、と教えてくれたのは叔父でした。
「お前たちは事件に参加したのだから渡満後は、汚名挽回を目標に軍務に精励し、白骨となって帰還せよ」
という言葉を吐いたのがこの湯浅連隊長。
入営後2カ月もしないうちに、たまたま属していた中隊の指揮官が事件に参加して事件の当事者となった初年兵1,027名。
死んでお詫びをしろ、といわれて満州の最前線に送られています。
終始無理な戦闘をやるので激戦にならざるを得なかったと証言された満州の地にあって、戦闘後帰る兵舎の生活はずいぶんと殺伐としたものであったと、又聞きですが聞いたことがあります。
20歳で2.26に駆り出され、30歳になる直前に終戦。戦争一色に染まった父世代の20代って、いったいなんだろう、とよく考えます。
それがまして帰らぬ人となった親、あるいは子を持つ方々の想いはいかばかりか……
先週、再放送でしょうが、家人のつけたテレビの画面に『指揮官たちの特攻』を書かれた生前の城山三郎さんが大分県の中津に行かれた様子が出ていました。
最後の特攻11機は大分飛行場から飛び立ったのです。
私は城山さんの著書は読んでいませんが、松下竜一さんがその間の事情を
『私兵特攻 宇垣纏長官と最後の隊員たち』で語られています。
1945(昭和20)年8月15日正午の玉音放送、そして大分にあった第五航空艦隊司令部に対ソ及び対沖縄積極攻撃中止の命令のあと、終戦後に出撃して特攻隊として公式に認められなかった中都留大尉以下を、松下さんは「私兵特攻」と呼んだのです。
この命令を出したのが宇垣纏第5艦隊司令長官。
宇垣と一緒に沖縄へと飛び立ったのが、操縦員・偵察員各1名の計22名で、宇垣が乗り込んだ1番機を操縦したのが、『指揮官たちの特攻』にも描かれた中津留達雄大尉でした。
宇垣が私兵化して若者たちを道連れにした、と中都留達雄の父親は長い間恨み続けたそうです。
(三月事件等でよく知られた宇垣一成陸軍大将とは遠縁に当たるという話)。
死に場所を求めていた宇垣は5機の出動命令を出し、出動可能の11機すべてを飛ばせるべきだ、5機に限定するのはもってのほかだと部下は応じ、11機に22名が搭乗。
このうち3機が不時着で帰還し、長官機を含む8機、17名プラス1人の計18名が戦死。
戦争はもう終わったと分かっていて、なぜみすみす若者が命を捨てに行ったか、という疑問に対して、
(この時点では日本がどうなるか、平和が来るのかとも誰にも分からなかった)。
「飛行機の搭乗員はみな殺されるという噂が流れて、われわれはみなそれを信じて恐れていたんですよ。毎日毎日死ぬことだけを教えられて、それだけを目標にしてきた若い彼等にとって、ある日突然訪れた終戦はほとんど意味を理解できなかったと思いますよ。――私には、8月15日夕刻に長官とともに出撃した彼等の気持ちが痛いほど分かりますね」
と、特攻訓練を経験した人は語っています。
また先月31日毎日朝刊に、食料を求めて部隊を離れ、終戦直後に戻ってきた兵士たちが、米軍に投降すれば間違いなく生きて帰れたはずなのに、日本軍の元に戻ったばかりに殺された人たちのいたことが伝えられていました。
「どんな最期だったのか。」
「そりゃあ悲痛なものです。みんな顔面蒼白になっとった。最期に、天皇陛下万歳を言わされてね。ほかの隊でもたくさんあったんです。表に出ないだけでね。一般の兵隊は銃殺されなかったけど、たたかれてみんな二等兵になった」。
終戦から米軍投降まで1カ月ある中で、敗戦とはせず停戦と理解する軍隊で敵前逃亡の廉により、いっしょに戦ってきた兵士たちに殺されたのだといいます。
「軍紀に殺された」……そんな理不尽な死であの大戦の累々たる屍のひとつに加わった兵士たちがいたのですね。
同時に、国民を守るのではなかった、「軍隊の立場」を守った旧軍。
『沖縄ノート』をめぐる裁判、心配ですね。
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