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http://www.news.janjan.jp/living/0712/0712107017/1.php
2007/12/11
生活保護の「老齢加算」を廃止するのは憲法25条が定めた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に反するとして、東京都に住む高齢の生活保護受給者12人が、居住する地区の社会福祉事務所長を相手どって「廃止の取り消し」を求めた「生存権裁判」の第5回口頭弁論が10日、東京地方裁判所で開かれた。原告側は次回弁論で、貧困問題研究者の金沢誠一・仏教大学教授と原告3人の証人尋問を求め、認められた。
70歳以上の生活保護受給者について支給額を上乗せする「老齢加算制度」というのがあった。1960年から42年間も続いてきた。だが「小泉改革」路線に基づき厚生労働省は2003年、制度の廃止を決定した。04年から段階的に削減し、06年には全廃してしまったのだ。
そもそも高齢の生活保護受給者は月々1万7000円の上乗せ支給により、辛うじて生活を維持していたのだった。「生きていけなくなる」。京都・秋田・広島など全国7都市で約100人の生活保護受給老人が原告となって憲法が保障する「生存権」を根拠に提訴し、集団訴訟となっている。
この日、傍聴を希望して約150人が東京地裁に訪れた。ほとんどが高齢者だ。審理が行われる103号小法廷は約50席。100人余りが廊下やロビーで裁判の成り行きに固唾を飲んだ。筆者は裁判を支援する「東京都生活を守る会連合会」の好意で傍聴席に入ることができた。
長年裁判を取材してきた筆者だが、これほどまで傍聴席の雰囲気が鬼気迫る裁判は見たことがない。傍聴する高齢者たちも「明日は我が身」だからだ。都内に住む80代の男性は「年金から介護保険、後期高齢者医療保険を引かれると、もう生活していけない。私は『生活保護予備軍』です」と語る。
この日の弁論で原告側が求めた4人の証人は、政府が老齢加算を廃止した「根拠」「手続き」「代替措置がなかったこと」の『不合理性』を立証するためだ。金沢教授は学問的に裏付ける。原告3人の居住環境、健康状態、家族の有無がいずれも異なるのは、『不合理』の普遍性を証明するためだ。
原告弁護団は裁判所に金沢教授を証人として採用してもらうため、一つの戦術を取った。同教授の意見書を出してもらったのだ。それには統計やグラフがふんだんに使われており、貧困の実態が手に取るようにわかる。これが裁判官の心を動かしたようだ。
金沢教授と原告3人の証人申請はいずれも認められた。「金沢教授の証人申請が認められたことが、きょうの裁判のポイント」。生活保護をめぐる歴史的な裁判となった「朝日訴訟」(1975年提訴)の原告代理人を務め、今回も法廷に立つ新井章弁護士は、このように語って胸を張った。
ある原告は「老齢加算」を廃止され、生活保護の支給額が月額7万5000円となった。これから家賃、食費、光熱費などを捻出している。これでどうして憲法のいう「健康で文化的な最低限度の生活」を維持していけるのだろうか。
弁論の後、日本弁護士会館で報告会が開かれた。傍聴できなかった高齢者など150人余りが出席し、こちらも大変な熱気となった。次回弁論で証言台に立つ東京・青梅市の男性原告が挨拶した。「親戚の葬式で帰省するのに費用がなく、皆さんに資金援助してもらった。そのお金を返すのに、今は食費を削っている」
政府が老齢加算を廃止した根拠として、「生活保護費の方が低所得者の収入より高いから」というのがある。これは話が逆だ。生活保護受給者は、辛うじて生活を維持している。ワーキングプアと呼ばれる低所得者は働いても働いても、生活保護より低い収入しかないのだ。政府には、こんな社会構造にしてしまった「小泉改革」の後始末をする責任がある。
(田中龍作)
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