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以下は12月7日(金)付「しんぶん赤旗」1面から直接貼り付け。
≪腐敗の聖域 軍事利権を追うD≫<天下り>高額受注の「営業費」(しんぶん赤旗)
「山田洋行ほどありがたい会社はない」
航空自衛隊元幹部の男性は「こんなこと言えば怒られるだろうが…」と、言葉を選びながらいいます。
「OBの再就職に協力してくれるところは、いい会社だ。防衛省はいくらお歳暮(お礼)をはずんでも足りない」
■毎年100人
守屋武昌容疑者(前防衛事務次官)を接待漬けにしていた軍需商社「山田洋行」には、防衛省OBが十一人天下っていたことが分かっています(〇六年四月時点)。
「ありがたい会社」はほかにも多数あります。
防衛省・自衛隊から軍需関連企業へは毎年、百人前後の幹部OBが天下っているのです。防衛省の資料をもとに調べると、二〇〇〇年七月から〇六年十二月にかけて計六百九人が二百四十一社に同省から直接、再就職しました。
防衛省資料をもとに作成。契約額は06年度中央調達分、天下りは長官承認が必要な幹部(00年7月から06年12月)のみ集計
受け入れがもっとも多いのは三菱重工業の三十八人でした。日本電気二十七人、三菱電機二十四人、川崎重工業十八人とつづきます。契約額上位の軍需企業ほど天下り人数が多く、比例傾向にあることが分かります。(表)
受け入れに対応して企業の受注を決めていた事例に、〇六年一月に発覚した防衛施設庁談合事件があります。東京地裁の有罪判決(〇六年七月)では「天下り先を数多く確保するために、防備施設庁が談合を主導」としています。(東京高裁も支持、判決確定)
さらに、再就職の中身を具体的にみると癒着のひどさが浮かび上がってきます。離職時の任務と直接利害関係のある企業に天下っているケースが広範にあるのです。
次期輸送機CXなど、装備を研究開発している防衛省技術研究本部(技本)はその最たるものです。契約額上位三社でみても〇五年度、航空機担当の技術開発官がCX本体の生産を受注した川崎重工業に天下ったのをはじめ、同技術開発官(船舶担当)が三菱重工業に、技本第一研究所長が三菱電機に再就職しました。
すべて防衛省のあっせん・仲介によるものです。
組織的な天下りが行われる一方、競争が成り立たず、高値の調達がまかり通っています。
■落札率1
その象徴が「落札率1の案件」と呼ばれるものです。
「落札率1」とは、防衛省側が設定した予定価格に対して同額で落札すること。〇五年度、地方、施設庁分を除く中央調達(装備品等)で四百八十三件ありました。〇二年度では千六十件(中央調達の37%)にも。
防衛庁(当時)は、この問題を調査した報告書(〇四年七月)で、「共通的な課題等」の一つとして「形骸(けいがい)化した競争になっていないか」と自ら述べています。
平均落札率も装備品調達は航空機97.38%、船舶95.36%、車両95.03%(〇五年度)と、きわめて高いのが実態です。
そもそも入札を行う契約自体が少なく、随意契約が約九割(〇一―〇六年、中央調達分)を占めてきました。
施設庁談合と同様に国民の税金が浪費されているのではないか―。
「(三菱重工の)F2支援戦闘機はそりゃあ高いと思う。ベースになっているアメリカのF16戦闘機は一機約五十億円なのに、改造型とはいえ約百二十億円ですから」
前述の空自元幹部は、高額な装備品の実態を示して言います。「企業にとって再就職協力(天下り受け入れ)の人件費なんてものは、事実上の営業経費ですよ」
(つづく)
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