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http://amesei.exblog.jp/d2007-11-04
2007年 11月 04日
大連立:「山里会」の情報操作の敗北だろう
★ デヴィッド・ロックフェラー来日中★
アルルの男・ヒロシです。
政局についてまとめておかなければなりません。テーマは「大連立」(グランド・コアリッション)問題です。
報道では、2日の自民・民主の党首会談で、福田康夫首相が、「大連立構想」を小沢一郎民主党代表に持ちかけたところ、小沢代表はこれを幹部会に諮って、6人の幹部全員が反対したので、「みんなが言うなら分かった。断る」と福田首相に断りの電話を入れたという話である。
ところが、一部の新聞は自民党関係者の話として、「小沢代表がそもそも大連立構想に乗り気だった」と書き始めた。大連立構想に対する民主党サイドの意思表明が成された後にそのような報道がされており、これは自民党サイドのディスインフォメーションである可能性がある。小沢代表は、宇都宮市で記者会見し、自民党と民主党による大連立について「考えていない。何としても今度の衆院選で過半数を取ることが当面の最大の目標だ」と述べている。これは1日の読売電子版が伝えた内容だ。
ところが、自民党の方から、小沢が大連立に乗り気という情報が流されている。一部のブロガーもこの情報に基づいて、「小沢にはガッカリ」と書き始めている。
しかし、待って欲しい。小沢代表の、「大風呂敷」癖は、一種の政治的タクティクスではないのか。私は、「世界」の論文が出たときに、小沢氏の行動を論評し、「小沢氏のISAF派遣の主張には賛成できない」と書いた。ところが、その直後、案の定、党内のリベラル勢から反発が起きた。その結果、「民生支援を軸に行う」という路線で決まった。
自衛隊派遣の恒久法という大風呂敷も、同じように党内の反発を観れば、民主党が割れでもしない限りあり得ないということは小沢代表は理解している。その上で、風呂敷を広げていると観るべきだろう。風呂敷だけなら幾ら広げてもよいのである。その風呂敷の色に対する、論評を行うという党内民主主義が確立されている場合には。
したがって、今回の大連立構想も、小沢氏の本当の心は分からないが、政治の力学、党内民主主義の観点からみて、すぐに反発が起きるということは小沢氏には、「百も承知、二百も合点」だったはずである。だから、6人の幹部が反対したらすぐに、「電話で」断りを入れている。誠意を示すなら、電話ではなく、直に会うべきだが、電話なのである。民主党の幹部よりも小沢が一枚上手であるということだろう。
しかし、その後、自民党関係者から、「小沢が大連立に賛成だったんだよ」というリークが行われている。これで世論が混乱させられた。今観たように、小沢は大連立を封じてしまった。福田は抜く刀が早すぎた。
ところで、福田に「大連立カードを切れ、切れ〜」とそそのかしていたのは誰だろうか。これはハッキリしている。読売新聞社主の渡邊恒雄氏である。加えて、日経新聞などには、ナベツネの盟友である、大勲位・中曽根康弘元首相の名前もあった。最近は反米的な言動も増えてきた二人であるが、やはりここで地肌が見えた。この二人が2日にTBSの番組収録で、盛んに自民・民主の大連立を説いて回ったのである。
その時を同じくして、アメリカサイドが大連立に歓迎ムードと「時事通信」が伝えている。大連立は政治の安定に繋がるからだという。アメリカのロバート・ゲイツ国防長官は、3日午後(日本時間4日未明)にアジア歴訪に出発する。ゲイツ長官は、既に事前に、「数週間以内に給油活動を再開しろ」という要求を日本側に突きつけている。給油活動は日本のカネで油を補給する仕事である。タダが良いに決まっている。「思いやり予算」についても減額してはならないと圧力を掛けているようだ。これで福田や森派の尻に火がついた。
拙著『ジャパン・ハンドラーズ』で書いたように、ナベツネと中曽根はキッシンジャーに繋がる親米派であり、ネオコンには批判的だが、基本的にアメリカ追従型の提言を行う。55年体制の申し子のような人々である。
そのナベツネが、社主となる読売の社説を使って、大連立構想をたきつけており、読売の紙面がその方向で書かれており、客観報道というよりは、ニュースを作り出す姿勢が前面に出ている。読売は滅多に読まないが、今日はじっくり読んでしまった。「大連立を選択肢から排除することは責任政党の取る姿勢ではない」と書いており、大連立の試金石が、「給油の早期再開」とこれまたご丁寧に指摘してある。
このままの流れで行くと、給油法案は、参院で粛々と否決され、衆院での3分の2で再可決することで成立する。しかし、その他の重要法案についても民主党は同じ路線を取ったらどうなるか。読売社説は、「会期末を前にしながら、法案は一本も成立していない」と書いている。自民党は、その民主党の責任政党の資質を問題にして、総選挙に打って出る可能性が高い。政局は一気に流動化する。これが年末から4月までには必ず起きると思う。予算関連法案をどうするのか、という声が必ず上がってくる。
そういえば、福田首相は、1日夜に、ホテルオークラにある、日本料理屋「山里」で、五百旗頭真防衛大学校長、岡本行夫元首相補佐官と会食している。二人は、前者がリベラル系の、後者はやや保守系の親米派論客である。この二人からは、福田首相に対して、「給油を何とかしろ」というアメリカ側の意向が告げられたと推測できる。しかし、新聞は書いていないが、福田首相と会食したのは、この二人だけだったのだろうか。
山里という料理店は、米国大使館前のホテルオークラにあるのだが、この料亭で定期的に開催される会合が、「山里会」(やまさとかい)という。この山里会はナベツネとベテラン政治記者による会合だが、自民党の加藤紘一氏によると、「読売新聞社長の渡邉恒雄、政治評論家の中村慶一郎、早坂茂三らでつくる勉強会」だそうであるが、国民新党で出馬して落選した中村慶一郎氏、既にこの世にない早坂茂三以外に残っている主要メンバーが、ナベツネであるから、事実上、これはナベツネの最後の権力基盤であると見て良いだろう。山里会には、森前首相も時々参加していたようだ。安倍前首相時代に、評論家の宮崎哲弥と森、安倍が会食していたことが伝えられている。
今回の、大連立は、この山里会が仕掛けた大作戦だったようだが、これは失敗した。これで分かることは、自民党の大勲位とナベツネの政局に対する影響力が急速に低下していたが、今回の一件で完全に失墜したようだ、ということである。
森元首相は、読売によれば、大連立派であるらしいが、産経によると、自公連立の維持・大連立の否定派となっている。読売の情報操作か、森元首相の「変わり身の早さ」かは知らないが、仮に前者としたら、森元首相は既にダメージコントロールに入っている。
大連立構想が失敗した以上、福田首相に残された途は、早期解散であろう。法案が一本も通らない事態は、福田氏のもう一つの支持基盤である「官僚」に対して顔が立たない。財務官僚は、増税路線に走りたいのに、民主党が政局をかき回しているのでそれも出来ない。官庁広報紙である「日経新聞」には、「霞ヶ関、流動政局を注視」(3日朝)という記事があった。
であれば、民主党の準備が整わないうちに解散するんじゃないか、と私は思う。来年の通常国会冒頭解散の線があるんじゃないか。そうすれば、予算編成もギリギリで間に合うだろう。どっちの政党が政権を取るかは分からないが・・・。
ただ、民主党政権の可能性が高いと官僚が観ているかどうかは、守屋事件が綺麗に立件されるかどうかで分かるだろう。当初、私はこの問題を、GEの新しい代理店のミライズと、旧代理店の山田洋行の権力争いと観ていたが、検察は、「元山田洋行の宮崎専務」として立件する可能性が出てきた。GEもミライズとの代理店契約を白紙に戻したようだから、GEとしては直接納入が出来れば御の字と考えているだろう。
だが、山田とミライズは、久間、守屋がそれぞれ代理人になっており、山田と関わりを持った政治家は、与野党の国防族なら殆どだろうが、許認可を握っているのは与党自民だから、久間、額賀、石破、山崎・・・・とリストアップされてくる。一番、やばいのは久間かもしれない。いずれにせよ、自民党政権内で発生した不祥事の責任を一人か、二人の政治家に負わせて、守屋とセットでスケープゴートにしていこうと検察は考えているのだろう。この「大掃除」は、政権が民主党に移るのであれば、政治家ルートまで実行されるだろう。政治家は選挙があるが、官僚は選挙がない。守屋疑惑で戦々恐々としている官僚を一線から外し、きれいな状況で「政権交代」を行うことで民主党に貸しでもつくるという腹かもしれない。
そして、真意がよく分からないが、非常のおもしろいのが、「友人の友人がアルカイダ」の鳩山邦夫発言である。この友人は、鳩山氏の国会答弁によると、バリ島に住む、チョウの専門家で、観光地としても有名なバタフライパークにもかかわっている日本人という。この日本人と共同でビジネスを経営しているのが、「アルカイダ」の人らしい。「スモールワールド」を研究している私にとって、この発言は非常に興味深い。要するに、鳩山由紀夫は3人の友人を介して、アルカイダと繋がっており、ひょっとしたら、あと二人のクッションがあれば、ビンラディンにまで繋がるかもしれないのである。
いずれにせよ、この発言は失言と言うよりは、確信犯じゃないかと思う。テロとの戦いに、警察力が軍事力よりも重要という含みではないか。そして、31日の法務委員会では、鳩山氏は自ら「ペンタゴンから接待を受けていたこと」を自慢気に話しているのである。曰く、「てんぷらや鰻をペンタゴンからご馳走になった」というのである。(来週中には議事録が出るんじゃないかと思う)
「田中角栄先生の私設秘書になったとき、その時に私のような何も知らないペーペーにもですね、毎月ペンタゴンがやってきて、その、食事をご馳走してくれて、大変美味しい食事を毎月ご馳走になっとった。私なんか何もわからなくても、一生懸命色んな事を聞いとりまして、やっぱりアメリカは凄いなと。ペンタゴンなんか、そういう情報収集もの凄いな、という思いでございます」
「あの、何でもいいというので、当時私はお金がありませんから『鰻がいい』『てんぷらがいい』と、いつも言っておりました。私は一円も払ったことがありません」
(鳩山氏の発言)
この発言、「思い出」を語っているらしいのだが、私には「秘密の暴露」にしか聞こえない。仮に接待を受けていても、とっくに時効である。だから、「思い出」なのである。ハッキリしたのは、ジャパン・ハンドラーズは、「シンクタンクへの留学というエサ」だけではなく「天ぷらやウナギ」も使うと言うことである。
邦夫発言に対して、由起夫議員は批判しているが、親父がフリーメーソンである一家のことだ、以心伝心というのはあると思う。アメリカとの関係を洗いざらいハッキリさせておくという意味で、「守屋問題」と「鳩山発言」は同じ性格を持つ。
政局、おもしろくなってきた。小沢氏が政治家としておもしろいのは、政権交代までだろう。そのあとは別の人間に託すんじゃないかと思う。彼自身が首相になることはさほど重要ではないだろう。
★ 3日付日経新聞9面にデヴィッド・ロックフェラーのインタビューが掲載されています。写真を見ると眼の当たりがかなり窪んできたので、1年以内に死ぬんじゃないかと思います。
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