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自衛隊がインド洋で他国の艦艇に洋上補給する根拠のテロ対策特別措置法は一日、期限切れとなった。この法律によって「日本の独自判断による自衛隊海外派遣」に道が開かれ、「日本周辺」と「対米支援」の二項目に限定されていた自衛隊の戦争支援は、「世界各地」「各国支援」にまで拡大された。テロ特措法とは何だったのか、あらためて検証する。 (編集委員・半田滋)
「テロ特措法」何を変えた?
政府は、テロ特措法の目的を「テロとの戦い」とあいまいな言葉で説明してきた。
2001年10月7日、米国は米中枢同時テロ(9・11)の犯人をアフガニスタンのタリバン政権の支持を受けた国際テロ組織「アルカイダ」とみなし、自衛権を行使してアフガン空爆を開始。英国などは集団的自衛権を行使して参戦した。
■成立の経緯
当時の小泉純一郎首相の指示を受けて内閣官房で検討したのは、周辺事態法を適用しての自衛隊派遣だった。だが、アフガンを「日本周辺」と呼ぶには無理があり、テロ特措法がつくられることになった。
周辺事態法とテロ特措法の最大の共通点は「自衛隊が戦争を支援する」ことにある。武力行使を禁じた憲法九条の制約から、非戦闘地域での後方支援にとどめる点も共通している。
相違点は、周辺事態法が「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」と定義して、日本周辺で戦争する米軍への支援に限定するのに対し、テロ特措法は自衛隊の派遣先も支援対象国も限定していない点にある。
先月10日の衆院予算委で、福田康夫首相は「9・11という非常に衝撃的な事件が起こって、米国の自衛というようなことが行われた。それに協力する立場だった」と述べ、テロ特措法の目的が米軍の後方支援であったを明確に示した。
高村正彦外相は「(海上自衛隊の補給は)アフガン空爆を行う米艦艇にも行っていた」と提供した燃料が戦争に使われたことを正式に認めた。誤爆で民間人の死者を出し続ける米軍の攻撃に、自衛隊が燃料が使われた可能性もあるというのだ。
■4日で終了?
01年12月5日、国際会議でカルザイ暫定政権の樹立で合意。一方、海自が最初に米艦艇に洋上補給したのは同年12月2日だ。米国による自衛のための戦争は、新政権が事実上、発足した時点で終わるから、活動開始からわずか4日目でテロ特措法は本来の役割を終えた。
また翌年6月ロヤ・ジルガ(国民大会議)で正式にカルザイ大統領が選出されるまでの半年間だけ、有効な法律だったとみることもできる。
だが、洋上補給の対象国は02年1月、英軍への補給を皮切りに次々に広がり、最終的に11カ国にまで拡大された。この過程で自衛隊の支援活動は「米国による自衛戦争のため」から「各国艦艇による海上阻止活動のため」に軸足を移す。
インド洋で有志連合部隊を率いる米海軍は、現在の活動を「海洋の安全と安定のための活動(海上安全活動)」と称しているから、洋上補給の目的は三段階で変化したことになる。
■感謝は当然
活動が本来の目的とかけ離れているにもかかわらず、政府は「国際社会から感謝されている」と見直しをせず、テロ特措法は三回延長された。英米から補給を受ければ「有償」だが、日本は「無償」なのだから感謝されるのは当たり前だろう。
同法の骨格はイラク特措法に受け継がれ、多国籍軍支援は安全確保支援活動と呼ばれている。昨年、合意した米軍再編では、インド洋やイラクでの活動が「国際安全保障環境の改善」に取り組んだ前例として紹介された。
追認するように昨年12月、自衛隊法が改定され、海外活動が本来任務化された。
テロ特措法には「日本防衛」という周辺事態法のような前置きはない。6年間継続したことから自衛隊が世界中のどこへでも出向き、どの国の軍隊とも連携できる前例になった。「行き着くところまで来た感がある」。防衛省の幹部でさえ、困惑を隠さない。
<<自衛隊海外活動拡大の「根拠」に>>
<<「派遣先」「支援国」限定せず>>
「東京新聞」11/2朝刊より
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