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http://www5.sdp.or.jp/central/shinpou/yamada/yamada02.html
山田洋行事件は単なる前防衛事務次官の倫理規程違反問題ではない。
背後には日米安保利権と、防衛装備品調達を陰で操る政官業の癒着構造、そしてメガバンクによる不良債権処理のダミー役としてうごめいた金融事件が厳然として存在している。
19日から一斉に東京地検のリーク情報に基づくともいわれる記事が大手各紙を埋めた。
やり玉に挙がったのは、守屋武昌前防衛事務次官と防衛専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸氏(現・日本ミライズ社長)の2人である。
両者の蜜月関係は古く、かねてより指摘されていた。前次官に限らず政官の幹部への接待攻勢は防衛省関係者の間で広く知られたこと。山田グループはレイク相模カントリークラブなど多数のゴルフ場を所有し、多くの同省背広組や航空自衛隊幹部を頻繁に格安の身内料金でプレーに興じさせていた、との話が関係者から漏れ伝わってくる。グループ企業の「山田地建」が銀座の高級ナイトクラブがひしめく「ソワレドギンザビル」などの物件を所有し、夜の接待場所には事欠かないとみるジャーナリストもいる。
事件の本質は、第1に、旧住友銀行による不良債権処理を社外の山田洋行など親密企業に追加融資させて処理し、その負債を「整理回収機構」(RCC)に持ち込み政治的な力を使い巨額債権を放棄に至らせた可能性もある、巧妙な金融事件としての側面である。
第2は、高級官僚の匙(さじ)加減ひとつで決まる随意契約という装備品調達の在り方の側面である。
旧住友銀行(現・三井住友銀行)と山田グループの関係史は長く、深い。「バブルの張本人」ともいわれた磯田一郎元会長(故人)に始まり、現・日本郵政社長の西川善文三井住友銀行前頭取の時代に癒着は最も深化した。
山田洋行のオーナー・山田正志氏とは、西川氏が同行の融資三部長に就任した時期と前後して関係が始まり、1985年から丸の内支店長を務めて以降、蜜月の関係となっていく。
『住友銀行事件の深層』(90年)などの著者で経済ジャーナリストの伊藤博敏さんは次のとおり指摘する。
「正志氏は、西川氏によって旧住友銀行融資三部の不良債権処理のダミー役に使われたと言っても過言ではありません。融資三部の案件は西川案件ともいわれ、住銀OBらによれば不良債権処理を山田グループなど社外の親密企業に追加融資させて処理することもあったとも言われています」
イトマン事件で最大の不良債権ともいわれた南青山のTK青山ビルは600億円の資金を投じながら不良債権として残った。03年にその不良債権を受け皿会社が引き継いで、地上げを始めた。その地上げに一役買ったのが、山田グループの「山田キャピタル」。山田キャピタルには三井住友銀行系人脈が常駐し、不良債権を04年当時まで管理していたといわれる。
こうしたダミー役の結果が、前号でも触れたように113億円もの負債を抱え、山田グループで堅実に収益を上げてきた山田洋行から600%という異常な株主配当31億円がさらわれたのである。「資産隠し」の疑念をささやかれながらRCCが46億円もの債権を放棄した。関係者からは、西川氏が今回の内紛の和解を目指し仲介の労を執った、との話が伝わってくる。
CXの開発は、00年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画で開発が決まった。耐用年数を迎える現在の輸送機C1(26機)に代わって、防衛庁(当時)が02年から開発を進め、国産輸送機として川崎重工業が主契約を結んでおり、エンジンはGE(米ゼネラル・エレクトリック)社製が採用されている。
03年に3社の製品の中からGE製品が選定された。防衛省にGE社製を選定した理由をただしてみると、同省広報課担当官は「3社とも性能面では条件を満たしていたが、コスト面でGE社製を選んだ」と答えた。しかし、結局のところ選定は官僚の匙加減で決する随意契約なのだ。
CXの量産計画は40機程度ともいわれている。CXは双発式で1機当たり2基のエンジンを備える。1基の予定価格は約6億円ともいわれるから、エンジンの総額で480億円程度になり、付属品も含めればおおよそ1000億円近くに上るともいわれる。
防衛省は契約する企業について、年間平均販売高や営業年数などに基づきAからDまでの4つのランク付けをしている。「統一資格審査申請受付サイト」によれば、山田洋行は「A」、日本ミライズは「D」のランクにそれぞれ該当する。予定価格の金額が3000万円以上の入札にはAランクの業者しか入札に参加できない。
予備エンジン1基の第1回目の競争入札は今年7月30日に公告、8月10日に入札、2回目は8月10日に公告、17日に入札、がそれぞれ実施された。エンジン製造元・GEの代理店であることが応札条件だったため、その条件と格付けを満たす企業は1社もなく、入札は不調に終わった。
入札が不調に終わると、随意契約に移行し、代理店契約を結んでいる日本ミライズが落札する予定であったが、事件化の動きもあって結局、落札は先送りとなった。
2回に及ぶ競争入札で資格適格業者がないのに、随意契約に移り、元の不適格業者が“敗者復活”するという、実に不可解な方式なのである。
守屋前事務次官と同期の入庁者でもある元防衛庁防衛審議官の太田述正さんは本紙に次のとおりコメントを寄せた。
「守屋前次官に対するゴルフ・飲食接待に関する報道を通じて、山田洋行からの日本ミライズ分離に伴う両社間の内紛騒動を、国民は知るところとなった。国民の関心は、山田洋行への防衛省OBの天下りや、山田洋行と政治家とのかかわりといったより大きな問題にも向けられつつある。この際、自民党系政治家、官僚機構、および官とかかわりの深い業者、の3者の間で形成されている政官業癒着体制という巨悪そのものに国民の目を向けさせることができるかどうか、メディアと野党の力量が問われている」。
今まさに社民党など野党の追及する力が試されている。(つづく)
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