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守屋元次官接待と大正シーメンス事件の類似性
11月1日11時39分配信 オーマイニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071101-00000002-omn-pol
疑惑の渦中にある守屋武昌・防衛庁元事務次官が、2007年10月29日の衆議院テロ防止特別委員会に、証人として呼ばれた。
報道各局はこれに補足として、検察が、守屋氏と業者の癒着体質だけではなく、業者から政治家への金の流れもあったのかも調べている可能性が高いと報道している。
証人喚問では、防衛商社・山田洋行の守屋武昌元事務次官への接待攻勢や便宜供与疑惑、自衛隊の次期輸送機CXのエンジン納入に関しての、日本ミライズとの契約過程についての疑問などが質問されたが、1番気になったのは、民主党の川内博史議員の指摘である。
防衛商社(代理店)の山田洋行が、メーカー見積書を改ざんして防衛省に水増し請求を行った事実(民主党の指摘によると約4000万円近い上乗せが24件分)が、防衛庁の旧原価計算部の鈴木信丈さんという輸入調達専門官の指摘で明らかになった。ただなぜか、その直後、担当者が鈴木さんから石坂哲哉さんに代わる事態が起きた。
そして、担当者が交代したにもかかわらず、その後も、水増し業者の山田洋行は、おとがめ(処分)も受けずに、契約関係を維持した。この川内氏の指摘が、今の防衛省の問題点を1番的確にえぐった指摘のように思えた。
今回、野党議員から時々厳しい質問があったが、守屋氏は補佐人との相談などで、極力失言をさけるように、言葉を選びながら返答していた。
今回の守屋事件の報道で残念に思うのは、マスコミが過去の防衛省関連の汚職とは比較はするが、過去の大きな旧日本軍関係の汚職とは比較しない事である。
守屋事件が大きな発展性があると言うならば、大正時代に旧日本海軍の高級軍人が関係したシーメンス事件ぐらいの有名な事件と比較しないと釣り合いが取れないのではないだろうか。
教科書にも登場する大正時代のシーメンス事件。これは国防の美名の下に庶民増税が行なわれようとしているのに、その一方で兵器や装備の購入に関与する高級軍人が、業者から賄賂をもらって甘い汁を吸っていた事実が発覚し、庶民が激怒した事件である。
収賄の罪で、旧日本海軍の藤井光五郎少将、松本和中将、沢崎寛猛大佐に対して、処分が下されている。そして、政界にも飛び火し、立憲同志会の島田三郎の国会での鋭い追求もあり、山本権兵衛内閣は総辞職に追い込まれている。
平成の現代も国防は大事である。守屋氏は長期間のゴルフ接待などの事実は認めたが、業者に便宜を図ったことは否定している。「魚心あれば水心」、業者が、役人にただ酒や低料金での接待ゴルフなどを、下心が無ければ長年やるわけがない。
守屋氏への接待が、事務次官になる前から長年続いていた事も、疑惑を強いものにしている。
今回の守屋氏の事件に関して、国防を担っていた元事務次官と、業者との腐れ縁に関して、国民はもっと大きな疑問をもたないといけないと思う。
■緩すぎる自衛隊倫理規定
北海道新聞の10月28日の記事では、軍事評論家の前田哲男さんのコメントが掲載されていた。
「装備入札は幹部職員がかかわるが、現場の自衛官が携わる維持管理は年間約1000億円が動く」
「米軍は倫理規定に刑事罰があるが、日本は行政罰のみ。規程を守らせる力が弱い」
防衛省・自衛隊の公式ホームページで処分基準を見てみた。自衛隊員倫理規定では、利害関係者からゴルフ接待を受ける事だけでは、減給又は戒告である。利害関係者から海外旅行の接待を受けることが、停職、減給又は戒告なのだから、ゴルフ接待の内部処分の中に、長期間のゴルフ接待の場合は、最低限、停職と改正して入れるべきではないだろうかと私は思う。
(参考)自衛隊員倫理法又は同法に基づく命令に違反した場合の懲戒処分の基準に関する訓令案(一部省略)
イ) 各種報告書等(贈与等報告書、株取引等報告書及び所得等報告書等)を提出しないこと:戒告
ロ) 虚偽の事項を記載した各種報告書等を提出すること:減給又は戒告
ハ) 利害関係者から金銭又は物品の贈与を受けること:免職、降任、停職、減給又は戒告
ヌ) 利害関係者から供応接待(飲食物の提供に限る。)を受けること:減給又は戒告
ル) 利害関係者から遊技又はゴルフの接待を受けること:減給又は戒告
ヲ) 利害関係者から海外旅行の接待を受けること:停職、減給又は戒告
ワ) 利害関係者から国内旅行の接待を受けること:減給又は戒告
ヨ) 利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること:戒告
タ) 利害関係者と共に旅行をすること:戒告
レ) 利害関係者に該当しない事業者等から供応接待を繰り返し受ける等通常一般の社交の程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けること:減給又は戒告
ナ) 自らが管理又は監督する隊員が行った倫理法等違反行為を黙認し、又は隠ぺいすること:停職又は減給
■国防の美名の元に、私たちに見えにくい世界
防衛省の事務方の元トップが、業者の接待攻勢に毒されていた事実から考えた場合、さまざまな理由はあったにせよ、事務次官として4年間も君臨した異例事態はマイナス要素が強すぎた。
国民の立場から見れば好ましくないので、平時の防衛省事務次官の就任期間を、どんな理由があろうとも、最長で2年か2年半に、法律か規則で制限したほうが良いと私は思う。
いかなる理由があろうとも、国防の美名の影に隠れて、業者から甘い接待を受ける事は許される事ではない。
国防に携わる人たちが、甘い汁を吸っている時、その甘い汁は、人間で言えば歯周病、歯槽膿漏を進行させて、それは、国の土台を揺るがす。
過去の歴史を見ても、上層部が甘い汁を吸っている状況で、軍や隊の規律が、長期間に渡って正しく保たれた例を聞いたことが無い。今の防衛省から、膿はだせるのか。守屋氏は、政界の大物の誰かをかばっているのか? 野党が求めるように、守屋氏の再度の証人喚問は、絶対に行われるべきだろう。
国防とは、正しい心、倫理観が備わった指揮官でなければ、責任をもった完遂はできない。守屋氏に出世して行く能力があっても、彼の行動は、国防へのマイナス要素が付随していた。2度と守屋氏が陥った業者癒着の歴史を、繰り返してはならない。
(記者:谷口 滝也)
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最終更新:11月1日11時39分
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