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農村囲い込み 価格急落…与党、余剰米34万トン追加買い入れ合意
10月27日8時2分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000075-san-pol
■衆院選に照準
コメ余りによる米価急落を受けて、政府・与党は26日、緊急対策として余剰米34万トンの追加買い入れを行うことで合意した。これにより、政府備蓄米は100万トンを超え、国の財政支出は昨年比200億円増の800億円となる。先の参院選で農村部の自民党離れが顕著となったことを受け、自民党では、次期衆院選をにらんでさらなる財政出動を求める声が強まっており、年末の予算編成に向け攻防が予想される。
一方、民主党は、コメ60キロあたり1万5000円の収入を政府が補償する農家戸別所得補償法案をすでに参院に提出。これまで自民党は「バラマキ政策」と批判してきたが、民主党はジワジワと農村部で支持を増やしており、政府は大規模・効率化支援を柱とした農業政策の見直しを迫られる可能性もある。
26日朝、自民党本部の玄関ロビーには、全国の農業協同組合(JA)関係者約100人が詰めかけ異様な雰囲気に包まれた。政府・与党の緊急対策を最終決定する自民党農業基本政策小委員会が開かれたからだった。
農協幹部らは会場に向かう農林族議員に「頑張れ!」などと盛んな声援を浴びせた。北関東のJA幹部は「効率化、大規模化だけを唱える自民党の農政に嫌気がさし、組合員は毎年減っている。直接農家の収入が増える施策が必要なんです」と訴えた。
米価の市場平均価格は平成15年の2万1078円をピークに年々下落を続け、今年はコメ作況指数「99」で例年並みだったにもかかわらず、米価の市場平均価格は60キロあたり新米でも1万4500円を割り込んだ。平均的な農家のコメ生産コストは1万5000円といわれ、すでに多くの農家が原価割れとなっている。
ここまで米価が下落したのは、減反政策に従わない農家が増えていることに加え、コメ離れが急速に進み、コメ消費量が年2%ほどの減少傾向を続けているからだ。台湾産コシヒカリなど高級輸入米は微増しており、今後も自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)などが進めば、米価はさらに下落するとみられている。
危機感を募らせた政府は4月から、農業の大規模経営化と他品目栽培を奨励する「品目横断的経営安定対策」をスタートさせたが、農業の担い手は高齢者が多く、大規模化が米価下落に追いつかない状況だ。
このような情勢を受けて、自民党の大票田だった農村部は自民党離れを加速。民主党が参院選で「農家戸別所得補償制度」を公約に掲げたことも大打撃となった。
このため、参院選後、自民党の農林族は再三にわたり、政府に緊急対策を要請してきたが、財務省が抵抗。業を煮やした農林族の谷津義男元農水相は25日、首相官邸に乗り込み、福田康夫首相と直談判し、首相の「鶴の一声」で米34万トンの追加買い入れが決まった。
これまで自民党は民主党の戸別補償制度を「バラマキ政策」と批判してきたが、政府のコメ買い入れによる米価引き上げは「間接的バラマキ」といえ、都市部には理解されにくい。
また、自民党は長く農協を農村部の集票マシンとしてきたが、農家の「農協不信」は加速しており、「農協に頼っている限り、農家の自民党離れは止まらない」(自民中堅)との声もある。
最終更新:10月27日8時2分
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