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http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/news/20071027ddm003070014000c.html
最近はどこに行っても、
「福田さん(康夫・首相)はどうなんですか」
と聞かれる。新首相の品定めが気になるのだ。
「すべり出しはまあまあでしょうね」
と答えることにしているが、それでは満足してもらえない。ある企業の広報マンなどは、
「首相に就任した日の天候で寿命が決まるという話を聞いた。小泉さん(純一郎・元首相)のときは快晴だったが、安倍さん(晋三・前首相)は雨が降っていた。福田さんは曇りだそうだが」
ととっぴな説まで持ち出してくる。自民党の機関紙「自由民主」最新号のコラムでは、小泉チルドレンの一人、牧原秀樹衆院議員(党新聞局次長)が、
<今、私たちは荒れ狂う天候の中で、福田艦長を中心に日本丸をしっかりと航海させ……>
と書き、ここでも天候だ。
政局をおおう雲は厚く、天候は極めて不順、いつどしゃ降りになるかわからない。臨時国会最大の焦点である新テロ対策特別措置法案を成立させるメドがまったくたたない状況だ。
成立どころか、与党内ではこのところ撤収論が目立ってきた。自民党のある中堅議員は、
「国会は一日も早く閉じたほうがいい。テロ新法は衆院で採決せずに継続審議、来年の通常国会で仕切り直しだ。テロ特別委で採決しようとすれば強行にならざるをえない。相手はすぐ問責でくる。大変だ。問責の怖さを知らない人が多い」
と言うのだ。内閣に対する不信任決議権は衆院だけに認められた権能で、これまで4回不信任決議案が可決し(吉田内閣で2回、大平、宮沢両内閣で各1回)、いずれも衆院が解散になった。
衆院に不信任案が出されたときは、参院では首相問責決議案が提出されることが多い。問責は可決しても憲法69条(不信任案可決の場合、解散しなければ総辞職、という規定)の効果は伴わないが、政治的なインパクトは小さくない。
今回、野党は衆院に不信任案を提出すれば否決され、結果的に信任した形になるので、それを避け、参院にいきなり問責決議案をぶつけると想定される。
野党の賛成多数で可決されると国会は機能マヒに陥り、衆院解散に追い込まれる恐れが強いと与党は警戒している。問責の機会を与えないためには、延長なしで国会を閉じるしかない、というのが撤収論だ。
「やはり守屋問題(武昌・前防衛事務次官の疑惑)がでかい。世論も離れていく。いま解散になったら、とても勝ち目はない」
と別の自民党議員は言う。
福田首相はかつて、
「ぱらぱらとしかいない政治家は、数の圧倒的に多い役人に気持ちよく有効に機能してもらえるか、を考えていかなければならない。役人に真面目(まじめ)にやってもらうには、政治家が真面目にやるしかないです」
と語っていた。ところが、その役人トップの信じがたいような不始末である。
福田にとっては、最初の難所だ。ここのさばき方はむずかしい。
「もうテロ新法にこだわることはない。来年夏、洞爺湖サミットが終わったあたりで、改めて考えればいいのではないか」
と極論を言う自民党議員もいる。テロ問題が選挙の票を減らす、という不安が広がっている印象だ。厭戦(えんせん)ムードである。
しかし、そこまでいくと、自民党の敗北主義が逆に批判にさらされ、人気を落とすことになりかねない。
進むも退くも、である。国会の会期末まであと半月、来週あたりが福田首相による難所突破の政治決断のリミットだ。(敬称略)=毎週土曜日に掲載
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岩見隆夫のホームページはhttp://mainichi.jp/select/seiji/iwami/
毎日新聞 2007年10月27日 東京朝刊
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