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厚生労働省は、保管していた書類に、血液製剤の投与でC型肝炎に感染した418人分のうち実名とイニシャルのリストがあったと公表した。これまではすべて匿名とされてきた。
肝炎ウイルスは潜伏期間が長い。自覚症状のない場合が多いため、症状を悪化させる可能性がある。20〜30年後に肝硬変や肝がんへ移行するケースもあり、発見が早いほど治療効果も出る。厚労省が感染者特定につながる資料を持っていながら、本人への告知を怠った責任は重大だ。
まるで薬害エイズのビデオを見ているような隠ぺいの再現だ。またも繰り返された厚労省の失態。舛添要一厚労相は特別調査チームを発足させ、資料放置の経緯や責任の有無を検証するというが、決してうやむやにしてはならない。国民の命と健康を守ることが任務である役所が、人命軽視に手を貸すような愚かな過ちを繰り返している。組織の体質にまで踏み込んでうみを摘出すべきだ。
リストは医療機関からの副作用報告などを基に、製薬会社の三菱ウェルファーマ(現・田辺三菱製薬)が作成し、厚労省に提出していた。このうち個人情報が黒塗りされていない資料があり、2人の実名と116人のイニシャル、24人分の医療機関名が特定できたという。
こんな大切な資料が、なぜ長い間放置されてきたのか。厚労省によると、リスト問題が国会で追及された後の今月19日になって、職員の一人が省内の倉庫に保管されているのを思い出したという。
こんな取ってつけたような説明はにわかに信じがたい。もし本当だというのなら、厚労相は全職員を動員して倉庫の全資料を調べ上げ、どういうものが保存されているかのリストを直ちに作るよう命じるべきだ。人の命に対してあまりにも鈍感で、おざなりな管理は許しがたい。
感染者が特定できるリストの存在が伏せられたまま、薬害C型肝炎訴訟は全国で起こされている。出産などで止血用に投与された「フィブリノゲン」などの非加熱血液製剤でC型肝炎ウイルスに感染したとして、原告約170人が国と製薬会社を相手取り、東京、大阪、福岡、仙台、名古屋の5地裁で損害賠償を求めている。
仙台を除く4地裁は国の責任について「安全確保に対する認識や配慮を欠いた」と一部または全部認めている。厚労相は原告患者側との和解協議受け入れを表明している。一日も早い患者救済が求められるのは言うまでもない。
厚労省は製薬会社に対し、感染が特定できた人に告知するよう指示するという。対応が後手に回った責任は生命の尊厳に対する自覚が乏しかった厚労省にもある。製薬会社任せにするのではなく、自らも感染者のもとに出向いて責任を認め、謝罪すべきだ。
匿名リストの実名調査にも全力を傾注してほしい。医療機関、製薬会社の資料を追跡、照合すれば特定は不可能ではない。あらゆる手立てを講ずるべきだ。
毎日新聞 2007年10月23日 0時19分
社説:薬害肝炎放置 厚労省はまだ懲りないのか - 毎日jp(毎日新聞)
http://www.mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071023k0000m070142000c.html
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