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【アエラ、 「洋上給油は国益」なのか】(支持率24%しかないブッシュの侵略戦争の手伝いが国益とは思えません)
http://www.asyura2.com/07/senkyo43/msg/495.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2007 年 10 月 23 日 16:55:01: 4sIKljvd9SgGs
 

「洋上給油は国益」なのか
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20071022-01-0101.html
2007年10月22日 AERA
もっともらしい話は、眉につばをつけて聞いた方がいい。
洋上給油をめぐって政府・与党が繰り返す説明も例外ではない。
 参議院で与野党逆転となったいま、アラビア海での「海上阻止作戦」で他国の軍艦に燃料を提供するための「給油新法」の成否には、世論が大きくかかわる。政府・与党は国民の「理解」を得るのに懸命で、「米国のためではない。日本の国益のために給油継続が必要」と力説する。だがその論拠には、素人だましでは、と首をかしげたくなるものも少なくない。
「日本の石油輸入ルートをテロ攻撃から守っているのに何もしないで良いのか」
 との主張はもっともらしいが、実は目的も場所も違う。海上阻止はテロリストがアフガニスタンから逃れ、パキスタンやイラン経由でアフリカのソマリアなどに向かうのを防ぐのが目的だから、哨戒海域はペルシャ湾口のホルムズ海峡を出た地点の「オマーン湾」とソマリア沖の「アデン湾」だ。
 オマーン湾は細長い湾だが、幅は約200キロあり、福岡―釜山間に匹敵する。その中央部を航行するタンカーをテロリストが自爆攻撃用のモーターボートで走り、体当たりするのは極めて困難だ。逆に危険なのは、幅約40キロで水深が浅いため大型タンカーの航行可能水路が幅10キロ程度しかないホルムズ海峡とペルシャ湾南部の小島の多い海域だ。ここだと高速艇が島陰から飛び出して体当たりする可能性はある。もっと危険なのは石油積み出し港沖だ。順番待ちで停泊し、「シーバース」(ブイにタンカーをつなぎ、陸上のタンクから海底パイプで送られる原油を船に流し込む装置)で油を積み込み中だと、タンカーは動けず脆弱な目標になる。海上阻止作戦はペルシャ湾内でタンカーを守るには役立たないのだ。
「アフガニスタンでは世界のアヘンの93%が生産される。麻薬取引の防止に協力すべきだ」
 との主張もある。だがイスラム教では麻薬は酒以上に厳しく禁じられ、イスラム原理主義の神学生が主体だったタリバーン政権は農民にケシ栽培をやめさせようと努めた。米軍が2001年10月にアフガニスタンを攻撃する直前には、ほぼそれに成功していた。


軍艦よりタリバーン

 03年11月、米大統領府の国家麻薬管理政策局は、
「アフガニスタンのケシ栽培面積は01年にはタリバーン支配地域外の1703ヘクタールだったが、03年には6万1511ヘクタールに拡大した」
 と報告した。現在はさらに増えて19・3万ヘクタールだから、米軍の攻撃後113倍になった。タリバーン政権が倒れ、山中に追い込まれていた軍閥が復活したこと、混乱の長期化で農民がケシ栽培に活路を求めざるをえないことが麻薬生産を爆発的に増やした。01年の185トンがいまでは年間推定8200トンだ。大量のアヘンが生産されるのは、世界に販路があってこそで、海上阻止が麻薬対策に役立っていないことを示す。麻薬対策には軍艦よりタリバーンの方が効き目があったのだ。
「給油をやめると日本は孤立」
 との説は広く信じられている。だが当初海上阻止に参加していた12カ国(日本を含む)のうち、すでにイタリア、スペイン、オランダ、ギリシャの軍艦は引き揚げた。カナダ、ニュージーランドは一時中断している。米国がこれを非難したことはない。騒げば「米国は孤立しつつある」との米国の民主党の主張を裏付けるだけだし、そもそもどの国が海上阻止作戦に加わっているのかを知る人は少ない。日本でも当初の参加12カ国を言える人はまれだろう。


自民は小沢論を総攻撃

 一方、自民党は民主党の小沢一郎代表の「洋上給油は中止すべきだが、アフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)に加わってもよい」との持論を総攻撃する。
 小沢氏は「アフガニスタン攻撃は米国が自衛権を行使したものであり、海上阻止はその一部。それへの給油は武力行使と一体だ」とする。01年の9・11テロ事件翌日の国連安保理決議1368は個別的または集団的自衛権に基づき、テロ攻撃の実行者、支援者などを裁きにかけるため、各国が協力することを求めている。この決議は自衛権行使を容認しただけで、国連の行動ではないから、日本の参加は政府が違憲としてきた「集団的自衛権」の行使に当たるとの説だ。
 一方タリバーン政権崩壊後の同年12月20日の安保理決議1386は、英国主導でアフガニスタンの国際治安支援部隊を設けることを決めており、これは各国の自衛権行使ではなく、国連の認めた治安維持活動だから参加しても合憲、と小沢氏は言う。


安倍前首相と同じ思惑

 論理性は一応あるのだが、ISAFも実態はNATO(北大西洋条約機構)を中心とする各国軍の派遣を国連安保理が認めたもので、国連自体の活動ではない。
 石破茂防衛相らは、
「一つの安保理決議が憲法をしのぐのか。地上部隊を海外に出し、武力行使を含む治安維持任務に当たらせるのか」
 と小沢説を批判する。現実問題としても、地上部隊のアフガニスタン派遣はアラビア海での洋上給油より危険度が高く、カナダ軍は約2300人を派遣し約70人の死者を出している。自民党の論客たちはテレビの討論番組などで一斉に小沢氏のISAF参加論をあげつらっている。だが実は、これを安倍前首相もやろうとしたことを忘れているようだ。
 アフガニスタンには、米軍1万7000人などNATO各国とオーストラリア、ニュージーランド、韓国、モンゴル、中立国のスイス、スウェーデン、フィンランドまで計約5万人の兵力が駐屯する。しかし治安はむしろ悪化し、混乱長期化の中でタリバーンが民衆の支持を回復しつつある。
 NATO軍司令官(米海兵大将)は各国に増派を求めたが、逆にドイツやカナダ、韓国でも展望のない駐屯に対して撤退を求める世論が高まった。よわったNATOは昨年11月の首脳会議で域外の日本、韓国、豪州、ニュージーランド、スウェーデン、フィンランドを「NATOのパートナーとする」と宣言した。その中で地上兵力を送っていないのは日本だけだ。


給油問題は枝葉末節

 安倍前首相は今年1月12日、NATO本部で「自衛隊の海外派遣をためらわない」と演説。米国は陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターCH47部隊の派遣を打診してきた。そして安倍氏は訪米前日の4月25日、米国のイラク攻撃を積極的に支持したネオコン風の学者や評論家などをそろえた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーを発表した。憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使をもくろんだものだった。
 諮問した4点のうち2点は「国際復興支援で共に行動している他国軍が攻撃された場合、自衛隊が応戦することの可否」「武器、兵員などの輸送や治療などの後方支援活動はどこまで現憲法下で可能か」というもので、アフガニスタンへの地上部隊の派遣を念頭に置いたもの、との見方が防衛省で強かった。防衛省は蟻地獄のようなアフガニスタンへの派遣には露骨に警戒的だった。
 石破氏のように一貫して安倍氏の姿勢や政策に懐疑的だった人が小沢説を批判するのは筋が通るが、安倍氏の側近を自負した若手参議院議員や、安倍内閣でお気に入りの女性閣僚だった人が「アフガニスタンへの地上部隊の派遣は憲法違反、危険が大きい」と小沢説に噛みつくのはこっけいだ。
 民主党は「対案を出さねば」との観念にとらわれがちで、小沢氏は洋上給油の代わりにISAF参加を言うのだろうが、アフガニスタンでもイラクでも米国側の敗色が濃い中、良い政策や戦略を出すのは世界の誰にも至難の業だ。
 米国はアフガニスタンとイラクで70兆円近い戦費を投じ、イラクで3850人余、アフガニスタンで440人余の死者を出しても勝利の見通しが立たない窮地にある。米国が最小限の面目を保って撤退できる出口戦略を模索する中、日本が洋上給油を続けるか否かは枝葉末節の問題だ。テロ対策特別措置法の期限切れで一時中断の後、給油を再開してもしなくても、大勢に響きそうにない。
軍事ジャーナリスト 田岡俊次


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