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2007-10-21 賢者の言葉、愚者の言葉■賢者の言葉、愚者の言葉
昨日、日本テレビ系列の番組に、医師で、アフガニスタンで灌漑事業支援を長年行っているNGO団体「ペシャワール会」の現地代表である、中村哲氏が出ていた。
中村氏は医師として医療援助のためにアフガニスタンを訪れたが、疾病の元が貧困にあり、貧困の元は旱魃の深刻な被害により壊滅状態の農業にあると見抜き、井戸を掘り、水路を造る、灌漑工事援助事業を始めた。番組では4年をかけて先ごろようやく完成した用水路工事の模様を伝える。
中村氏は、現地の人たちと同じような髭を生やし、同じような衣服と帽子を身に着け、同じように石を運んで働いていた。工事は、アフガニスタンでも政府に従わない武装勢力が跋扈すると言われる、最も治安の悪い地域で進められ、武装勢力の活動と勘違いした米軍の戦闘機から機銃掃射を浴びたこともあったと言う。灌漑によりひび割れた荒地から緑豊かな畑に変わった自らの土地の前で、農民が中村氏への感謝の気持ちを述べる。
中村氏は、司会者から米軍の”不朽の自由”作戦(略称:OEF)や国際治安支援部隊(略称:ISAF)に日本が関わることについて意見を求められる。これが元々番組の主旨らしい。国会ではテロ特措法の賛否について先週来論争が続いている。
すると、中村氏は、大略、次のような言葉を静かな声で語った。
なぜ、アフガニスタンの人々を助けるためにアフガニスタン人を殺すための軍隊を派遣する必要があるのだろうか、それ以外に彼らが必要としているものはいくらもあるのに。用水路建設も、タリバンらテロリストが跋扈する危険な地域だというのに襲撃されたことは一度もない。それは工事が現地の人々のためになることが理解されており、現地の人々の支持があるからだ。米軍の攻撃は受けた。米軍らは、テロリストの掃討と称して空爆などを行い、巻き添えで多くの無辜のアフガン人を殺している。そのために米国をはじめ外国人への視線がどんどんと厳しくなっており、ペシャワール会の支援事業にもだんだんと悪い影響が出てきている。いかに援助しようと考えても、援助を受ける側に支持され、感謝されるようなものでなくてはまともな支援活動とは言えない。現地の人々には、米軍の作戦も国連の活動も、どちらも外国人によるアフガン人に対する殺戮行為であり、区別はつかないので、米軍でなく国連の活動に自衛隊を派遣すればよい、という考え方も成り立たない。そもそも、タリバンを米国はテロリストと同一視しているが、全くの誤りで、田舎者の国粋主義者の集まりに過ぎないのであって、先進国でテロを実行することができるような洗練した組織も能力もない。もともと農民の多くもタリバンと似たような考えを持っており、だからこそ、巻き添えで多くのアフガン人が死んでいく中で、支持が広がっているのだ。
これに対して意見を求められた森本敏氏(拓殖大学教授)が、概ね以下のように答える。
そうは言っても、戦後6年、いまだ混乱にあるアフガニスタンの政治的な安定のために、タリバンらテロリストの掃討は必須であり、米国の”不朽の自由”作戦や国連の治安維持活動に積極的に日本が関わっていく必要がある。中村氏のような支援活動も重要だが、軍事作戦も重要で両方を行っていく必要がある。
が、落ち着いて語る中村氏に対し、おどおどと視線は定まらず、声も弱々しい。中村氏は、森本氏の言葉にも全く動じることなく、淡々と反論してみせる。所詮、現地のことなどまるで知らず、知ろうともしない、いい加減な連中が跋扈する日本では、あれこれ言われることなど慣れていると言わんばかりに。
現地で、現場で、アフガニスタンの人々と同様の危険に自ら身を晒しながら、具体的に実のある支援活動を行っている中村氏と、東京でぬくぬくとマスコミ業界を遊弋しながら本を売って稼いでいる評論家とでは、比べるまでもない。両者の言葉の力に天と地ほどの差があるのは当たり前だ。
今朝は、TBS系列の「サンデーモーニング」にやはり中村氏が出演し、ほぼ昨日と同様の意見を述べていた。今日の番組レギュラー出演陣の一人には、「武装解除」という著書があり、実際にアフガニスタンで国連で現地武装勢力の武装解除を行った伊勢崎賢治氏がいた。
伊勢崎氏は全面的に中村氏に賛意を示す。
タリバンと言っても現地の普通の農民とそう区別のつくものではなく、十把一絡げにテロリストとして敵に回すと、アフガニスタン人みんなを敵に回すことになりかねない。本来、国連治安維持部隊の活動の目的はは治安維持にあり、武力行使は最後の手段に過ぎないのだが、米軍の攻撃により民間人が殺され、外国人やその支持を受ける現政権への敵意が高まり治安が悪化、それを受けて、米軍や国連治安維持部隊の武力行使が増え、更に民間人の被害が増えて治安が悪化する、という悪循環の中、米軍と国連治安維持部隊の活動の区別がつかなくなってきており、これでは有効な治安維持活動は行えない。
なぜ自分たちは武装解除を成功させることができたか。それは、日本という、米国と最も親しい国で大国でありながら、軍事力行使を憲法で禁じた平和国家であり、中東地域を軍事的に侵略した歴史がないこと、それが武装勢力から信頼感を得たからだ、と言う。日本では紛争地域での国際貢献と言うと、すぐに自衛隊派遣が云々されるが、紛争地域の安定化には、政治的、外交的な手段がまずあり、武力行使は最後の手段に過ぎないのであって、まず武力行使の問題から入るのは、全く逆である。
これまた、実際に国際貢献の現場に身を置いた人物ならではの言葉である。
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